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第8話 降将

 内政は、三人に任せる。来年の収穫量が減ったら、戻るつもりだけど、信頼してるし大丈夫だろう。


 俺は、漢中に移った。

 斥候を、魏国と呉国に放ち、情報を集める。

 まず、魏皇帝の曹叡は、史実通り贅沢を始めたようだ。本来であれば、司馬懿が呆れて見捨てる。もういないけどね。それと、公孫淵の【遼隧の戦い】は、誰が行くのかな~。小さいけど、魏国内の内乱もあるんだよね~。

 まあ、国力を消費して貰おう。


 呉国は、陸遜が健在だ。それも長期間続く。十年くらいは、呉は安定することが決まっている。

 【二宮の変】は、【芍陂の役(しゃくひのえき)】と連動しているから、もうすぐ起きると思う。

 まあ俺が、三国志知識無双を使えば、崩せなくもないけど。柴桑周辺を固められると、【破竹の勢い】もできないんだよね~。

 陸遜の後を継ぐ将軍たちも優秀だ。

 同盟を今破棄する意味は、呉国にもない。

 でも待てば、孫権がボケて来る。それまで待てばいい。

 まあ、国境に兵士を派遣しているし、対呉国は大丈夫だろう。


「今後数年は、内政に力を入れるかな~」


 張翼君は、絶句していた。張翼将軍には、俺の近衛兵長官を務めて貰っている。

 そうだよね~。劉禅って内政には関わらずに、祭事しかしてなかったんだし。

 でも、諸葛丞相亡き今、俺が蜀漢国を立て直すのだ!





 転生してから、数年が過ぎた。

 平穏な日々が流れたな~。治水を行い、農作物の収穫量を倍にしたのが大きかった。

 これは、民衆も喜んでいる。


「陛下! 兵士の調練も順調です!」


「魏延君。君頼もしいのね~」


 魏延を褒めちぎっていると、彼の性格も変わった。もう忠誠心MAXだ。

 楊儀のフォローも怠らない。対呉国の指揮官に任命したら、いい働きをしてくれた。

 内政も問題ない。優秀な三人がいるんだし。今は閑職の費禕も、極秘に丞相の地位を約束したら、蒋琬・董允に協力してくれる。実は、仲が良かった?


 姜維は、郭淮と小競り合いをしているみたいだ。戦争バカなので、防衛戦でも行わせていれば、不満はなさそうだな。侵攻はダメよ?

 三国志は、終盤に国力を消費した所を攻められて滅ぼされる。これは、三国共にだ。

 蜀漢国は、姜維の敗戦さえなければ、ずっと防衛できていたと思う。姜維は優秀なんだけど、他に人がいなかったからね。

 国力と人材を見て、戦争しないとね~。


 上庸は、案の定攻められていた。だけど、金をかけた防衛陣地が、魏軍の攻撃を防いでいる。四人の将軍も優秀だ。

 兵士と兵糧の補充も出し惜しみしない。武器防具、矢も毎月補充し続けている。

 密偵の話によると、魏国の戦費が、凄いことになっているらしい。


「城の防備を堅められてから、数十万規模の軍隊を送り込んで来ても遅いよね~。司馬懿がいないと魏国もこんなもんか」


 魏国の中枢が麻痺ってるな。

 曹叡は浪費を続けているし、権力が集中していないので、判断が遅いんだと思う。



 防衛状態だけど、蜀漢国は安定して来た。

 そして……、問題が起きる。


「うん? 魏国からの降将?」


「いえ、官職は持っていなかったみたいです。もしくは、下級役人かと」


 う~ん。珍しいな。"埋伏の毒"の可能性……。諸葛誕と夏侯覇なら信じられるけど、早過ぎるし~。

 まあ、会ってみるか。


 高い位置の、玉座に座る。毎日めんどい。

 三人が、入室して来た。

 礼儀作法は、問題がない。上流階級の人物みたいだ。


「面を上げていいよ~」


 う~ん。若そうだな~。誰だろう?


「名前を教えて」


「司馬師、司馬昭、杜預(とよ)です。一家全員罷免されたので、新天地を求めて罷り越しました」


 ごふっ?

 司馬懿の息子たちと、呉を滅ぼす人ですか?


 杜預は、司馬懿が杜預の父親を獄中で殺してしまった。それに罪悪感を感じた司馬懿が、自分の娘を与えている。つまるところ、司馬家の身内なんだ。現在、15歳くらいか?


 話を聞く。

 魏国は、軍権を争って、内乱状態なんだとか。司馬懿の支配力が伺える。

 曹叡は、浪費を続けているらしい。こちらは、情報駄々洩れだ。

 彼等は、魏皇帝を諫めて、罷免されたのだとか。

 呉は人材が豊富なので、蜀漢国に仕官を求めて来たと言ってんだけど。


 一族を連れて来たので、一応は信頼はできる。

 だけど……。


「君たちの父親を殺害したのは、朕だよ? 忠誠を誓えるの?」


「戦場での出来事です。恨みがないと言えば嘘になりますが、父上以上の才ある方の傍で学んでみたいと思っております」


 この時代の、この感覚は慣れないな~。

 だけど……、これ以上の人材もいないことは確かだ。


 三人には、下級役人から始めて貰った。





「この時代の優秀な人材って、目立つのね~」


 司馬師君と司馬昭君に内政を任せれば、治水を半分の時間で完成させた。

 魏軍が攻めて来れば、見事な用兵で撃退した。杜預君は、百人で出陣して、敵将の首を取って来たくらいだ。


 廖化君も疑っていたけど、今は全幅の信頼を得ている。上庸の軍師として、活躍してくれているのだ。

 そんな時に、魏延君が来る。


「陛下! 兵士も兵糧も十分です。密偵によると長安は、資金不足で兵士が少なくなっているそうです。今が攻め時です!」


 ふむ……。

 そういえば、数十万規模の魏軍を、この上庸で撃退してんだよな~。魏国は、かなりの数の兵士を失っているはずだ。

 曹叡の悪評も聞いている。本当に、宮殿の増築を行っているみたいだ。

 司馬師君を見る。


「長安と潼関に攻め込むなら賛成です」


 次に廖化君を見る。


「本音を言えば、呉国に攻め込みたいですが、魏攻略に賛同します」


 他の将軍も賛同してくれた。


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