58. 木霊する懺悔
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遠くへ煌く街並みが見える真夜中の学園の屋上。
壮麗な白狐に変化した琥珀が、相対する敵へと威圧的に詰め寄る。
「貴様か、学園に下劣な蝙蝠を入れたのは」
「あなた、もしかして……ふふ、お気に召した?」
黒衣の外套に身を包んだ女性は目前の敵への存在に感付きながらも、退却するため後ずさり目を反らさず様子を見る。
「小物が、図に乗るなよ」
声に威を込めた琥珀は自らの毛を針のように飛ばし、相手はそれを結界で防ぐ。
その隙に一瞬で距離を詰め、前足を一振りし結界を破壊する。
その瞬間。
「かかった!」
「なに!?」
敵は召喚した樹木の枝を操作し琥珀を捕え、琥珀はなんとか抜け出そうとクネクネと体を捻り藻掻く。
「おのれぇ! ゆるさんぞぉ!」
「ふふ、じゃあね、間抜けな神様」
女性は黒衣の外套をはためかせ箒にまたがり、琥珀が藻掻く様子を楽しみながら飛び立つ。
「ぬぉぉ! まてぇ!」
「なにあれ、大したことないじゃない」
女性は鼻を鳴らし、琥珀を馬鹿にするよう見下しながら学園から離れる。
声を荒げながらクネクネ動く巨大な白狐を見て『帰ったら勝利の宴ね』と余裕シャクシャクに酒に合う夜食のつまみを考えていると。
「へ? ぺぎょえっ!」
「神通力じゃ」
突然巨大なベニヤ板が空中に現れ、女性は思い切り打ち返される。
気を失った女性は、何事もなかったように余裕で樹木を振りほどく琥珀の元へ吹っ飛んだ。
そして琥珀は先程かけられた言葉をそっくりそのまま返す。
「前を見ないからそうなるんじゃ、間抜けめ」
人型へと戻った琥珀は呪符を飛ばし、しめ縄に変化したそれが女性を縛り上げる。
見覚えのある顔を見下げながら、『面倒な事になりそうじゃ』と思いつつも捕らえられた時に油断を誘うため変な演技をしてしまった自分を思い出し、ほんの少し頬を赤くし小さな羞恥心が湧いた。
「まったく、変なことさせおって」――――――
―――――
「はぁはぁ……なんだあいつ……」
中世ヨーロッパの貴族のような服を身にまとった吸血鬼は、木陰に姿を隠し息を整える。
焦燥感をなんとか制御し、先ほど相対した敵を思い出していた
「次元を切り裂いたのか……? あんなやつがいるなど……聞いていないぞ!」
報告に無い異常な力を目にした吸血鬼は憤りを膨らませていく。
血は惜しいがここは一先ず退却するかと踵を帰そうとした時。
「目的は何?」
木の裏から漆黒の影の剣を首元に付きつけられる。
「ぐっ、貴様……夜霧か!」
「答えなさい」
相手への言葉に聞く耳を持たず、影に潜んだ朱鳥は敵の喉元へと刃を食いこませていく。
「お前らの思い通りになると思うなよ……」
「……」
「俺が死んでも! 同胞が必ず復讐を遂げてやる!」
「!?」
喉元に刃を突き付けられた吸血鬼は死に、地へと倒れ伏す。
先程の問答がなかったかのように、辺りが静寂に包まれた。
朱鳥は血だまりが広がって行くのを見つめる中、自分の一族に宿る呪いの様な確執に嫌気がさし溜息を吐く。
「バカね……自分で舌を噛み切るなんて」――――――
――――――
ふう、爽快爽快。
僕はしっかりとお尻を拭き直し、心地よい気分のままトイレを出て校舎内を練り歩く。
後は噂の化け物をなんとかすれば任務完了なんだけど、どこいるんだ?
今夜中には会えない可能性もあるよな、さっきトイレにそれらしきものが来た時に無理矢理にでも対処すべきだったろうか。
だって今ノーパンなんだもん、おかげでスースーする。
麗香を助けた後トイレに戻って確認したら、案の定パンツに茶色いシミができていた。
結局ノーパンになるならさっきも動いて対処すればよかったなと思う訳だ、結果論だけど。
ちなみに染みつきパンツは次元庫に収納している。
これじゃあ次元うん庫だよ次元うん庫。
再び、探知をしてみるとどうやら琥珀は敵を生け捕りにしたみたいだ。
流石だな。
琥珀には無線渡すの忘れてたから、細かい状況は直接聞くしかないけど問題ないと思う。
僕が逃したヴァンパイアに対処してくれた朱鳥先輩は、敵が自害したらしい。
……夜霧の一族は日本のヴァンパイアハンターでもある。
過去、日本に侵略するようなヴァンパイアに随分手を焼いたこの国は、夜霧の一族と手を組み対処していた歴史がある。
しかしなんでやつらが、ここに……今夜はもう切り上げた方が良いな……。
そう思っていると。
『今夜は、切り上げよう』
凛華姉さんが皆へと無線で告げる。
ちょうど皆も解散ムードになってたみたいだ。
たぶん、麗香は僕の忠告が聞いたんだろう、さっきの事は黙っているみたいだ。
彼女は優しいから、友達にさっきの出来事を話したら深入りして危険が及ぶかもしれないって事が分かったはずだ。
そんな事を思い足を動かしていると……背後から何かが僕を付けて来ているような気配を感じ背筋を凍らせる。
落ち着け、一先ず探知で距離を測るんだ……。
反応がない……さっきもそうだ、思い返せばさっきの探知も僕ら以外は誰もいない……。
まだ敵が潜んでるのか?
……それともホントに幽霊……なのか……?
僕は固唾をがぶ飲みし、後ろを振り返る。
「ん……こぉ……!」
「ひぃっ!」
そこには白いモヤがかかった人型の何かが、僕のすぐ後ろを付けていた。
「イィィヤァァッァァァァ!!!」
『どーした!? 何かあったのか!?』
腕を思い切り振りモモを上げ、陸上部顔負けのフォームで風を切り校舎を駆ける。
恐怖でかっぴらいた目が風で渇いていくのを感じる。
なんだあれなんだあれなんだあれ。
数十メートルくらい走ってると後ろから声がするのに気付き後ろを振り返る。
僕は驚きのあまりギャグ漫画のように自分の目が飛び出しているのを感じた。
「うんこうんこうんこうんこうんこうんこぉ!」
「おいいいい!!!なんで付いてきてんだ!!!」
学園の噂では遭遇した人間を追いかけるなんてしてないはずだ! なんで僕を追っかけて来てんだ!
僕は息を切らしながら校舎を駆け抜けるが、やつは負けじと僕の背中を親の仇のように追ってくる。
「んこんこんこんこんこぉ!」
や、やばい……! 行き止まりだ……!
恐怖で満身創痍になり必死に走っていると、先程のトイレへ駆け込んでしまう。
逃げ場はどこにもない。
あやつは頑固にうんこを連呼、深層意識に沁みつくうんこ、某必死にトイレへ運行、YEAH。
考えろ……生き残る術を……。
そうだ! やつはしつこくうんこを連呼している、それは有り余るうんこへの渇望、執着心。
つまり。
「うおおおおお!!!」
心からの気迫を込め僕は尻を丸出しにし、やつへ向ける。
それからは、もはや言うまでもないだろう。
除霊は完了し、僕は徹夜して便所掃除をするハメになった。
そして夜明けを迎えたその日、学校を休んだ。――――――
―――――
白鳥 渚は酔っ払い友人へ自宅へ運ばれた後にベッドへと突っ伏していた。
そして夢を見る、自分が真夜中の学園の校舎を徘徊する夢。
『あぁ、またこの夢だ……』
何故こんな夢を、真夜中の学園でとある男子生徒を探し回っている。
彼に謝りたい、ただそれだけを思い、彼女は学園を徘徊する。
どこにもいない、どの教室を探しても。
「ぅん……こぉ……」
トイレに入ってみてもその姿はない、しかし。
「うんこぉ……くさぃ……」
うんこの臭いが充満していた……。
そこからしばらく彼の姿を探す。
どこだ……どこにいる?
あ!あの背中は……!
付いていくが中々顔を見せない。
お前はあいつだろう?私が顔面へとうんこをぶちまけてしまった、あの男の子だろう?
そう期待を膨らませながら夢の中の渚は、期待に胸を膨らませた。
彼の足が止まり、彼が振り向く素振りを見せる。
そして彼はこちらへと顔を向けた。
『やはりそうだ!』
『まってくれ! なぜ逃げるんだ! 謝らせてくれ!』
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!』
「うんこうんこうんこうんこうんこうんこぉ!」
「おいいいい!!!なんで付いてきてんだ!!」
『なんだ、その顔は、とりあえず謝らせてくれ!』
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
「んこんこんこんこんこぉ!」
追っていた男子生徒はトイレへと入り逃げ場は無くなる。
これでしっかり謝る事が出来る。
さぁ、私に謝らせてくれ!
『ほんとうにごめんなさい!』
「本当に……うんこぉ!」
「うおおおおお!」
『……!? 突然私に尻を向けた!?』なぜ……?
そうか、目には目を歯に歯を……うんこには、うんこを……!
それが私の罰への贖いならば受け入れよう。
渚の心へそんな贖罪の気持ちが満ちて、彼女の視界が茶色に染まる。
それと同時に、彼女の心は煮え詰まった業が全て洗い流されていくような心地がした。
「ごめんなぁ……!」
『ナイスうんこ夜兎、これでお互い様だな……!』――――――
――――――
「ちょっと! 渚! 渚!」
「う、う~ん……おはよう、美香どうした?」
「すごいうなされてたわよ……うんこうんこって……」
「ふふ、ふはははは! そうか! はははは!」
「……もしもし病院ですか?」
夢から覚めた渚の顔はさっぱり良くなり、ここ最近の不調が嘘のように生気を取り戻していた。
――――――
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