59. バレてはならない
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一波乱を終えた静けさの際立つ真夜中。
学園の寮の自室で椿 麗華は、一人考え込んでいた。
「何か引っかかるんだよね……」
この島で一体何が起こっているのか、そして深入りすれば命を落とすと言われた。
当然こんなオカルトチックな事など何ひとつ分からないし、自分はそれに従うしかない。
しかし、どーしても引っ掛かる。
胸の片隅に何か見落としているような、そんな思いを抱えながら麗香は島での出来事を振り返り、一日を終える準備をする。
「この島で何が起こってるんだろ……」
外出禁止令が出た日から順に島がいきなり暗くなった事。
化け物に襲われた事、麗香は順番に思い出していく。
あの日は動物が街に降りてきたから外出禁止になったはず。
しかし、そこまで多くの動物が山から下りてきてるとは麗香には思えなかった。
「あの時もあの人に助けて貰って……」
麗華は狐の仮面をつけた存在に助けられと事を思い出す。
(そうだ……え……? あの人と一緒にいた、私の手を握ってくれた女の子が付けてた簪……)
布団に寝転がりながら麗香は、とある女の子が付けていた簪を思い出す。
それはクラスメイトの男の子の妹が付けていたものと同じものだったはずである。
(それに、小夜ちゃんと一緒に暮らしてるはずの男の子……)
(ホントに神様じゃないんだ……あの男の子は……まさか……)――――――
――――――
一部の人間には波乱万丈であった肝試し大会は幕を閉じ、僕はその次の日である今日、学校を休んだ。
そして夕方、夢幻神社の一室で僕らは弥彦おじさん、莉々菜さん、生徒会の面々達や様々な任に付く人達と緊急会議を行っていた。
「それじゃあ、まだ手掛かりは……」
「まだ見つかっていないみたいなの、なんとか呼び寄せる事が出来ればいいんだけれど……」
肝試しの件で島の警備が薄くなっている事を突かれ、早急に結界を張り直さなければならない。
そのために百鬼夜行の黒幕が持ち出した、島で奉っていた神剣を返してもらわねばならないという事だ。
その神剣を頼りに結界を張れば、かつてのような防御結界を張れる。
「彼女が見つかったら、僕になんとか任せてください!」
「……」
僕は、弥彦おじさんにもお願いする。
組織の一番偉い人は、彼女を救いたいという僕に賛同してくれている。
しかし、いくら偉くても一人の意見だけではどうにもできない事もある。
組織は彼女に神剣を返してもらい次第、掃討する方針で動いている。
百鬼夜行を引き起こした黒幕という事実が、組織の重鎮の多くにそれほど重く受け止められている。
「……」
「お願いします!」
僕はなんとか権力を持つおじさんにも頼み込むが、おじさんも難しいだろう。
それは、分かってる……分かってるけど、今の僕は余りにも無力だ。
こうして頼み込む事しかできない。
「彼女がもしおじさんの目の前に現れた時、なんとか僕と会わせてくれるだけでも……」
そうすれば、威吹鬼の時みたいに救えるはずなんだ……。
「……出来る事はすると約束しよう、私も彼女に殺されなかったしね」
「充分です、ありがとうございます」
「こーちゃんは甘いな……」
僕は頭を下げ、凛華姉さんに小言を吐かれるも、おじさんに礼を言う。
おじさんと琥珀が島を出て彼女を追っていた時に、おじさんは怪我をさせられたが殺されはしなかった。
その事に少し、おじさんも相手を気遣っているというか、情があるのかもしれない。
凛華姉さんはたぶん彼女が嫌いだ……その事はいずれ生徒会の皆にも話す事があるだろうか。
さて、僕のせいで変な空気になってしまった。
今は気を取り直して会議を進めないと。
おじさんは場を仕切り直して、口を開き会議を再開する。
「とりあえず今は、煌河くんを軸にして結界を張って貰うしかないだろう」
「神剣が戻るまでの間、島の防衛として、寺子屋の妖怪達にも協力して貰う」
「桃源郷計画は先送りだね」
桃源郷計画、国に許可された人物とその家族しか入れないこの島を観光地として開放するらしい。
最近公にされた計画みたいで、僕もさっき知った。
この状況で解放したら、確実に民間人にも被害が及ぶだろう。
「彼女らの目的はなんだったか分かったかい?」
「いえ、詳しい事は何も、ただ……」
尋問を任されていた人物におじさんが問う。
先日の肝試しの件で起きた、ヴァンパイアと魔女との遭遇戦。
ヴァンパイアは自害し、魔女は琥珀が生け捕りにし、尋問が行われていた。
「やつら、神剣を狙っているみたいです、魔女は只の雇われの身らしく神剣を探すため学園に潜入したと」
「そうか、ご苦労様」
そうそう、あの肝試しの後、何があったかというと。――――――
――――――
『どーした!?何かあったのか!?』
凛華姉さんの声が無線を通し夜の学園に響く。
そこからは僕は化け物から逃げ、幸か不幸かトイレに駆け込み逃げ場を失う。
「うおおおおおお!」
僕は自分の尻を霊に向け汚物を噴出する事で除霊を完了した。
泣きながら便所掃除をする中、生徒会の皆に無事を伝え、何があったか話した。
もちろん、うんこを噴出し巻き散らした事は伏せてね、これは絶対にバレてはならない。
『ブハハハハハ!wwww』
これは後から聞いたけど、ゴッドエネルの如く僕へ意識を向け状況を把握していた琥珀は、こんな感じでゲラゲラ笑っていたらしい。
そもそも、彼女の凄まじいカンチョーのせいでこうなった訳だが、反省するどころか嘲り爆笑するとは。
カカシせんせーの千年殺しでもああはならんぞ。
でも少し責任を感じた部分はあるのか、僕がうんこを巻き散らしたのは皆に伏せてくれている。
まぁ、そこは感謝しよう素直に。
彼女が教えてくれなかったら麗香も助けられなかったしね。
そして大雑把に片づけた後、懸命にデッキブラシで床をこすってる惨めな僕は無線から彼女達の話を聞いていた。
『ヴァンパイアは、処理班を呼んでおいたわ』
『よし、それじゃ朱鳥は処理班が来るまで待機、私たちは彼女達を家に送ろう』
琥珀が捕らえた魔女を見張ってる中、朱鳥先輩は自害したヴァンパイアの処理班を待ち。
凛華姉さん達は何かしら理由を付けて麗香達を家の近くまで護衛。
皆がまた、学園に集まる頃にはうんこの処理も大分終わっていた。
「怪しまれない様に、ひとまず合流するか……」
やれやれ、真夜中の学園で一人でうんこ掃除する男。
今夜遭遇したどの化け物より僕が一番妖怪っぽいではないか。
名付けて妖怪脱糞小僧、ションベン小僧にちなんだ名前だ。
……誰が脱糞小僧だ、ふざけんなよホント。
自分のネーミングセンスに腹を立てセルフ突っ込みを入れ、僕は一旦屋上へ向かう。
「来たな脱糞小僧、っぷははww」
「……」
おーおー、好き勝手笑いなさる。
そんな貴方に、因果晒し。
「まぁ、拗ねるな、妾は好きだぞ? アホに磨きがかかってて大層愉快じゃ」
誰がアホじゃ、まぁアホなんだが。
彼女は思い出の誰かさんと今の僕を比べてるんだろう。
「このぉ! モフモフの刑じゃい!」
「こ、こらぁ! ン……♥」
僕はお返しとばかりに琥珀の尻尾をモフモフする。
うーん気持ち良い、琥珀もモフられて気持ちよさそうだ。
『ここかぁ?ここがええのかぁ?』ほらほらほらほらぁ!
すると。
「あ、失礼しました」
僕らが乳繰り合っていたら屋上の扉が突然開き、突然閉まった。
『まてまてまてまて!』僕は戻ってきた皆へ十秒で誤解を解き、魔女への質問タイムを始める。
「こら、目を覚ますんじゃ」
と琥珀が魔女をビンタした。
2発ほど思いっきりいったな、何か癇に障る事を言われたのだろうか。
「んん……」
「あ、この人……」
頬を赤く腫らす魔女は目を覚ましたみたいだ。
しかし、この女性どこかで……?
香蓮ちゃんは誰か気付いたみたいだ。
「貴様、船上パーティーにいたな、何が狙いじゃ」
「え? あなたはあの! 香蓮様と踊ってたお姉さま!?」
……そうだ! 香蓮ちゃんが主役の作品の原作者の人だ!
まさか魔女だったなんて……。
「やっぱり……何が目的なんですか? あなたはこんなことする人とは思わなかったのに……」
「もちろん、香蓮様に近付くためよほぉ! んほぉー!」
いや、んほぉじゃないが。
香蓮ちゃんちょっと引いてるし。
「挨拶した時はこんな感じじゃなかったのにな……」
「あれは猫を被ってたの! でももー吹っ切れちゃった!生香蓮様カッコイイー!!むひょぉー!!」
「これ、はよ説明せんかい」
琥珀がバチーンと彼女のほっぺを再び引っぱたく。
うーん、良い音。
「ひゃ、ひゃい……」
頬が腫れたから上手く喋れないらしい。
「ドーマ連盟会に誘われて、島へ行けるようにしてやるから協力しろって言われまして」
「香蓮様に会えると思って、つい……」
「大ファンだったんでつい……」
琥珀は溜息を吐き。
「もう一発行こうかの」
「ほ、ほんとなんですって!」
……。―――――――
―――――――
と、こんな事があった訳だ。
魔女への質問タイムを終え解散した後、僕は抜かりなくトイレへ戻り夜明けまで掃除をしていた。
僕の矮小な尊厳の為一片の証拠も残してはならないからね。
小さいからこそ、それが潰れたらもう終わりな訳だ。
ギリギリでいつも生きていたいから、アッアッー!
「では、会議はこのくらいにして夕食にしよう」
僕らは会議を終えて、大勢で夕食を取り、その日は軽い宴会となった。―――――――
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