表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/378

80. 悲しい戦い

ご閲覧ありがとうございます!

AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください









 小夜によって拘束された彼女が高らかに声を上げる。


「それはオトリだよ! さぁ、がしゃ髑髏! 安部清明の生まれ変わりを討て!」


 なに……!?


「……」


 沈黙が支配し、骸骨たちは消えていった。

 がしゃ髑髏が生まれるのか?

 死者の怨念が集まった巨大で邪悪な悲しき妖怪……。


「な、何も起こらないぞ?」


「あ、あれ?」


「へへ、俺にかかればこんなもんよ」


 ルイ! 彼が小夜とは別に呪符を持っている。

 小夜が相手の気を引いている内に、本命の呪符を彼が取り上げていたのか……!


「ははは! ナイス!」


 僕はルイとハイタッチする。

 こういうのも久しぶりだ……。


「私も……!」


 小夜ともハイタッチし頭を撫でる。

 よく頑張ってくれた、すぐに結界の中心へ行こう。


「くそー……流石に多勢に無勢かー……」


 どこか泣いているような掠れた声を発するクラスメイトを後回しに、僕は走って先の部屋へ向かう。

 彼女にも事情があったのかもしれないけど、僕はどうしてもあの女神様を助けないといけないんだ……。


 扉を開けると、目の前に機械の様なカプセルに神々しい剣が封じられている。

 それを起点に効果を相反させ、神力を打ち消すようになっている……と思う。

 これが……これのせいで……彼女は……。

 おそらく、周りの封印術とカプセルを破壊すれば封殺結界を敗れるはずだ。


「どうだ……!?」


 僕は倶羅無を用いて、周囲のモノを切り刻んだ。

 十秒ほど待つと、結界が解け神の力を使えるのも感じる。

 呪力は大分消費したけど、まだ余力はあるし偽神力も使える。

 早く彼女の元へ行こう!


「小僧! あの子が危ない!」


 僕が部屋から出ようとすると剣が再び喋り出した。

 そして、彼女の、あの女神様の力を微かに感じる。

 次元移動する座標としては少し心許ないけど、今なら行ける……!

 何故か分からないけど、そう確信できた。


「ここから逆側だ! 皆、先に行ってる!」


 僕は次元を切り裂き、小夜と共に空間に入ってその場を後にした。


「これが例の術か……式神は一緒に行けるのか……」 ――――――




――――――





「すぐ楽にしてやるからのう……」




挿絵(By みてみん)





 琥珀は煌河達が去った後そう呟き、目の前の歪な姿を模した獣、鵺へ悲しい目を向けた。

 目の前の巨大な鵺は生きるだけで苦しんでいる。

 掛け合わされた獣たちの怨念が強大な力を生み、制御できずに苦しんでいる。

 それを感じ取った琥珀は相手を楽にするため、天へ葬り去る覚悟を決めた。


「雷よ、木の思想を経て矢となり弾け」


 琥珀は先ほど凛華が扉を破壊する際に用いた、周囲を微かに漂う雷の気を集約させ鵺へ放つ。

 さきほど凄まじい蹴りを受け吹っ飛ばされた鵺は警戒していたが、敵のあっけない攻撃に自分の方が上だと感じ直進する。

 細い雷を体に受け、もろともせず琥珀へと飛び掛かった。


「冥府へ漂いし蒼炎よ、五竜の思想を経て焼き尽くせ」


 飛び掛かり琥珀の目前まで迫った鵺は、空中で身動きが取れず凄まじい蒼炎に包まれて瞬時に焼き尽くされた。

 琥珀が消えて無くなった獣へと手向けの祈りを捧げようとすると、琥珀を挟み討つように新たに2体の鵺が琥珀に突進してくる。

 しかしその鵺達は2体のすねこすり、白百合と疾風によって平衡感覚を崩され地へと倒れ伏す。


「もう一度じゃ……」


 琥珀は蒼炎を顕現させ、2体の鵺も瞬時に葬る。


「おちおち祈りもさせてくれないとは、血の通った人間とは思えんのう……どうか、安らかに眠れ……」


「琥珀様が味方で良かったでやんす……」


「流石でございます、凄まじいお力ですわね……」


 琥珀の力を目にした白百合は感嘆し、疾風は味方で良かったと心底思いつつその力に恐怖していた。

 その光景をカメラ越しに見ていた研究員は、身体が震え気が動転していた。


「ははは……! あ、ありえない……!」


 敵が異常な力を発揮した事に悦び新しい得物を見つけたと思った科学者は、スピーカーを通し声を上げる。


「なんだ? その力は!! 絶対にモノにしてやるぞ……!」


 研究員はコントロールルームで琥珀達のいる部屋へ瘴気を噴出させる。

 部屋を瘴気が満たしていき、次々と妖魔が生まれていく。


「ひぇ!」


「これは……」


「案ずるな、問題ない」


 琥珀は周囲へ呪符を飛ばし真言を唱え、退魔結界を張る。

 展開された結界により部屋に満ちた瘴気や、生まれかけていた妖魔は霧散して朽ち果てていく。


「ははは! すごい! 何者なんだ? しかし結界は無駄だ!」


 結界は数秒後消えていき、また瘴気が部屋へと満ちていく。


「この部屋には結界術を消す術式が組まれている! 安部清明対策としてな!」


「それにこれほど術を連発してはもう持つまい! 瘴気も時期に施設全体を包む、逃げ場はどこにもないぞぉ!」


 研究員は声を荒げ、琥珀達へと告げる。

 どうしてもこの研究対象を手に入れ、自分のモノにしてやると醜い欲望を滾らせ、非常用の自爆スイッチとも言える瘴気が溢れ出る装置を起動させた。

 少なくともこのコントロールルームの中に居れば自分だけは助かるという思いが、彼を凶行に及ばせた。


「厄介じゃのう」


 琥珀が呪符を飛ばし、二体のキツネ型を模した式紙を召喚する。

 紙がかたどったそれは先程の鵺ほどではないが、そこそこの戦闘能力を持っている。

 琥珀は周囲へ呪力を広げ感知すると、瘴気を溢れさせているような装置は遠くの部屋へあった。


「先へ進むぞ!」


 妖魔が次々に生まれ行く中、式紙を囮に琥珀達は先へ進む。

 すると道中捕縛した研究員たちが目に入り、琥珀は主の言葉を思い出す。


『皆、できれば相手の命も奪わないで欲しい……』


「全く、甘い主を持つと苦労するのう!」


 琥珀は手持ちの呪符を全て飛ばし、多種多様な姿を模した三十数体の式紙を召喚。

 そして、白百合と疾風へと告げる。


「二人は式紙と連携し妖魔を止めるんじゃ、妾は瘴気の元を断ちに行く」


「分かりました……!」


「りょ、りょうかい!」


 それぞれ妖魔と戦い、琥珀は敵を蹴散らしつつ走る。

 そして瘴気の元へ向かっていると封殺結界が破壊され、神力が戻るのを感じた。


「上手くやったようじゃの、もう一踏ん張りじゃ!」


 琥珀も体力をかなり消耗しながらも、自身の心を奮い立たせる。

 走りながら神々しい白銀の妖狐に変化し、フルスピードで駆けていく。――――――




――――――



 とあるガラス張りの実験室では邪悪な笑みを零す男が、邪神とされた存在の最後の邪気を抽出しようとしていた。

 男は抽出器を片手に邪神の方へと顔を向ける。


「クク……あとはこの邪神から残りの邪気を全て抽出すれば……」


 邪神と呼ばれたその神は朦朧とする意識の中、最後の願いが、想いが心の中を反芻する。

 最後に一目だけでもあの子に会いたかった、という思いだけが彼女の意識をなんとか繋いでいた。


(……もうだめみたいやね……せめて一目だけでも……)――――――









ご愛読ありがとうございます!

面白かったら乳首をダブルクリックするようにブックマーク、評価をお願いします

気持ち良いので


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ