72. 涙の理由
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LEENにて 生徒会グループ
凛華:こーちゃん 琥珀様から聞いたぞ、今日は災難だったな
朱鳥:辛かったわね、何かしてほしかったら何でも言ってね
凛華:誰が暴言を吐いたか精査が完了次第 屋上に呼びつけるとしよう
Karen:私はその間ずっと煌河くんの側にいてあげるからね
凛華:ずるいだろうそれは!
朱鳥:腕力で物を言わせる女性は煌河くんもお断りなんじゃない?
凛華:じょおおだんに決まってるだろう!
まころん:凛華先輩が言うと冗談に聞こえないよ~
凛華:まぁ何はともあれ、私たちは必ずお前の味方だ、なんでも言うんだぞ
まころん:私も涼音もちゃんと味方だからね!
NR:皆心配してくれてホントに感謝してます、今日は迷惑かけてすみません 僕はもう平気です
凛華:今から香蓮とそっちに行くからな
朱鳥:さっき遭遇した敵が、威吹鬼が取り込まれてた邪気が宿るネックレスを持っていたの
朱鳥:それだけ伝えたくて
凛華:ウチで預かる事になった
――――
夜の闇が満ちる一部屋で、静かに地上を照らす月明りが窓から僅かに差し込み、一人の女性の意識が眠る少年の顔を見つめる。
揺らぐ意識の中、彼女は少年を見つめ続ける。
それはどこか大切に想う相手へと向ける顔のような、そんな慈愛に満ちた瞳が揺らいでいる様を感じさせた。
(はんなりした寝顔やねぇ、それにこの呪力……)
(こないな大きなって……あんな小さかったのに……)
(おおきにな、あんな口約束守るために頑張ってくれたのは、呪力見れば分かるわ……)
彼女の心の声は震え、涙が零れていた。
初めて見た時のあの姿から、想像もつかない程大きくなった。
きっと彼は自分の知らない戦いや試練を多く乗り越え、この島へと辿り着いたのだろう。
自分が島へ来た時に会っていれば、何か違う運命が待っていただろうか……。
彼女は心の奥から様々な想いが溢れ、最後に心からの一番の想いを呟く。
「最後にもういっぺんだけ、ちゃんと、会いたかったなぁ……じゃぁね……」
肉体を通さなかったその声は、周りに響くはずもなく消え去ったが
「ん……んん、誰かいるの……?」
彼女の声が届いたのか、少年はほんの微かに目を開き朧げな意識で問いかけた。
その問いを向けた空間には誰も何もなく、彼は一瞬で二度目の眠りの園へと沈んでいった。
――――――
いつものような爽やかな日差しが差し冷たい空気が立ち込める今朝、僕は携帯を確認し、その空気は背筋を走る悪寒へと変わった。
昨日のLEENで生徒会のメンバーへ感謝の言葉を伝えた後、朱鳥先輩から重大な連絡があったからだ。
LEENを返信した後一切確認していなかった、昨日は琥珀達とゆっくりした後すぐに眠ってしまった。
そのおかげで今朝気付いたわけだ。
朱鳥先輩は何回か電話までしてくれていたのに、気付かなかった……くそ!
僕は自分の愚鈍さに腹を立てながらも神社へと続く階段を駆け上がり、おじさんの家へ、如月家へと向かう。
おじさんはこの島の責任者でもある、だから如月家で道具を預かる事になったんだろう。
「おはようございます!」
「おはよう、朱鳥の連絡を見たか」
「来たね、少し座って待ってなさい」
おじさんは突然の僕の来訪に驚きもしない、恐らく察していたんだろう。
すぐに戸棚へ向かい、例の道具を持ってきてくれる。
僕は椅子へ座り、その隣に凛華姉さんも座る。
「なんで言ってくれなかったの!」
「すまない、一応言おうと思ったんだが……連絡を見てると思ったんだ」
「そっか……ごめん……昨日は来てくれてありがとう」
「あぁ」
僕は凛華姉さんを問い詰めるが、彼女の応えを聞き、自分が責められたものではないと心を落ち着かせる。
彼女は昨日僕を心配して来てくれたんだ、それで充分だ。
それに……凛華姉さんは心のどこかで、また僕が死んでしまうかもしれないという想いがあったのかもしれない。
僕が反省していると、おじさんが僕の目の前へ水晶が付いたネックレスを差し出す。
「これが……」
「邪気の伝染の心配はないみたいだ、ただ何かおかしくてね……おや?」
おじさんは、何かに気付き新たに言葉を発する。
「邪気が消えているね……」
ホントだ……目の前の水晶からは邪気も何も感じない。
何か仕掛けが隠されているのか?
僕は指先でそれに触れ、呪力を流す。
「うかつに力を流すと危険じゃないか?」
「危険な波長は感じないけど……」
……数秒待つと、幼い頃に何度も聞いた脳裏に焼き付いた声が、水晶から聞こえてきた……!
「聞こえる……?」
「聞こえるよ……!」
「なんとか目ぇ盗んで、やつらに暗示かけたわぁ、フフフ」
「僕だよ!どこいにいるの!?」
僕は必死に水晶へと問いかけた。
彼女を今度こそ救えるんだ、今の僕なら。
だから彼女の居場所が知りたい!
「落ち着け……! 録音だ……」
「え……? あ……」
隣の凛華姉さんに宥められ僕は我を取り戻す。
どうやら、これは録音の様だ……。
僕は一言一句聞き逃すまいと、沈んだ心を切り替え彼女の言葉に耳を傾ける。
「時間もあらへんし率直に言おか」
「坊、もしも、まだ……あの日の約束に囚われてるんやったら」
「諦めな」
え……?
「どうやらもう持たへんみたい」
「なんべんも会いに来てくれて、おおきにな」
「助けたる言うてくれて、おおきに」
「可愛い笑顔見してくれて、ホンマにおおきにな」
「さよなら、元気に育ってな」
「待ってよ!」
……これはもしかしたら録音じゃないのかもしれない、そんな願いは払われた霧の様に消え失せ、彼女のその言葉を最後に水晶は砕け散る。
そん、な……。
「まて! どこへ行く!?」
「離して、探さなきゃ……」
「居場所は分かるのか……?」
……分からない。
でも……こんな……。
「そうだ! ヤツらって言ってたドーマ連盟だ! 姉さん離してくれ!」
「ヤツらの場所も分からないだろう! 無謀だ!」
「……うぅ」
如月家の襖を通し、僕の泣き声が庭へ響き消えていく。
何故自分でもこんな泣いているのか本当に分からない、ただ彼女には幼い頃に良く会いに行っていただけだ。
僕自身本気で助けたいって思ってた、彼女の境遇に心から泣いた日もあった。
でもそれだけだ、物語やお伽噺、辛い思いをした人の話に涙するように。
そんな自分と生きる世界が違う、遠い存在に対する想いだったはずなのに。
それなのに何故か涙が溢れて止まらない。
僕の心、魂が、言葉にならないような泣き声と叫び声を上げていたような気がした。——――――
――――――
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