84. 神の裾野
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駆け寄ってくれるスズの足元が瞳に映るのを最後に、僕は意識を失った。
そして目が覚めると、辺りは暗闇に支配され何も見えない。
……僕は、死んだのか?
横たわったまま、気を失う前の出来事を思い返す。
喋る剣……ではなくお守りは、助かるなんて一言も言ってなかった。
僕が勝手に知ってる声を頼りに、指示通り動いただけだ……。
動けば何か変わるだろうか……?
僕が身を起こすと……。
「お……すす……」
また聞こえる、あの声だ。
声のする方へ進もう。
きっと、あの喋るお守りは助けてくれたんだ。
おそらく、暗闇にいる僕を今も助けようとしてくれている。
「おい! 聞こえるか!? そのまま進め!」
段々と声がハッキリ聞こえるようになってきた。
僕はその声へ応答する。
「聞こえます!」
謎のあの声に導かれるように、僕は暗闇の中を歩く。
しばらくすると、聴き慣れた相棒の一人の声が聞こえてきた。
「いたぞ、あれじゃ」
……琥珀!
手を握られる、これは……硬い……?
彼女の手なのか?
「煌河、お主の魂に何か感じるモノが無いか? それを引っ張り出せ」
僕は目を閉じたまま、琥珀の指示に従う。
僕の魂……指示が抽象的で良く分からなかったけど、自分の身体の呪力を感じるとなんとなく分かった。
自分の胸の内に何か、感じた事のないモノを微かに感じる、これは……。
それを引っ張り出すと……僕の呪力が変貌していくのを感じた。
「目を開けるんじゃ」
何があるんだ……?
僕は恐る恐る目を開け、何にせよ助けてくれた琥珀へ感謝を伝えようと思っていると。
「よぉ!w」
「琥珀じゃないんかい!!!」
目の前にルイがいた。
握られた手が心なしか硬かったのは、琥珀じゃなくて彼の手だったんだ。
そして真っ暗だった周囲は、金色に輝く煙の様な……雲のようなもので満ちていた。
その中をルイと共に進んでいると、琥珀が現れ『乗れぃ』という合図と共に壮麗な白狐に変化した彼女の背中に乗る。
そして、この状況に至った経緯を説明する彼女達の話を聞きながら、摩訶不思議な金色の世界を駆け抜けていく。
何やら僕は元の世界で意識不明になっているみたいで、並行世界へと行った僕の魂を導くため彼女達が助けにきてくれたみたいだ。
ルイは思い浮かべた相手の夢へ出現する特性を利用し、琥珀はそれを辿ってきたらしい。
そしてルイから聞こえてきた琥珀の声は、彼が首から提げた呪具を通して聞こえていたそうだ。
色々と驚きはしたけど、今はただ、二人に感謝しよう……。
「二人共、ありがとう……」
「気にすんな」
「うむ」
琥珀が天を駆け数分経つと、神殿の様な……神社のような場所を頂点とした、麓の城下町のような場所へと辿り着く。
「ここが、天界……高天原じゃ」
高天原……。
神様や、仙人、それらに連なる存在が住む場所……。
「って、えぇ!?」
彼女の言葉にマスオさんのように驚いていると、街からどんどん人が集まり僕らを取り囲む。
「桃神様がきたぞ!」
「……人を乗せていたぞ!?」
「いや、これは人なのか? 面白い呪力や気を宿している!」
すごい、人だかり……いや神だかりだ。
琥珀は人気の神様なんだな……。
「これこれ、その者は最高神達の客じゃ」
「ひえぇ」 「関わらない方が良いな」 「またドヤされるぅ!」
琥珀の言葉を聞くと、彼らは蜘蛛の子……いや、神の子を散らすようにその場を離れていった。
僕らは壮麗な山の頂点に立つ神社を目指し、歩みを進める。
最高神達の客って何だ……?
そこに行けばここへ来た理由も、彼女の言葉の意味も分かるのだろうか。
そんな事を考え周囲を見回せば、美味しそうな果実を使ったお菓子やジュースも販売されている。
天界の食べ物か……どんな味なんだろ。
「ちょっと食べていこうよ」
「ダメじゃ、今度こそ帰れなくなるぞ」
「じゃ、じゃぁいいや……」
お菓子の前で珍しく威厳を放つ琥珀の言葉に、僕は大人しく従う。
「しかし、妾は別じゃ。 その桃饅頭と林檎の果実酒を貰おうかの!」
……そ、そうですか。
なんか彼女が美味しそうに食べるのを見てると、僕までお腹が減ってきたぞ。
そういえばルイは、どこ行ったんだ?
高天原に着いてからいつの間にかいなくなっていた。
そんな事を思い、神社へと続く山の祭壇を登っていく。
……なんだか、出雲大社の長い階段を彷彿とさせるな。
階段を昇り切り神社の境内に入ると。
「あぁ……こんな……」
見知らぬ優雅な女性が、僕の事を強く抱きしめてきた。
「え? ちょ、ちょっと!」
……僕は動揺しながらも琥珀へと目配せをし助けを求めるが、彼女は腕を組んで目を瞑っていた。
そして僕の顔の横から、軽くすすり泣くような声が聞こえる。
それに気付いた瞬間、その女性は僕から離れ何事もなかったかのように振舞う。
「ようこそ、おいでくださいました。 さ、こちらへどうぞ、案内いたします」
泣いていたと感じたのは……僕の気のせいだったんだろうか。
僕らは彼女についていき、とある部屋に案内される。
扉には【儂の自室じゃ!】と書かれている。
案内して下さった侍女らしき女性が扉をノックすると、威厳のある声が扉の奥から周囲にまで響き渡る。
「入れッ!」
この声は……。
「よくきたな! 小僧共!」――――――
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