金
伸行と唯は2人暮らし、実家はすぐ隣にあるのだが
親はさっさと子離れしたほうがよいと唯が言うので、隣に住むことになった。
父親の 平島 孝太
現、平島組組長は自由性を尊んでいるので、即OKしたのだが、
母親の 平島 花は、中々首を振ってはくれなかった。
なんせ重度の親バカなのだから、困ったもんだった。
結局、隣に家を建てて、常に見張りをつけることで良しとしてくれた。
「姉貴、学校じゃいつもどおりで頼むな!」
そんな唯の仕事は、朝から料理を作り、
伸行の制服を出すとこまでとことんやるというものだ。
伸行は、なんという幸福を朝から味わうのだろう。
『分かってるわ。』
そういって伸行は学校に親友達と登校する。
ここでのいつもどおりというのは、
そこそこのシスコンの伸行だが、
恥かしがりの伸行は学校では他人のように接す。
唯も嫌われたくないので、昼に弁当を届けるだけだ。
そして、
その日1日は何事も無く過ぎた、ように思えたが帰り道。
普段なら学校から殆ど1人で帰る事も無いのだが、その日は1人だった。
夢のことを思い出しながら…。
すると、道の端に1人の少女を囲む複数の男たち。
女の子の頭しか見えないが、まるで黄金のような金髪がチラッと見えた。
伸行は心臓がドクンとはねた気がした。