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6. 花園に放り込まれた珍獣

ご閲覧ありがとうございます!

AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください





 転校初日、僕は先生の声掛けから教室へと入り、シベリアの冷気並みに寒い自己紹介をかましたわけだが……なんとその教室には、るーちゃんのお姉ちゃんのギャルがいたのだ。

 女生徒達が僕に少し、いや、ぶっちゃけ割と引きつつ、若干1名のギャルが笑っているという

何とも言えない空気の中、驚愕しあんぐりと口を開いていた僕は彼女を指さしながら茫然と立ち尽くしていた。


「ははw久しぶりーww」


「あ、あぁ……」


「あら麗香ちゃんの知り合いだったのね」


 微妙な雰囲気の中ギャルが言葉を発し僕は相槌を打った。

 そんな中、女生徒達も緊張の糸が切れたのか笑いながら喋り出している。

 あの時のギャルは麗香ちゃんというのか、おそらく下の名前だろう。


「じゃぁ、夜兎くんはとりあえず、麗香ちゃんの前の席に座ってくれるかしら」


「わ、分かりました」


「お!良いじゃんw ほらー、おいでおいで~w」


「ウチらと仲良くしよ~!」


 麗香ちゃんに手招きされつつギャル達に誘われて僕は、緊張からの一歩を踏みだした。

 そりゃあ緊張しちゃうよ、なんせ先生の言われた席の周囲には見た目からしてイケイケのギャルJKばかりが座っている。

 普通に人生やってたら絶対に縁がない様なギャルJKの包囲網に足を踏み入れ、僕は窓際後方2番目の席に着いた。

 やばい勃起しそう。


「男の子1人だけで不安だろうから、皆夜兎くんと仲良くしてあげて、学校の事とかも教えてあげてねー」


 先生は最後にそう言い放ちホームルームは終了した。


 そうすると教室のほとんどの子が、周りに集まってきた。

 転校生というイベントが学生にとって楽しいのは分かるが、やばい、もうだめだあ。

 スタイル抜群な美人さんで可愛い女生徒達に囲まれ、僕のイチモツは堪えられずバッキバキにイキり立っていた。

 たぶん範馬〇牙の筋肉くらいバッキバッキだ、これじゃあ範馬〇起だよ。

 それにしてもなんなんだこの島は、当然人によって差異はあるが見かける女性のほぼ全てが容姿が整っていて魅惑的なスタイルだ。これは神がもたらした試練だろうか。

 何とか己の欲望と理性をコントロールし平静を装う。


「その子が麗香が言ってた子っしょー?」


「そそ! おーうw久しぶりじゃんかーw」


 麗香ちゃんが、僕の隣に置いた椅子に座り肩を組みながら話しかけてくる。

 いい香りがするしやーらかいのが当たってる!

 僕は生唾を飲み、胸の鼓動をなんとか制御しドギマギしながら応答する。


「そ、そうですね……るーちゃんは元気ですか?」


「元気元気! たまにおにーちゃんに会いたいつってるよwつーかさ、なんで下体操着なん?ww」


「あーそれ~w ウチも気になってたw」


「あ、朝に犬のうんこ踏んじゃって、公園で靴を洗ってたんですよ、ズボン濡れちゃって……」


「マジ~?ww」「ウンコマンじゃんww」「きゃはははwww」


 今だ!!!


「こ、こりゃあ運がなかったな~、う、うんこだけに」


「……」


 自己紹介で滑ったのを挽回しようとしたらまたもや盛大に滑り散らかしてしまった。

 だが麗香ちゃんは笑ってくれる、き、気を使わせて申し訳ない……。


「ぷははwwwこの子おもろいっしょ?ww」


「麗香は笑い上戸だもんね~w」


 そして麗香ちゃんはどうやら笑い上戸らしい、よ、よかった。

 気を使わせてるわけじゃないのか。


「そんでさ~名前長いけどウチら何て呼べばいーい?」


「好きに呼んでもらってもいいですよ」


「今までなんて呼ばれてたん~?」


「き、キンタマ……」


「え?」


「キンタマ……」


「きゃはははww」「なんでwww」「ウンコマンでキンタマてwww」


 良かった、また滑ったかと思った……。

 そう、この僕は中学生まではキンタマと呼ばれていた。


「なんでその名前でキンタマなんwww」


「あー、それは」


 事の発端はいたって単純だ。

 僕の名前は良いのか悪いのか長すぎる、それ故小学生の時に最初は、僕の名前のこうがのすけつきもりのてんどうを略して 【コーガン】と呼ばれていた。

 だがいつだったか友人の1人が『おい!コーガンて睾丸ていう意味らしいぜ!』と教室で大声で叫びそれ以来【キンタマ】と呼ばれていた訳だ。


「きゃははww 男の子ってホント子供だよねwww」

 

 自己紹介してる時に滑り倒してこの先どうなる事かと思ったが、皆笑ってくれている。

 慣れない環境で最初こそ肉食獣の中に放り込まれた珍獣の気分だったが、なんとか仲良くできそうで僕は心の中でホっと胸を撫でおろした。

 

――――


 ホームルームからの休み時間も終わり、長期休み明けの朝礼会が始まった。

 この学園は基本的に朝礼は教室で済ます、各教室に設置された黒板をスライドさせ裏から出てくるテレビを使い朝礼を行っているようだ。

 美香先生がテレビを付け、美魔女の理事長兼校長がテレビで挨拶する。

 一瞬僕はびっくりしたがすぐに我に返る。

 何故びっくりしたかだが、理事長はなんと、この島の神社の宮司さんの奥さんである。

 ついこの前そんな事を言っていたよーな気もするなと思い返す。その時は色々考え事もあって聞き流していた。

 もちろん僕も会った事がある、小さい頃にだけど。

 しかしその時と見た目が全く変わってないよーな気がするのは気のせいだろうか。

 少なくとも20代中盤くらいに見える、とんでもない人もいたもんだ。

 

 長期休み中に会えなかったので近い内に挨拶に行かないとな……。


「……」


「な、なにか??」


 そんな事を考えていると、隣の席のミステリアスな雰囲気を醸し出しているクールギャルが僕の横顔をジーっと見つめていた。

 ま、まさか僕の事が好きなんじゃないだろうな!!!だ、だめよ私たちお互いの事何も知らないのに!


「別に……」


 そう言うと彼女は読みかけの本に視線を戻す。なにもないんか~い!

 心の中でツッコミを入れ僕は自分の顔を触ってみる、何か付いてたのかな?

 すると麗香ちゃんが小声で後ろから話しかけてきた。


「アンタさ、名前長いからこーがって呼んでいいー?」


「あ、ウチも~、キンタマちゃんの事こーがって呼ぶねw」


「あ、あぁ、分かった、です」


 美香先生注意しなくていいのか?とも思ったら、先生は教壇で内職をしていた。

 政府への報告書でも仕上げてるのだろうか、PCからカタカタという音が教室に響いていて僕らの話声よりでかい。

 読めた。最後にエンターたーん!するタイプだな先生。

 まあ理事長の話を聞いてないのはいつもの事なんだろう、理事長はありがたい話の様なものはそうそうに切り上げ、昨日のバーゲンの古着が安かった~とか庭の花が咲いていた~とかそんな事ばかり話している。

 もはやただのラジオだ。


 そして可愛いギャル2人が自己紹介をしてくれる。


「アタシ椿(つばき) 麗華(れいか)よろしくねw」


「ウチ、琴宮(ことみや) 陽菜(ひな)! ひなーて呼んでね!」


「さっきアンタの事見てたクールなのが久遠(くおん) 涼音(すずね)でそこの茶髪が雪平(ゆきひら) 千冬(ちふゆ)


 今初めて皆の名前を知ることが出来た、麗香ちゃんは椿さんていうのか。

 椿さんの紹介があった後、僕の席の前の雪平さんがこちらに振り向き、挨拶してくれた。


「よろしくね」


 そしてすぐにスマホに視線へと向き直る、どうやらアニメを見てるみたいだ。

 あ、そのアニメ僕も見たことある、見た目はギャルギャルしいが雪平さんとは話が合いそうだな。

 それにしても久遠 涼音って名前はどこかで聞いたような気がするが……気のせいか。

 僕は小声で皆への挨拶を返す。


「皆よろしく」


「それよりさ、アンタ来た時驚いちゃった、もう会えないなって思ってたしw」


「それは僕もですよ、あの時はいきなり倒れちゃってすみません」


 そういえばあの時はいきなり倒れて迷惑をかけてしまったな。

 こんな日陰者の人間が突然意識を失ってさぞかし困った事だろうに、正直すいません。


「ちょっとwやめてよ!アタシずっとこーがにお礼したかったし、謝りたかったんだからw」


「麗香LEENでもそればっかだったもんねw」


 ちなみにLEENはラインだ。


「ばらすなよーこのおっぱいw」


「麗香のお乳には負けるし~w」


 そうだったのか、僕が倒れたせいで気苦労をかけさせていたとは、ありがたいけど申し訳ない。

 なんか複雑な気分だ。

 席の関係上2人は後ろにいるのでよく見えないが。

 2人ともおっぱいがでかいのか、椿さんがでかいのは知ってたけど琴宮さんもでかいのか、そうか。

 でかいのか、そうか。思わずにやけそうになるのを堪える。


「そんな気を使わせてたなんて、ほんと申し訳ないです……」


「もういいてw 後さ、こーがなんで敬語なん?」


「あぁ、あの時に年上かと思っちゃって、それで流れでつい……さっきはほんとびっくりしました」


 そう、初めて会った時ホントに年上かと思った。

 綺麗だしスタイルも良いし、人と距離を感じさせないサバサバした雰囲気もまた大人っぽく感じさせる。

 後声のボリュームが段々でかくなってきたぞ。

 そろそろ注意されそうだけど、先生はやっぱりパソコンと睨めっこしている。


「あーねーwアタシもアンタ年下かと思った! でもさ、アタシそんなに老けて見えた? まだピチピチの女子高生なのにさー」


「ぅあぁ、いや、あの、とっても綺麗で美人さんだったんで大人っぽいなて思って、ホントに!」


「かわいいかよ~♥ そんな風に思ってたん?wとにかくさ、アタシらに敬語じゃなくていーよw」


「そーそ!ウチら敬語とかよくわかんないし~w」


「う、うん、ほんとにありがと、椿さん、琴宮さん」


 改めて言葉を変えるのもなんだか照れくさいな。

 2人に敬語は不要なのは元からだろうが、それも含め色々話しかけてくれる。

 僕が転校初日で不安なのを元気づけようしてくれてるのもあるのだろう。とても優しい子達だ。

 2人にはホントに感謝だ……。


「ね、ね! 皆もそれでいいっしょ!?」


 琴宮さんが皆に呼び掛けると、どうやら皆聞き耳を立てていたのか、教室から皆の合意の声が上がる。

 皆にも敬語じゃなくていいのか、確かに2人には許可を取ったとはいえ椿さんに敬語だったから他の子達にもいきなり口調を変えるのも不安だった、そこら辺を考えてくれたのだろうか。

 めちゃくちゃ社交的で配慮の出来る子だな。

 そんな事を思い、僕は心から感心した。


「後さ、名字じゃなくて名前で呼んでよw」


「確かに! 名字で呼ばれるとこそばいんだよね~」


「いや、なんか恥ずかしいし……」


「あら、私は名前で呼んでくれるのに、同級生なんだから簡単じゃない」


「美香さん!」


 僕は美香先生をいさめる声を出す、が


「え?」「みかちゃんとこーがくんそーゆーかんけー!?」「うそ~!」


 しまった、学園に着いてからは美香先生と呼んでいたのに、つい初めて会った時からの呼び方が出てしまった。

 教室がざわめく中、美香先生は僕に向かっててへぺろしていた。

 か、可愛いけどそんな事したって許さないんだからね!


「ただ学園に来る前スタリオンの検査を私が受け持ったのよ、皆が考えてるような事はないわ」


 なんだぁ、と教室から落胆の声が上がる。

 やはり女子はこういう類の話が好きなんだろうか。


「あー、みかちゃんずるーい、ねえねえ、ウチも名前呼んでよ~♥ ひなーて言うてみ!」


挿絵(By みてみん)


「あ!ひなぁ!」


 綺麗で魅力的なギャルJKである琴宮さんが、手を握りながら僕の目をみつめおねだりしてくる……いいいいかんぞ!!!

 平静を装え、心を落ち着かせろ、ぼんのーたいさんぼんのーたいさん。


「陽菜……ちゃん……」


「あーあ、アタシ先が良かったのになーw じゃアタシも名前で呼んでよ!麗香って」


「麗香ちゃん……」


 恥ずかしがりながら僕は彼女らの名前を呼ぶ、どんな羞恥プレイだ。

 正直名前を呼ぶ事くらいはた、大したことじゃない、だがしかし名字から名前呼びに変える時ってなんか照れない?

 付き合いたての学生カップルみたいな甘酸っぱい体験をいきなりしてしまうとは、おそるべしハーレム校。

 あと今日は短い時間の間に色々あって正直テンぱってる、ギャル風に言うならキャパってる。

 僕は思いのほか恥ずかしくなってしまい下を向いてしまった。


「ふー! なんか今日あっちくね?」


「た、確かに! ひなカーディガン脱ご~」


「バカみたい……」


 僕が気色悪く照れ照れしていたのがカンに触ったのか、隣のクールギャルの久遠涼音さんが僕を一瞥し

毒を吐いた。うぇ~い、カンに触っちゃってカンカンだね~! なんちゃって。


「ま、とにかくさ、アタシら名前で呼んでよw 呼び捨てでいーからさw」


「そゆことでよろしくねw」


「うん、次呼ぶときからそうするよ」


「よしw じゃあ今度さ、皆でどっかいこ! LEENも交換しよーよw」


「いーね! 涼音と千冬もきょーせー参加だからね!」


 そんなこんなで理事長の長話が続く中、麗香と陽菜と仲良くなった。

 胸の内の大部分を占めていた不安はほぼ消え去り、これから平穏に学園生活が過ごせそうで安心した……。――――









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