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31.嫉妬深い自分



 ――昼休み。

 私は屋上のお気に入りの場所でフェンスに指をかけて、暗い表情でヘッドホンを装着したまま赤城さんの言葉を思い出していた。


 確かに赤城さんから見たら私は厄介者だ。元彼の加茂井くんと付き合ってるし、木原くんとも喋る機会がグンと増えたから。

 でも、惨めにさせるつもりなんてない。普段は加茂井くんのことだけを考えてるし、木原くんが加茂井くんとの件で悩んでいることも見過ごせなかったから。


 すると、急に後ろから誰かにヘッドホンを外された。振り返ると、そこには加茂井くんの姿が。



「ヘッドホンをしてるということは、もしかして雑音がしたの?」


「……」



 赤城さんに文句を言われたなんて言えない。しかも、加茂井くん絡みだなんて余計に。



「教室にいなかったから、絶対ここにいると思った」


「どうしてここにいることがわかったんですか」


「粋のお気に入りの場所なんでしょ。以前教えてくれたから」


「覚えててくれたんですね……。嬉しい」


「じゃあ、次は俺の番ね」



 彼はそう言うと、私の手を握って階段方面へ走り出した。

 屋上扉を開けて4階まで下ると、校舎の一番端っこまで行って非常扉を開けて階段で足を止めた。



「ここは俺のお気に入りの場所」


「すごい……。ここからは街が一望できますね」


「屋上もそうだけど、周りに視界を遮るようなものが建ってないから心が開放的になれる。だから、ここへ来ると落ち着くんだ」



 彼はポケットから何かを取り出して「はい、これあげる」と言って私に向けた。私は手のひらをその下にかざすと、その何かは手渡される。



「これは……、私のお気に入りのミルク飴」


「そ、以前矢島が落ち込んでた俺にくれたやつ。あれからどハマリして毎日持ち歩いてる」


「ふふっ、結構かわいいところがあるんですね」



 私は袋をビリっと破って口の中にコロンと含んだ。すると、口いっぱいにミルク味が広がっていく。

 彼が非常階段に腰を落としたので、私もその隣に座った。



「……で、どんな雑音があったの?」


「えっ……」


「何でも話していいよ。落ち込んでる時って一人じゃ解決しきれない時間だから」



 もしかして、加茂井くんは私を元気づけるためにここへ連れてきてくれたの?

 私は彼の優しさを受け取ると、じわじわと目頭が熱くなっていった。

 


「やっぱり朝陽くんは優しいですね。落ち込んでる所を見て気にしてくれるなんて」


「そりゃ彼女だからね。偽だけど」


「偽彼女でも嬉しいです。だって、朝陽くんは私の手の届かない人だから……」



 加茂井くんがこんなに優しくしてくれると、私のことを好きになってくれたと勘違いしちゃう。

 でも、実際は赤城さんを忘れる為の駒の一つに過ぎない。だから、期待するだけ無駄なのに……。

 それに、赤城さんにもこんなに優しくしていたのかな。そう思うだけで嫉妬深くなるよ。



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