6. おまけ(ヒロイン側の心理描写)
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6話のヒロイン側の心理描写です
物語には差し支えないおまけです!
爽やかな日差しが心地の良い朝。
ホームルームの途中、先生の合図で転校生が教室に入ってくる。
しかし椿 麗香は窓の方へ顔を向けホームルームの話を聞き流し考え事をしていた。
「夜兎 煌河助月守天道(やと こうがのすけつきもりのてんどう)です!
ふつゅちゅかものですが、よ、よろしくお願いします!」
彼が挨拶を噛み静まり返る教室、そんな中麗香は長期休み中に助けてくれた男の子が教壇の隣に現れた事に驚愕し、目を丸くし見開いていた。
「ってそれは結婚の挨拶やろが~い……」
噛んだせいか勢いの貧弱なセルフ突っ込みを繰り出し、さらに静まり返る教室で麗香の心の中は様々な感情が駆け巡っていた。
何言ってんの?何故こんなところに居るのか、また会えて嬉しい!ちゃんとお礼が言える。
もう会える事はないだろうと思った瞬間、その再開は訪れたのである。
その流れで聞き流していた数秒前の自己紹介を思い出し、そして……。
「ぷっwwwははははwwwww」
彼女は笑った。
麗香は笑い上戸だ。主人公のとぼけた寒いギャグも心の底から笑っている。
しかし、この瞬間の笑いは様々な感情の混ざった笑いだった。
不思議な縁を感じた彼女は、自分の事を見つけ呆然としている男の子に対して言葉を発した。
「ははwww久しぶりーww」
ホームルームからの休み時間も終わり、朝礼会が始まった。
理事長の日常系ラジオが流れる中、こーがと呼ばれることになった転校生とその後ろの
女子2人は小声で自己紹介をし談笑をしていた。
「あーねーwアタシもアンタ年下かと思った! でもさ、アタシそんなに老けて見えた? まだピチピチの女子高生なのにさー」
「ぅあぁ、いや、あの、めちゃくちゃ綺麗で美人さんだったんで大人っぽいなて思って!ホントに!」
「かわいいかよ~♥ そんな風に思ってたん?wとにかくさ、ウチらに敬語じゃなくていーよw」
こーがに褒められ麗香はいつも通り振舞ってはいたが、内心かなり喜んでいた。
麗香は男性から避けられる事が多かったため、異性の、ましてや同年代の男の子には女性として容姿を褒められる経験は皆無だった。
「そーそ! ウチら敬語とかよくわかんないし~w」
「う、うん、ほんとにありがと、椿さん、琴宮さん」
気さくに接してくれた事や仲良くしてくれることに対し、こーがは照れくさそうに2人お礼を言う。
そんな純朴そうな少年の様に感謝を伝える彼に、椿 麗華と琴宮 陽菜の両名は胸の奥がきゅんとし熱くなっていた。
それを誤魔化すかのよう陽菜はクラスの皆へ、敬語を使わなくていい事に同意を得るように声を掛けた。
「ね、ね!皆もそれでいいっしょ!?」
皆から軽く同意を了承し満足げな陽菜。
そして普段から名前で呼び合ってる彼女らはこーがにも名前呼びを勧め始める。
「後さ、名字じゃなくて名前で呼んでよw」
「確かにw 名字で呼ばれるとこそばいんだよね~」
「いや、なんか恥ずかしいし……」
「あら、私は名前で呼んでくれるのに、同級生なんだから簡単じゃない」
「美香さん!」
「え?」「みかちゃんとこーがくんそーゆーかんけー!?」「うそ~!」
こーがが先生の事を名前で呼び、生徒と先生の禁断の関係を想像した女生徒達が口を紡ぎ、教室がざわめき出す。
その事に麗香は、ほんの少し胸の奥が切なくなるような気持になった。
「ただ学園に来る前スタリオンの検査を私が受け持ったのよ、皆が考えてるような事はないわ」
先生の答えを聞き、教室からは残念がるような声が上がる。
しかし皆の反応とは裏腹に麗香はホッとしていた、この気持ちが何なのかは麗香自身も分からない。
麗香が胸中安堵していると、椅子の背束(椅子の後ろの部分)に肘を掛けてるこーがの手を握り、目をジーっと見つめながら、陽菜が名前呼びをねだり始めた。
「あー、みかちゃんずるーい、ねえねえ、ウチも名前呼んでよ~♥ ひなーて言うてみ!」
「あ!ひなぁ!」
自分が先に名前で呼ばれる事を考えていた麗香は、割り込みされた気分になり、悔しい気持ちになった。
「陽菜……ちゃん……」
「あーあ、アタシ先が良かったのになーw じゃアタシも名前で呼んでよ!麗香って」
「麗香ちゃん……」
耳を赤くしはにかみながら2人の名前を呼ぶこーがに対し、麗香と陽菜の2人は胸の奥から下腹の辺りを
心地よく締め付けられるような感覚に陥り、身体の奥が疼いてしまう。
2人は照れくさそうに下を向いてるこーがを見つめ『やば♥……こいつマジで可愛いかも♥』なんて事を思い体が熱くなる。
そんな胸中を誤魔化すためか彼女らは、平静を装い上がった体温を冷やそうとした。
「ふー!なんか今日あっちくね?」
「た、確かに!ひなカーディガン脱ご~」
そんなやり取りを近くでされていた久遠 涼音は、こーがを一瞥しほんの少し妬いているような表情で毒を吐く。
「バカみたい……」
落ち着いた麗香と陽菜は気を取り直し、談笑を続ける。
「ま、とにかくさ、アタシら名前で呼んでよw呼び捨てでいーからさw」
「そゆことでよろしくーw」
「うん、次呼ぶときからそうするよ」
「おし!じゃあ今度さ、皆でどっかいこwLEENも交換しよーよw」
「いーね!w涼音と千冬もきょーせー参加だからね!」
彼女ら2人は皆で遊びに行く事に託けてこーがと連絡先を交換し、いつもと一味違うであろうこれからの学園生活に胸を躍らせた。
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