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30.忠告




「矢島さん!」


「えっ……。赤城……さん?」


「初めて喋るのに呼び止めてごめん。……ちょっといいかな。話がしたいんだけど」



 ――朝、赤城さんが学校の下駄箱付近で腕を組んだまま私に声をかけてきた。

 どうして彼女が接点もない私に用が?

 でも、ここで私を待つくらい大切な話があるんだろうと思ってコクンとうなずいて背中について行った。


 道中は全くしゃべることなく、肩甲骨までの長さの揺れる髪を見つめるばかり。

 連れて行かれた先はB棟の校舎裏。この時間帯は鳥のさえずりしか聞こえてこないほど閑散としている。

 彼女は長い髪をなびかせながら振り返ると、下駄箱で声をかけてきた時とは別人のような表情を見せた。



「矢島さんってさ、もしかして私に嫌がらせをしてない?」


「えっ? 何を言ってるんですか?」


「朝陽と付き合ってるみたいだけど、私が気になってる人……にも……近づいてるというか……」


「もしかして、その気になってる人とは木原くんのことですか?」



 何も考えずにさらりと言ってしまったけど、赤城さんは木原くんとの交際を隠している。それに気づいた時は遅くて、焦って口元を押さえた。

 すると、彼女はハッとした表情になって焦りの色を見せる。



「……えっ!! どっ、どうしてその人が木原くんだと思ったの?」


「えっ、えっと……何となく……(やばっ)」


「っっ!! とっ、とにかく、以前から私をマークしてない? そーゆーのキモいんだけど」


「えぇっ?! 私が赤城さんをマークだなんて、そんな……。誤解です」



 全然そんなつもりはない。ただ、加茂井くんの復讐の一つとして偽彼女になってるだけなのに、最近木原くんが友達になりたいと接近するようになったから誤解が生じている様子。



「朝陽に木原くん。私が関係している人に次々と手を出すなんて最低じゃない? 意図的にやってるとしか思えない」


「違います!! 確かに加茂井くんとは付き合って……ますが、木原くんとはただの友達です。逆にどうしてそう思ったんですか?」


「私がつい最近まで朝陽と付き合ってたから気に食わないのよね。矢島さんは、校庭からメガホンを使って愛の告白パフォーマンスをしたり、私の方がかわいいんですよと言わんばかりに敵対心を露わにしてきた。結果、男子の目線を独り占めよ。それって朝陽を振った私を惨めにしようとしてる以外考えられない」


「誤解です。そんなこと考えていません!!」



 どうしよう……。全て加茂井くんの為にしていたことが全部裏目に出て受け取ってしまってる。

 赤城さんを惨めにさせたいなんて微塵たりとも思ってないのに。



「とにかく!! 朝陽のことはいいとして、大地……いっ、いや、木原くんにまでちょっかい出さないでくれない? 迷惑だから……」



 彼女は鬼の形相でそう伝えると、地面に足を叩きつけながら本棟へ向かっていった。


 まさか赤城さんから忠告を受けるなんて思ってなかったから、ちょっとびっくりした。

 でも、その中で木原くんを大切にしている気持ちがビシビシと伝わってきた。



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