82. 日本
三章の開幕です、ちょうど一週間後に投稿しようと思ったのですが一日間違えてずれちゃいました
もしまってくれてた方がいたらすみません!
ご閲覧ありがとうございます!
AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください
「ふぁぁ~あ」
眩い日差しに目元を照らされ、僕は眠りから覚めた。
先日の七夕の夜空は綺麗だったな……。
柄にもなく思わず涙してしまったが、皆にからかわれたのも良い思い出だ。
「起きていたのか、潜り込むチャンスを逃してしまうとは……」
姉さん……この人はまた性懲りもなく僕の布団に潜り込む気だったみたいだ。
「ご飯できてるからな、早く着替えてこい」
「分かった」
僕は寝ぼけ眼のまま気の抜けた返事を彼女へと返した。
そして気の抜けた顔のまま、洗面所へ行き顔を洗う。
「……はは、変な顔w」
そして、身支度を整える。
さ、今日の朝食は何だろうな。
焼き魚にベーコンエッグやワカメの味噌汁、山盛りのキャベツ。
う~ん、ゴキゲンな朝飯だ。
「私が食べさせてやろう、まだ体調が悪いだろう」
「いや、いいよ」
「まぁ遠慮するな、ほら」
そっか、昨日は確か……僕は体調を崩して帰って寝込んでしまったんだっけ……。
そんな事を思い返し、半ば強引に姉さんが朝食を僕に食べさせてくるのを受け入れる。
お節介焼き過ぎて厚かましい事もあるけど、ホントに良くできた人だ。
美人だし料理も上手い、彼氏の一人でも早く作ればいいのに。
「もぐもぐ」
「どうだ、美味いだろう」
「うん、美味しいよ」
やっぱり朝のお米は力が湧いてくるような気がする。
パンも美味しいけどお米の方がエネルギーが溜まっていくような感じがするよね。
この国の人間にそういう遺伝子が刻まれているのだろうか、不思議だ。
「そうか! まだいっぱいあるからな」
「ホント、仲良しさんね。 ね、あなた」
母が僕らを微笑ましそうに眺めた後、姉さんがしているように父へと朝食を食べさせようとするが。
「む、恥ずかしいだろう……子供達の前で」
父は、赤面したじろぐのであった。
「鬼の父上も母上の前じゃ形無しだな」
「はははは」
――――――
こうして朝食を終えて、僕らは学校に行くため家に出る。
通学途中、僕は姉さんにとある事を質問する。
「いい加減、僕にばっか構ってないで彼氏の一人でも作ったら?」
「む、何故そんな事を言う」
姉さんはムッとし僕へ言葉を返す。
言葉が悪かっただろうか、僕はただ彼女の身を案じただけだ。
姉さんは学校で男女問わず人気があり、人望も厚い。
そんな人が僕に構って貴重な青春の一瞬を失ってばかりいるのではないかと、僕は心配なんだ。
その事を伝えると姉さんは、息を吐き僕へ答えを返す。
「私は、お前と過ごせれば幸せなんだ」
僕と彼女は本当の姉弟じゃないけど……。
でもお互いの事は大事に想っている、今はそれでいいかもしれない。
「おっはようございまぁす! お姉さん!」
なんて感傷に浸っていると一人の男子生徒が僕らの目の前に現れる。
そして、シャツのボタンを全開にし胸元と乳首を曝け出しながら姉さんへの決め台詞を吐く。
「今日も一段と麗しい、お付き合いを前提に結婚してください!」
「お前にも困ったものだな、私には大事な人がいると言っているだろう」
……ルイだ、朝から元気だな。
毎朝僕らを見かけては姉さんを口説きに掛かってくる。
まぁ、彼も無駄なのは分かっているけど『数打ちゃぁ当たるかもしれないだろ!』と言っていた。
彼はチャラチャラしたように見えるけど、姉さんを一目見てからは本気らしい。
「あと人前で乳首を曝け出すな」
姉さんはルイの乳首をデコピンする。
あーあー、これだから彼はこれをやめないんだよな、喜んじゃってるよ。
「あふ♥ 今日もいいデコピンだぜ……」
そんなこんなで学校に付き、僕らはいつもの日常を過ごす。
ギャル達にからかわれたり、友人達と昼休みにサッカーしたり。
そして現在、ルイのモテモテ愛され講座を放課後に皆で聞いていた。
「えー以上からして、乳首の手入れをすることが重要だな」
……メールだ。
「たゆまぬ努力の結果、今日も生徒会長に乳首をデコピンして貰えたからな!」
なんだ、裏手の山に、瘴気の形跡?
珍しいな……この近くでこんな事が起こるなんて。
「羨ましいぜ!」
「お前の乳首どうなってんだぁ!?」
「今この乳首にキスすればデコピンに関節キスて事か……?」
「あ、ちょw お前こっちくんな変態!w」
僕はお暇するか、任務だ。
「おい、どこ行くんだよ! 助けろって! あああああ~~ぁぁああ!!!」
クラスメイトに乳首をキスされているルイを放っておき、僕は学校の裏山へ向かう。
ん~いい音色の断末魔だ、どことなく気持ちよさそうにも感じる。
さぁ、説明が遅れたが何を隠そう僕は秘密組織のエージェントだ。
こうして瘴気などを祓いに行き、平和を守っている。
広大な敷地の裏山の入り口では幼馴染のスズが僕を待っていた。
彼女とはバディを組んでいる、いわば相棒だ。
僕らはこうして、戦闘員と補助要員のバディを組んで任務に当たるのが基本だ。
「遅い……」
「ごめんごめん、ルイの乳首講座を聞いてて遅くなった」
「あんたバカぁ……?」
良いよねエヴァ、僕は綾波派ですけどね。
でもスズ自身はアスカというより綾波属性だな。
「何バカな事考えてんの、行くよ」
僕は頭を軽くチョップされ、彼女と共に瘴気の発生源へと向かう。
このスマホを改良したスマーホがあれば瘴気の場所を示してくれる!
任務にはこれが必須だ。
けど今の僕にはそんなもの必要ない。
フ、僕は呪力を広げ瘴気を感知する。
「アンタ、スマーホは?」
「必要ない!」
「ちょっと!」
……近いな。
「信じられない、ホントに合ってる……」
スズがスマーホの画面を眺めながら、僕の行く道が正しい事を確認している。
どうだ、すごいだろう。
何故だか分からないが、できちゃったんだよね。
呑気な事を思っていると、小型の低級妖魔が正面から飛び掛かってくる。
「土くれや、弾丸となり敵を討て!」
「アンタ……それ……」
妖魔を退け僕は駆け抜ける。
ふふ、驚いてる驚いてる。
これが僕の真の力ってやつかな。
いつもは彼女の後ろで見てるだけだから、今日くらいは僕が役に立たないと、ね……?
……なんだ? 違和感が……。
まぁ、そんな事はどうでもいい、今肝心なのは妖魔が顕現してしまっている事だ。
急がないと被害が広がるかもしれない。
スズと共に山の森を駆け抜けていると、見つけた……!
周囲には妖魔が数体。
……問題ない、どれも中級以下だ。
「私達じゃ無理だから、応援を……ちょ、なに?」
「内に眠る生命の源よ、五行の気を循環させ魔を討つ力を与え給へ」
僕はスズに呪符を張りつけ、バフをかける。
彼女のうちに眠る力を活性化させ引き出した。
「ウソ……なにこれ……」
スズは信じられないという目で僕を見る。
僕は構わず事を進める、これだけ数がいると散ったら面倒だ。
早く倒さないと。
昨日体調が悪かったせいか、内包している呪力も少なく、何故か分からないけど周囲の魔力も薄い。
けど、あのくらいの相手なら平気だ。
「僕が大きい術を放つ、打ち漏らしが合ったら一緒に片づけよう」
「退魔の槍よ、五行の思想を経て陰陽の気を宿せ、人に仇成す魑魅魍魎を、穿て!」
僕は真言を唱え周囲に多くの呪符を撒く、するとそれらが時空を歪めたような無色彩の数本の槍へと変わる。
「いけ」
途中僕に気付いた妖魔が、声を上げて向かってきたがそれが相手の仇となった。
そいつに続くように妖魔が全てこちらに来て、それを迎え撃つだけで容易く殲滅できた。
術名はロンギヌス、神の裁きだ。
さっきエヴァの事考えてたら思いついた。
呪力感知もしたが、周囲に妖魔はいないし瘴気ももうない。
さて、任務完了だな。
「アンタ……誰?」
スズが僕を信じられない様な者を見る眼で見てくる。
そして信じられない言葉を放った。
「誰って……僕は……僕は、誰だ?」
「日本にこんな術使える人……いや世界にもいない……!」
「……ニホン?」
ニホン、てなんだ……?
どこかの地名か?
「ニホンてなに……?」
「日本は日本でしょ……? この国の名前じゃん……ホント大丈夫……?」
彼女は僕を心底心配する様な、そして心なしか怯えているような顔で僕を見ていた。
その表情が僕の脳裏に焼き付くも、僕は彼女との会話がかみ合わない事に違和感を覚えていた。
「いや、この国は日本だ……ニホンじゃない……」
「……」――――――
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