81. 永遠の約束 Aパート
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「小僧! あの子が危ない!」
僕は喋る剣のその言葉を聞き、すぐに呪力を思い切り広げ彼女の居場所を探る。
すると彼女の元へ歩み寄る、黒い心の存在を感じた。
次元を切り裂きその中へと小夜と入り込み、彼女の元へと次元の扉を開く。
いた……!
「クク……あとはこの邪神から残りの邪気を全て抽出すれば……」
「触るな!!!」
喰らえ……!
「!? っぐァァア!」
奴が彼女に近付けていた奇妙な道具を持った腕を斬った。
なんだ……カプセルらしきものが付いた腕輪……だけど、今はそんなものどうでもいい。
彼女の腕にハメられた鎖や手枷を斬り開放し、側に駆け寄る。
「大丈夫!?」
「来てくれたんや……ほんまあほやなぁ……」
まずい、彼女はひどく衰弱していてもう生命力の限界が近い。
くそ……やつらは、なんでこんな事……。
彼女を救えるあの術は時間が必要だ、とにかく目の前の相手を倒さないと。
「小夜、この呪符を使って彼女を頼む」
「わかった……!」
僕は小夜に緊急治療用の呪符を渡し、彼女を見るようにお願いする。
これでひとまず時間は稼げるはずだ……。
「安部清明めぇ……時間がないというのに……」
「それはこっちのセリフだ」
僕は次元斬の範囲まで奴に近付き刀を振るう。
……!? 次元斬が発動しない!?
「馬鹿め、その力は通用せん」
僕に腕を斬られた後何かのスイッチを入れていた。
おそらく、偽神力を用いた次元斬が発動しなかったのはそれが理由か……封殺結界か?
残り少ない呪力だけで戦わないといけないのか……まずいな。
それに、なんだ? ヤツの腕から黒い瘴気が溢れている。
人間じゃ、ないのか……?
「まだ調整済みだが仕方ない、ここで葬ってやるぞ! 安部清明!」
やつは注射器を取り出し自分の首に討った……。
邪気がやつを包み込んでいく……。
呪力は無駄に使えない、よく観察しろ……。
あれだ……部屋の四隅に結界を構築する反応を感じる。
ささやかな呪力の反応を感じる、アンテナのようなあの機械がこの部屋に封殺結界の効果をもたらしている筈だ。
「グゥゥウ、ウォォオォッォ!!!!」
1つ破壊した!
全部破壊しないといけないのか?
2つ目!
やつが邪気に包まれ変貌している隙に全部壊さないと!
みっつ、く……!?
やつに後ろから腕を掴まれそうになる、しかしお守りが結界を発動し守ってくれた。
結界を破壊した敵が殴り掛かってくる。
「ふぅん!」
なんとか躱したが、すごい衝撃波だ……。
僕は地を転がりなんとか受け身を取った……威吹鬼のような力だ……。
斬ったはずのヤツの腕も邪気により模られている。
「くはははは! 呪力も残り少ないようだな!」
だけど、3つ目のアンテナを破壊できた。
あとはあれだけだ……。
敵はドス黒い瘴気と邪気に包まれている。
まるで威吹鬼が邪気に包まれた時の様な力、それでいて相手は冷静だ。
本来はここまで邪気の影響を受けると暴走するはずなのに……。
「力が馴染んでいくのが分かる……はははは!」
くそ……こんなくだらない事の為に彼女は……。
「捻り潰してやるぞぉ!」
ヤツが勢いよく接近してくる、反転結界はどうだ!?
「効かんぞ!」
破壊された。
しかし僅かな隙の間に金縛りを発動できた!
「ふぐぅ……うおおお!」
ほんの2秒程度か、でも充分だ。
4つ目のアンテナは目前だ!
「雷よ! 顕現し敵を討て!」
!? あの状態で術も使えるのか!?
「くっ! ぐぁぁあ!」
「ちぃ……」
くっ……雷は喰らったけど、倶羅無を投げ飛ばしてアンテナは破壊できた……。
幸い発動速度を重視した式だ、致命傷にはなりえない。
しかし当然だが、火や雷は威力が弱くとも、人がそのまま触れればそれだけでダメージになる。
現に僕は身体が麻痺してしまい動けない……。
……ここまできたのに。
「てこずらせおって……これで終わりだ!」
ヤツの怪物の様な邪気の拳が僕に振るわれる。
くそ……!!!
「坊!」
「え?」
僕が諦めかけた時、女神様が敵との間に入り、庇ってくれた。
彼女は、結界を発動したがそれは破壊されると同時に吹き飛ばされてしまう。
「姫!!!」
なんで!?
「どうして!?」
「私の坊……来てくれて……ありがとうね……」
そんな……。
まずい、彼女の生命力がなくなっていくのが分かる……嘘だ……。
「煌河!」
そうだ……まだだ! 絶対に諦めない!
僕は小夜の声でなんとか、消え失せかけていた気力と自我を取り戻す。
何があってもあの約束は絶対に果たす、そう決めたんだ。
ヤツの拳が再び僕に振るわれる……。
鬼門司りし奈落の門番。
「終わりだ!!!」
「来い、威吹鬼!」
彼女が作ってくれた隙である程度麻痺も回復し、なんとか近くまで来ていた威吹鬼を召喚する。
呪符によって模られた陣から威吹鬼が出現し、敵の拳に自分の拳を合わせる。
「「うおおおおおお!!!」」
敵と威吹鬼の声が重なり、邪気と豪気がぶつかり合う。
くっ……凄まじい力だ!
「ゥオオラアアッ!!!」
「グォオ!」
威吹鬼が競り勝ち、敵を吹っ飛ばした。
よし、彼なら問題ない。
「二人共時間がない、後は頼む」
「まかせて……」
「その人を救うんだろ、こっちは気にすんな!」
僕は小夜、威吹鬼の二人へと残りの呪力を供給する、今ならストックした偽神力もあの術に使える。
彼らに僕自身の呪力は全て渡す!
「頼んだ……!」
「すげぇな……これなら負ける気が一切しねぇぜ」
微かに残った麻痺が僕の手を震わせながらも、必死に儀式の準備を進めていく。
周りに呪符を配し、術式の陣を構築していく。
そして倶羅無を手にし、準備が完了する。
僕はこれから意識を失った後に霊体となる。
だけど大丈夫だ、威吹鬼が来ていたように他の皆もすぐ近くにいる。
そして小夜も威吹鬼も、強い……。
よし……。—―――――
――――――
朦朧とする意識が闇に溶け消えかけていく中で、その女性は安らかな気持ちで目を閉じていた。
肉体が朽ちていく苦しみとは裏腹に、穏やかな思い出と胸中に秘めていた想いが心の中を駆け巡る。
(あの時、暗闇の中で助けに来てくれて……)
(私の事ずっと見守って、守ってくれて……)
(可愛い笑顔見せてくれて……また私のところに来てくれた……)
死に行く人間の表情とは思えない程、彼女の顔は安らかさに満ち、胸の中に残った微かな幸せを噛みしめるようであった。
辛かった……人々の幸せを思い生きたのに、人々に憎まれ疎まれ利用されて、自分自身を見て貰う事は僅かしかなかった。
結局、約束は叶わなかった。
でも……何度も助けに来てくれた、今回も……命懸けで……。
(この間まで赤ん坊だった気がするのに……助けに来てくれて、ありがとうね……)
(さようなら……)
「……いた! 待って!!!」
彼女はその思いを最後に、彼の声を聞き本当に自分の命が尽きる最後まで、自分を助けようとしてくれた事に心の底からの暖かさと安心を得る。
そして彼女の意識は途切れた。――――――
――――――
敵が主人公が来るまで結界のスイッチを入れていなかったのは、邪気を抽出するのに影響が出てしまうからという設定です
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