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64. 変態と変態侍

ご閲覧ありがとうございます!

AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください







 あの日、朱鳥先輩のお兄さんと決闘を終えた僕は目を覚ましたらなんと凛華姉さんと朱鳥先輩の2人が僕の横で、そして小夜が僕に抱き着き川の字になって寝ていた。

 2人は布団に入ってはなかったんだけどね。

 目を覚ました僕は3度目の稽古だか決闘はごめんなので、2人を即座に起こしたら小夜も起きた。

 もう思い返すだけで心身共にクタクタだ。

 

 そして雨の少ない梅雨も終わりを告げ、漂う空気に夏の盛りを感じるようになってきた7月に入ってほんの数日後。

 段々と暑くなってくる太陽の日差しの下、僕は学園に向かう。

 今日は凛華姉さんは先に学園へ向かっていた。

 白百合さんの穏やかな微笑みを眺めて優雅な会話をしながらの朝食は、実に癒された。



挿絵(By みてみん)



『煌河さん、おはよう、今日は焼き立てのパンですわ』


『いつもありがとうございます、でも無理しなくていいんですよ』


『いいえ、パンを焼くのも楽しいですもの、お気に召したかしら?』


『とっても美味しいです、お腹がパンパンですわ、パンだけに』


『あら~、ふふふ』『ははは』


 とこんな風に、笑顔の白百合さんに癒されながらの朝食はティルナノーグ(楽園)に誘われたようだった。

 威吹鬼は庭で鍛錬し小夜はおねむ、ルイは何故かいなかったので2人きりの朝食となった。

 そんな優雅な時間を思い返し、僕は教室の席へと着く。


「おはよ! 野外上映祭なに見たいか決まった?」


 麗華が話しかけてきた。

 【野外上映祭】それは島で行われているイベントの1つらしく年に何回か行われているらしい。

 名前の通り野外の巨大スクリーンで映画を数本連続上映する訳だけど、学園では映画を視聴するのは芸術鑑賞の一環として野外上映祭で一本見るのが必須になっている、感想文も書かないといけないんだよね。

 飲食の屋台等も出店し少し早めの夏祭りみたいなものだ。

 過ごしやすい気候の時期に開催され、今回は島の潮風が良く吹く場所で夕方から夜にかけて上映される。

 今は少し暑いけど風が心地よくて気持ち良いんだと。

 こういう時の飲食店て値段高そうだけど、大丈夫かな?


「まだだよ、麗香は?」


「こーちゃんと同じのにしようかなってw」


「そっか、じゃあスパイダーメンでいい?」


「おっけー!」


 麗華の了承を経て、僕はスパイダーメンを見る事に決めた。

 今度上映されるのは多元宇宙論を軸にした展開らしい。

 元々シリーズは見てるし、なんだか興味が湧いたのでなんとなくそれにした。


「ウチらもスパイダーメン見ようよ!」


「私はいいや……」


「私は涼音と君の名は見るよー」


 どうやらスズと千冬は、近年大ヒットした君の名はを見るようだ。

 そして陽菜は2人と君の名はを見る予定だったのか、スパイダーメンに変えるみたいだ。


 ……彼女は今どうしてるだろうか。


「もぉー、ひなぁ!」


「だってひなも見たいんだもん!」


 麗香は陽菜に抱き着いてじゃれ合う。

 うーん、2人の仲良しギャルがイチャイチャしているのも良いですねぇ……。

 

「諸君、席につけー」


 渚先生が入ってきてホームルームが始まる。

 彼女は肝試しが終わったあたりからだろうか、その日から顔色が随分良くなっている。

 そして僕と会話する時のたどたどしさが一切なくなった。

 良かった、元気になって。


「なぎちゃん最近元気になったね!」 


「確かに、新しい男でもできたの!?」


「なぎちゃんずるーい!」


「馬鹿な事を言ってると感想文の提出枚数増やすからな!」


 ……彼女達は渚先生をからかうのを一切やめ、ピタっと沈黙が場を支配する。

 渚先生は『見たか、小娘共これが大人だ』といわんばかりの勝ち誇った顔でホームルームを進めていく。

 実際年頃の子達を纏めるのも大変なんだろうな、そりゃ酒癖も悪くなる、いつもお勤めご苦労様です。

 ちなみに酒癖が悪いのは凛華姉さんやいちごちゃんから聞いた。

 僕は窓の外を眺め暑い日差しを浴びながら先生の話をなんとなく聞く、すると。


「「「キャァーーー!」」」


 廊下から黄色い悲鳴が木霊し、僕らの教室まで響き渡る。

 隣の教室からだ、皆何があったんだとザワ尽くも、まころんが『お祭りかい!?』と言って教室を飛び出していった。

 あれは、入れ替わってますね。

 闇遊戯がサ店に行くときの様な気合の入りようだ、元々彼女は宴会好きらしい。

 威吹鬼が百鬼夜行を起こしたのも呪力や霊力を集めるだけではなく、宴会好きの彼女の魂を目覚めやすくさせるためとかなんとかっていう話だった。

 教室をカットビングして出ていくまころんに皆付いていき、僕も後に続く。

 廊下に面した窓ガラスから隣の教室を除くと……僕は教室に戻り席へと付く。

 やれやれ、ルイが朝いなかったのはこういう事か。


「特技はハイパーヨーヨーです! 俺様の美技に酔いなぁ!ほいほいほい!」


「ヨーヨーになりたい!」「私も振り回して!」「キンタマが隣のクラスで良かった!」


 わ、悪かったな、キンタマで……クラスの皆、キンタマでごめん……。

 僕は廊下から教室まで響く女生徒の黄色い悲鳴を聞き流しながら、熱くなってきた日差しに照らされて窓の外を眺める。

 もう、夏か……。――――――



――――――



 放課後、僕がスズと生徒会室に向かうとそこには皆が勢揃いしていた。


『お!wキンタマハケーンw あまりのあだ名に草を禁じ得ないw』 


『こーちゃんへのサプライズだ、どうだ?』


 ……どうだと言われてもな。


『相変わらず変態だなと』


『お前モナー! 変態キンタマスタリオンスケコマシウンコマン!』


 僕のフルネームみたいなあだ名のマキシマムネームやめろよ……。

 最近になってこの学園は実は共学と化した、僕のスタリオンとしての役目を政府は期待していたがあまりにも発展の芽が見えないので共学へと変わってしまった。

 と言っても男子生徒は僕とルイの2人だけだ、入学させるべき人材には慎重になってるらしい。

 そして姉さんからの話を聞くと、ルイが夢魔のインキュバスである特性を活かし学園に新しい風を吹かせようとか、スタリオンの近くに置けば化学反応出るかもとか様々な目論見があるらしい。

 夢魔とスタリオンの特性が少し似ていることから、夢魔の研究も裏では盛んになっているみたいだ。


 そして今日の任務は二手に別れ、僕らはヴァンパイアの痕跡が残る一軒家へと訪れていた。

 もう片方は瘴気が発生してそうな前兆があったから、そこへ向かい調査の助っ人だ。

 そこへ着くと今回の任務を預かっている宵一さんが挨拶してくる。


「よくきたな! 我が弟よ!」


「弟じゃないですよ」


「あら、私が相手じゃご不満かしら?」


「いや、そんな! 滅相もない!」


 朱鳥先輩は『冗談よ』と軽く笑う、僕だって分かってますとも、しかし朱鳥先輩にからかわれると大人の女性にからかわれているようなでなんだかムズ痒くも、気持ち良い様な気分になってしまう。


「何をデレデレしている、全く」


 凛華姉さんにチョップされてしまった。

 どうやらギリギリ崖の上を行っちゃったらしい。

 履歴書の得意な事に、ギリギリchopて書いても怒られないくらいにはギリギリchopだ。


 とまぁ、そんな事は置いといて今回の調査メンバーは、朱鳥先輩に、凛華姉さん、小夜に僕だ。

 お兄さんの宵一さんが率いる調査隊はこの一軒家の捜査を任されたみたいで、僕らはそれに協力するよう遣わされた。

 もう片方の班では今頃、生徒会のメンバーや僕の別の式神達が調査班に合流している筈だ。


「夜な夜な怪しい声が屋敷から聞こえてくると聞いてな、やつらが仮のアジトにしていたみたいだ」


 なるほど、周囲に被害は無かったんだろうか。

 やつらは人間という獲物が取れない時は、動物の血を摂取する。

 どこかに動物を仕留めた血の痕跡などがあれば、周囲を根城にしているかもしれない。 


「……周囲に被害はない、おそらく慎重になっているな、動物の血の痕跡も見当たらん」


 流石にそれくらいは調べているか、古くからヴァンパイアハンターの役割を担い日本を守ってきた家系だ。

 僕らは地下の部屋へ通される、暗がりの階段へ僕が魔力の明かりを灯し広い部屋に出ると。


「おかしな臭いがするな……」「うぅ変な臭いする……」


 凛華姉さんと、小夜が同時に口を開く。

 そこには何か実験の後の様なものが散乱していた。

 床に試験官が転がり、手錠や足枷などの高速具が置かれている。


「何かの実験をしていたみたいだ、この光景に何か心当たりはないか?」


「いえ、僕は何も……」


「W.S.でもダメか……」


「ぶっ!」


「む、どうした?こーちゃん」


「いや、何故それを……」


 W.S.と言うのは僕がルイと北欧に行った時の師匠が付けたコードネーム。

 読みはダブルエスでシノビサムライらしい、しかし北欧で軽いニュースになった際、【ウィザードサムライ? ワンダーサムライ? W.S.と名乗る上半身裸の謎の変態侍出現!】みたいな感じで新聞に乗っていたと帰国後に師匠が教えてくれた。

 完治不能の中二病を患っている師匠は、自分が付けたコードネームが理解されないのに藻掻くもどこか嬉しそうにしていたのを覚えている。


「陽景から聞いたぞ、人狩り派閥のヴァンパイアの幹部を倒したと、それはもう嬉しそうにしてな……そういえばそうだ、お前! 俺の最愛の妹だけではなく、女性までも! ぬおおおおお許さん!」


 先ほどまで僕を我が弟などと呼んでいた大男は悔しそうに身を悶えさせる。

 なんだ、もしかしてこの人……師匠が好きなのか……?

 はっはっは、物好きな人もいたものだ。


「なんだその顔は! 大人をからかうんじゃない!」


「いてっ!」


 少し強めのゲンコツを喰らってしまった。

 いや、普通に、かなり痛いんですけど……。

 彼らのフィジカルは凡人からしたら凶器なんですが……。

 思わず僕は涙目になる、泣きたくて泣いてるわけじゃない、痛いんだからしょうがないでしょ!


「ちょっと兄さん! 何するのよ!」


「かわいそうに、私がよしよししてやるからな」


「おじさん……! こーがに何するの……!」


 僕は、2人のお姉さんに抱きしめられ頭をよしよしされる。

 ま、まぁこれなら殴られた甲斐もあったというものだ、痛いけど。

 そして小夜は宵一さんをポコポコ殴っている。


「あ、朱鳥! 兄さんも痛い!痛いぞ!」


「あっそ」


 自分の頭を差し出し妹へ撫でてアピールをする兄は軽く受け流され、宵一さんは何かの報告へ来た配下にドン引かれていた。――――――






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気持ち良いので


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