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83. また喋った

ご閲覧ありがとうございます!

AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください








「いや、この国は日本ヤマトだ……ニホンじゃない……」


「……」


 どうにも様子がおかしい、この国は日本ヤマトのはずだ。

 見知らぬ記憶が脳裏をよぎり、頭の中が混乱しどうにかなりそうだ。 

 僕とスズの間に沈黙が流れる。

 彼女はどうすればいいのか分からないかのように突っ立っている。

 そして、それは僕も同じだった。


 そもそもこの機械は、スマーホとは何だ?

 なんで僕はこれを知っている……?


 なんだかここにいてはいけないような気がして、僕は満身創痍のままに走り出して山を下りる。

 それに僕は……僕は誰だ……?

 思い、出せない……!


「はぁはぁはぁ……」


 家に帰れば何か分かるのか?

 いや、分からない、でも僕の心が。

 この身体が、あの家は安心できる場所だと言っている気がする。


 息を切らしながら街を駆け抜け、夕焼けの中で響く子供の声、街の喧騒。

 頭が真っ白で、全てが耳をすり抜けていくような何も聞こえない状態で僕は必死に走る。

 まて、そういえば……。

 停めてある車のミラーが視界に入り通り過ぎて数秒、僕は今朝の事を思い出した。

 そう、今朝起きて……顔を洗って鏡を見た時だ。


『……はは、変な顔w』


 僕は呪力を駆使し鏡のようなものを造る。

 そこには自分とよく似た顔が映っていた。


「誰だ……?」


 そうだ、これは僕じゃない。

 僕の記憶が正しければ僕は、夜兎 煌河助月守天道(やと こうがのすけつきもりのてんどう)だ。

 でも目の前に映っている、僕にとてもよく似ているこれは誰だ?

 変な顔じゃない、そもそも僕の顔じゃなかったんだ……。


 確か僕はあの時、約束を果たして、そのあと眠って……今日の朝起きたんだ。

 僕があまりの事態に動揺していると、何かが……誰かが僕へと声をかけているのに気付く。


「お……へん……ろ……」


 なんだ、これ? お守り? 

 僕は懐に入っていたお守りを取り出す。


「おい、返事し「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」


 僕はたまらずお守りを投げ捨てた。

 これ……前にもやったな、声の主は当然……。


「くらぁ!!! 放り投げるとは何事じゃ!礼儀知らずの小僧めが!」


 姿与り知らぬ頑固一徹なお爺さんだ。

 記憶はあやふやだが一言一句前回と同じセリフを発している気がする。

 なんだか僕は少しだけ胸が熱くなるのを感じ、軽く出た涙を拭う。

 そして、お守りへと話しかける。


「す、すみません、驚いちゃって!」


「まぁええ、時間もないからな」


 ……。


「まぁええ、時間もないからな」


「は、はい!」


 やっぱり相槌を打たないと話は進めてくれないみたいだ。


「おい、小僧!」


「はい」


「近くに神社があるじゃろう」


「はい」


「ばっかもぉおおおおおおん!!! 人が話している時は黙って聞かんかい!!!」


「はい!!」


 僕は走りながらおじいさんのお守りから怒られる。

 たぶん神社へ行けば良いんだろう。


「時間がないからそこへ走れ!」


「もう走ってます!」


「口答えするなぁ!!!」


「ははははは!!!」


 僕はなんだかおかしくなって笑ってしまった。

 旗から見れば随分猟奇的な人間に見えるだろう。

 でも、不思議だ、絶望を感じた途端すぐにこうして希望が見えた……。

 これは、夢なのか? または、宇宙のどこかなんだろうか?

 何とも不思議な体験だったけど、これで助かるはずだ!

 僕が浮かれつつ神社の前に着くと……電話だ。


「はい……」


 僕が電話に出て神社へ入っていくと……。


「GPSで……」


「そっか……」


 境内にスズが待っていた。

 スマーホに搭載されたGPSで僕の向かう場所が分かったんだろうな……。

 バディは片方の状況を知るために追跡できるようになっている。

 これはこの体の持ち主の記憶だ。


 そして、彼女はスズだ……僕の知ってるスズとは違うけど……紛れもないスズ。

 その顔も仕草も、反応もツッコミも……。

 そしてルイや姉さんも……。


「小僧! 鈴を鳴らせ!」


「え? スズを!?」


「バカ! 神社の鈴じゃい!」


 僕らが訳の分からないやり取りをしていると、スズが僕へと話しかける。

 そして言葉を続ける。


「待って! 誰と話してるのか分かんないけど……アンタ……中身が違うんでしょ?」


「それ、アタシのせいかもしれないの! 昨日の七夕であいつの……」


「アンタじゃないアンタの願いが叶うように願ったから!」


 そうか……彼女はわざわざ謝罪しに来てくれたんだ……。

 そして本来のこの身体の持ち主を心配して来てくれたんだろう……。


「アンタと本当に似てるけど、やっぱり違う」


「二人には悪い事したと思ってるけど……あいつを、返して……」


「お願い……」


 スズがこんな風に泣くのはいつ以来だろう。

 幼い頃、申し訳なさそうに泣ていた彼女を思い出す。

 そういえば……あれから彼女の態度も少し柔らかくなったんだっけ……。

 そんな淡い思い出を懐かしみつつも、僕は彼女の涙を拭う。

 こっちの僕達も似たような思い出がある、この身体を通して分かる。


「大丈夫だよ、心配しないで」


 全く、僕じゃない僕は幸せ者だな。

 こうやって大事に思ってくれている人がいるんだ。


「全部元通りになるから、スズに泣いてる顔は似合わないよ」


「あ……」


 鈴を鳴らせばいいんだよな。


「まって! アンタは消えちゃうの?」




挿絵(By みてみん)




 僕は神社の鈴を鳴らしに、走ると後ろから声が聞こえる。

 律儀な子だ、僕が消えるのを心配してくれるなんて……。


「いいや、消えないよ! またね、スズ!」


 僕はそう言い神社の鈴を鳴らした。

 すると、眠気に襲われどんどん意識が途切れていく……。

 足元から崩れていく感覚が伝わる中、スズが駆け寄ってくれていた……。


 良く分からないけど……こっちでも僕らは友達だったんだ……なんだか嬉しいな……。――――――





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