表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

銃を撃つ男

作者: 多部 来架

 改札を押し出されるように抜け、家路をたどる。

 大学はかったりーし、電車の隣のオヤジは口くせーし色々めんどくせーなあ。

 ポケットに手を突っ込み、ぼんやりとそんなことを思いながら駅の構内を歩く。

 コインロッカーの前を通り、何気なくそちらを見るとスーツを着たサラリーマン風の男がロッカーに物を預け、立ち去るところだった。

 急いでいるのか?

 鍵をズボンのポケットに入れる様子があまりに無造作だった。

 当たり前、とでも言うように鍵は先っちょをちょろっとポケットに触れさせただけで地面へと落ちた。

 鍵がリノリウムの床を叩く。硬質な音はオレのところにまで届いたが男は落としたことに気づかずに行ってしまった。

 ぼんやり見ていたオレの視界には置き去りにされた鍵がぽつんとあった。

 


 今開けられ、閉められたばかりのロッカーをいくばくかのお金を投入してオレは再び開けた。

 鍵を落とすほうが悪いんだ。

 辺りを一度だけきょろっと見て、ゆっくりと開ける。

 茶の油紙に包まれた何かがそこにはあった。ぱっと見、なんだか分からず取り出してみて思わず取り落としそうになった。

 拳銃だ!

 驚いたのももちろんだが、思ったよりも重かったから落としそうになったのだ。

 もう一度辺りを見回す。先程より念入りに見渡す。

 幸いこちらを見ている者はいなかった。

 ほっと胸をなでおろし、迷いなくオレは自分のバッグにそれを仕舞った。

 迷っている暇などないじゃないか。



 少し重くなったバッグを慎重に肩にかけなおして足早に駅を出た。

 歩きながら迷う。

 バッグに拳銃を仕舞ったときは選択肢はそれしかないように思っていたが、改めて考え直すとそのまま置いてきて見なかったことにするという手もあったじゃないかと。

 終わったことを考えても仕方ない。

 いまさら戻るのは危険すぎる。

 サラリーマン風だったあの男が本当にサラリーマンとは限らないのだ。

 冬だというのに体にじわりと汗がにじんでくる。

 警察に届けるというのもよぎったが、ロッカーを勝手に開けてしまったことがばれてしまう。そう考えるとその案も却下せざるを得ない。

 結局家に持ち帰るしかなかった。持ち帰ってからゆっくり考えよう。



 家のドアの前に立つ。辺りを見回す。人影はまったくなかった。鍵を開け室内へと入った。

 しっかりとドアに鍵をかけ、狭い部屋の中央にゆっくりバッグを置き、腰を下ろすと急に落ち着いてきた。

 つけられている様子はまったくなかったし、オレを特定することは不可能なのだ。

 そう思うとなにも怖いことはないのだと思えた。

 バッグから拳銃を取り出し、油紙も取り去り、目の前に置く。

 しげしげとひとしきり見た後、手に取ってまたしげしげと見る。

 いざ安心して、こうして実際になんの障害もなく触れてしまうと途端に特別さが失われてしまう。

 なんだかつまらない気がしてくる。

 ひょいひょいと、右手左手と移動させてもてあそぶ。

 何の問題もない。手の中で拳銃はいたって静かだ。

 こめかみに移動させてみる。

 よくあるよなー、こういうの。

 撃鉄を起こしてみる。

 起こしてみたら無性に引き金を引きたくなった。

 テレビとかでよく見るシーン。

 とにかく引いてみたくて仕方なくなった。

 引いてみる。


 バン!


 とはならなかった。 

 弾は入っていなかった。 

オムニバス形式であと2話書く予定。

1話1話で読めるような形にしていく予定。

なので、連載ではないけど続けて読んだほうがもしかしたら分かりやすいのかも。

次を書いたらアドレスこちらに張ります。

というわけで書いたので張ります。


http://ncode.syosetu.com/n1957s/

(お手数ですがコピペで。ごめんなさい)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 拳銃を持った男のリアルな気持ちが書かれていてよかった。こちらまでひやひやしました。 これからどうなるのか楽しみです。 [気になる点] 特にないと思います。 [一言] こういう話は大好きなの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ