第24話 陳留攻略1
「う~ん。陳留には、防衛軍が多くいるのね……」
「最終防衛ラインと、考えているのかもしれません」
「特攻じゃ~! 敵将を討てば、兵士数など関係あらへん!」
う~ん。
負けないように戦いたいな~。
それと、羅憲君……。君は、防衛の名手だったよね?
とりあえず、陣地形成からだな~。
川を防衛線にして、馬防柵を作って行く。
背水の陣などは、行わないよ。
ちょくちょく妨害が来るけど、その度に騎兵を出して追い返す。包囲して殲滅もする。
こうして、陣地ができ上った。
「敵の大将は、だれ?」
「鄧艾と鍾会、郭淮です。総大将は……、郭淮でしょうな」
うわ~い。蜀漢国の天敵だ。
15年くらい早いけど、もう出て来たか。
◇
とりあえず、にらみ合いになった。
互いに防衛を選んだんだ。
「呉国は、どうなってるの?」
「徐州に攻め込んだようです。今ならば、柴桑も落とせます」
う~ん。孫権が本格的にボケて来たな。
史実よりも速いかもしんない。
蜀漢国に土地を取られる前に、先に動こうって思考が読み取れる。蜀漢国が、呉国に攻め込むとは思っていないみたいだ。
「匈奴は? どうなっているか、分かる?」
「……魏国軍が防衛している模様です。本格的に攻勢に出ているみたいです」
話を聞くと、毌丘倹、文欽が、守っているらしい。
本来であれば、司馬昭君に負けるんだけど、優秀だったのかもしれない2人だな。
「兵糧は、あるよね?」
「数年は戦えます」
内政頑張って良かったよ。
「そんじゃ、各地にハラスメント攻撃をしようか」
春秋戦国時代の、伍子胥の戦法を真似る。
出兵したり、戦わないで戻ってきたりすれば、標的にされた都市は、騒乱状態になる。
油断しきっている都市は、落としてしまってもいい。
「そんじゃ、羅憲君。よろしくね」
「任せたもんせ!」
ここからは、我慢比べだな~。
◇
趙統君も防衛の構えだ。
蜀漢としては、戦線は二ヵ所だけど、魏としては、五ヵ所かな? 耐えられるんかね?
羅憲君が出兵すると、近くの城は、逃げ出してしまった。
どうも、兵士不足なようだ。
兵糧も残っていないらしい。
魏は、陳留だけに固執しているようだ。
いいとも、悪いともいえないな~。
ここで郭淮が動いた。
背後にいる、徐州に攻めかかっている呉軍の背後を突いたんだ。
呉軍は、慌てて撤退をする。下邳城は、落とせなかったみたいだ。
この間に、陳留を攻めるけど、ビクともしなかったな。正面切っての攻城戦は、やっぱ俺には不向きだ。
もうちょっと、策を練るか……。
ここで、連絡が来た。
「魏国内で反乱? 王淩と令狐愚? 楚王の曹彪を擁立?」
「はっ。寿春で反乱が起きました」
あ~、【寿春三叛】のうちの一つか。王淩君は、中央に呼ばれなかったのね。
記憶を辿る。
『皇帝曹芳は、君主としての器ではない』と言って、反乱起こしたんだっけ。
寿春で三回反乱が起きるけど、その最初なんだよな~。残り二回は、反乱起こす人が中央にいんだし、起きないよね。
「陛下! 偽計の可能性も考えてください! あからさま過ぎます!」
「うん? 本当の反乱じゃない? 楚王を立ててんだし」
「「「えええ? 何故確信を持っておられるのですか?」」」
まだ、不穏分子が残っていたか……。
――煽ってみるか? 協力?
「でもな~。曹彪を立てちゃうと、後から邪魔になるな~」
俺は、地図を広げた。