55. 開幕、一夜の肝試しパーリー
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元々任務で僕ら生徒会は学園に集合予定だったが、僕の不用意な発言のせいで麗香達とも肝試しをする事になってしまった。
もちろん任務の事は伏せ、お互いのグループに話は通してある。
斯くして今夜は、肝試しパーリーナイトとなったわけだ。
今夜の作戦はこうだ、グループを2つに分け僕らは無線でスキを見て連絡、麗香達を護衛、監視しながら敵を調査。
敵の特性を判断した後に怪異に対応できる人間が、グループをさりげなく離脱し対処に当たる。
まぁ、琥珀曰く今回の怪異は民間人に見えにくい、なんとかなるか。
「危ない場合は助けてやるからの」
という事だ。
正直言えば、琥珀が手を出せば一瞬で終わるだろう。
だが彼女は僕らに経験を積ませるため、作戦を決行しようと言い出した。
結構な事だ、決行なだけに。
……僕は完全に琥珀の下位互換なんだよな、僕この島に必要か?
神様と比べるなんておこがましいし、罰当たりだけど。
でも、僕にはキンタマが付いてる、あだ名もキンタマだ、キンタマが3つ付いていると言っても過言じゃないだろう。
そこは勝ってるな。
「……まぁ時が来れば、分かる、妾は身を隠し見守るとするかの」
オーケーベイビー。
「誰がベイビーじゃ」
琥珀は某カタツキ作品のサーバントのように一瞬で姿を消した、僕らを監視してくれるみたいだ。
僕らがそんなやり取りをしていると、賑やかな声が段々と近付いてくる。
「香蓮先輩カワイイ……」
「そ、そんな事ないさ……キミ達の方が可愛いよ!」
「アレックス様ギュー!」
「愛らしい陽菜ちゃんにそんな事されたら、私も応えないとね、ギュー」
「んでもって、めちゃカッコイイ……!」
「……」
何て光景を見てしまったんだ……陽菜が香蓮ちゃんに抱き着くのはまぁ良いだろう……。
それで香蓮ちゃんに抱きしめ返され、乙女モードになってるのも分かる、実に良い光景だ。
しかし……嘘だろ。
人前でスズが香蓮ちゃんに抱き着いている。
たぶん陽菜に対抗心を燃やしたんだろう、まさかこんなレア場面を見れるとは……。
「ちょっと、何見てんの……」
数十メートル先からも聞こえる賑やかな会話をしながらも彼女達は僕らと合流するやいなや、スズから不審者を見る様な眼で見られる。
……ご褒美ありがとうございます。
と同時に逆方向から、朱鳥先輩とまころんがやってくる。
彼女達は、念のため学園へ人が近づかないか見張っていたわけだ。
まぁ、基本的に学園には結界が張ってあって、それには人払いの効果も含まれている。
故意的に意識をしない限り人が近づく事は無いが、陽菜達みたいに肝試しにくる生徒がいるかもしれないしな。
「朱鳥先輩、おはよございます! 小夜ちゃんとまころんおっす!」
「……おっす!」
「おっすー!」
麗華が挨拶し、小夜とまころんは挨拶されたままを返す。
小夜のおっす、かわゆす。
「あれー? さっき琥珀姉さんいなかった?」
「急用を思い出して帰ったよ」
千冬は目敏いな、ここは普通に誤魔化しといた。
「そっか、残念ー」
メンバーは勢ぞろいし、各々挨拶を交わした。
まころんは麗香達も含めクラス全員と仲が良い、色々なグループと広く深く交流するタイプだし皆からも慕われている。
前は麗香達ともよく遊んでたみたいだけど、最近クラスでは別の子達と一緒にいる。
琥珀は船上パーティー以来、麗香達と仲良くなって琥珀姉さんと呼ばれ慕われている。
いつの間にか連絡先も交換したみたいだ。
この前、小夜と琥珀も携帯を購入したからな、僕のお小遣いで。
琥珀は自分を美しいと褒める者には弱い、ほだされてしまったんだろう。
まぁ実際美しいが、うら若き乙女達に混ざってる1000歳をゆうに超えてるおばs
ズブッ
「!?」
イデッ!?
琥珀に思い切りカンチョーされた。
いや、今のは普通に僕が悪かった、正直すいません。
今のはネタというか冗談で言っただけで、僕は普段から琥珀の事を美しくて可愛いらしいと思っているからそれは彼女も分かってるはずなんだが……。
見えないのを良い事に今夜悪戯するつもりじゃないだろうな。
やばい、うんこ出そう。
「こーちゃん、どうしたの?」
「いやぁ……何でもない……」
僕は琥珀に刺激された肛門をギュっと引き締め、麗香に答える。
あまりにもカンチョーの威力が強すぎて、顔色も肛門色になっていたかもしれない。
皆集まったので凛華姉さんが舵を取り始める。
……。
「それじゃ、くじ引きで班を決めるか」
「……ごめん、先に行ってるから始めてて!」
我慢できない……!
今までうんこ踏んだりして冗談交じりにウンコマンと呼ばれていたが、このままじゃ正真正銘のウンコマンになってしまう。
キンタマ、ウンコマン、スケコマシ、新たにE・HEROネオウンコマンと呼ばれてしまう。
我ながら凄まじい称号力だ。
僕は皆へ背を向け、学園内のトイレへと駆けだした。
「あ、おいどこに」
「お花を摘んできます!!!」
「それを言うなら、雉を打ちに行くだろう……」――――――
――――――
『こ、困った事になった……』と凛華を頭を悩ませる。
生徒会のメンバーは任務で学園に来たが、くじ引きで煌河の力を使いメンバーのバランスを取る予定だったからだ。
いわゆるイカサマではあるが、こういう場合は民間人に危害が加わらない方が優先だ。
「そうね、生徒会のメンバーと麗香ちゃん達で別れてグーパージャンケンをしましょう」
「うむ、そうだな」
朱鳥が機転をきかし、皆を誘導する。
生徒会のメンバーも同意するので、流れで場の全員が同意し一先ずは事なきを得る。
重要なのはメンバー編成である。
「人数的に私はあっちね」
「うむ」
涼音は凛華へと小声で告げ、麗香、陽菜、千冬に混ざる。
生徒会の方は凛華、香蓮、朱鳥、真心、小夜。
その中からメンバーを分ける事になる。
凛華は数秒沈黙し班の構成を考える。
A班は、香蓮、朱鳥、小夜。
制圧力と牽制力の高いバランスの取れたメンバーで、これで民間人の二名を守る。
B班は凛華、真心。
スズがいる方にB班が加わるという形だ。
こちらは護衛対象は1人なので、スキをみて怪異に対応する実働的なメンバーとなる。
生徒会メンバーはジャンケンをするフリをし、凛華に了解する。
こちらの統制がとれたところで、凛華は無線で煌河へ指示を飛ばす。
「こーちゃんは一先ず遊撃で調査だ、頼んだぞ」
『オーケーベイビー……』
ぎゅるるるというお腹の音が無線越しに聞こえ、生徒会メンバーのクスクス笑いが煌河へと伝わる。
『……む、無線切っとく』
煌河は無線を切り、足早にトイレへと歩を進める。
自分たちのメンバー分けが終わったところで、凛華はもう片方の麗香達へ声を掛ける。
「そちらは、決まったかな?」
「アタシ達がパーで」
「ひな達がグーね!」
パーが麗香と涼音、陽菜と千冬がグーである。
生徒会メンバーもそれに応えて、チームに別れていく。
最終的なメンバーは
A 香蓮、朱鳥、小夜、陽菜、千冬
B 凛華、真心、涼音、麗香
となった。
メンバー分けも終えたところで凛華は皆へと切り出す。
「こーちゃんは適当に鉢合わせた方に合流するだろう」
「では、皆着いてきてくれ」
凛華は鍵を開けておいた窓がある場所へと、皆を誘導する。
本来は任務として、理事長である母、莉々菜の許可は得ている。
「凛華先輩すごーい!」
「ふっ、この程度たやすい事だ」
アゲ上手な陽菜に褒められ、凛華はつい得意気な表情をしてしまう。
「さて、A班から先に行って、私たちは15分程経ったら後を追う、それでいいか?」
「「「はーい」」」
皆が凛華に同意し、A班は学園内へと歩を進める。――――――
――――――
A班 香蓮、朱鳥、小夜、陽菜、千冬
彼女達は先へ歩を進め、広い学園内を一周するように闊歩する。
まずは近くの食堂から、調査する事にした。
「なんかここ来たらお腹すいちゃったー」
「何か食べたい……」
「冷蔵庫開いてるかも! 小夜ちゃんいこ!」
「うん……!」
陽菜と小夜は学園の冷蔵庫へと向かい、他のメンバーはそれに付いていく。
当然開いてる訳はないのだが物は試しだというばかりに、2人はご機嫌に歩を進める。
何故なら友達と夜の学園に侵入し、肝試しをするという行為が2人の気分を上げていたからだ。
「何もないねー……」
冷蔵庫や倉庫を物色しながらも2人は気を落とすが、その声色はどこか楽しそうでもあった。
そんな2人を眺めながらも、朱鳥は頭を悩ませる。
「やれやれ、大丈夫かしら……」
「はは、まぁなんとかなるよ」
この任務の行く末を心配する朱鳥に対し、香蓮は笑いながら声をかけた。
「あー! 余ってる揚げパン!?」
2人のやり取りを余所に陽菜が揚げパンを発見し『はい、半分こしよ!』と小夜と分け合う。
空のコップに水道水を注ぎながら2人は揚げパンを口へ運ぶ。
「アレックス先輩、この前はパーティの招待ありがとうございました」
「あぁ、喜んでくれたなら嬉しいよ」
お礼を述べる千冬へ香蓮は笑いかけ、あまりの爽やかさとカッコ良さに千冬は軽く赤面してしまう。
各々は食堂を後にし学園の様々な場所を調べながらも、2階の端にある音楽室へと向かう。
そこには蒼の月光が窓から差し込み、照らされたピアノが一台携われていた。
「幻想的な風景ね……」
「綺麗……」
一同が音楽室に頓挫していたピアノの佇まいに感嘆の声を吐きながらも、陽菜は香蓮の手を引きピアノへと座る。
「アレックス様ピアノ上手なんだよ! なんか引いてよー!」
モデルの事務所の集まりで香蓮のピアノを聞いたことのある陽菜は、香蓮へとピアノをリクエストする。
夜の学園で月明りに照らされて演奏する、学園の王子様を見てみたいと思ったのだ。
「それじゃあ……僭越ながら、一曲引いてみるね」
静かな一音から始まり……香蓮のしなやかな手によって、ピアノから穏やかで軽快な音色が奏でられていく。
月光に照らされた香蓮の優雅な様相と響き渡る豊かなその音に、一同は目と心を奪われ、その場の空気に体を預ける。
『乙女の祈りね……可愛らしいわね……』と朱鳥は心の中で曲名と感想を呟く。
きっと彼の事を思い浮かべて弾いているんだろうなと、朱鳥は考える。
いつもは大らかで誠実な男性の騎士の様に振舞っている香蓮が、一人の男の子を想い心をピアノに乗せている様を見ると彼女の乙女心が自分にも伝わってくるような、そんな安らかで素敵な想いが聞いてる人の心にも沁み込んでくるような演奏。
一音一音丁寧に、乙女の胸の鼓動を表したような穏やかな演奏が、夜の静けさと闇に包まれた学園を照らすように響き渡る。
隣に座る陽菜は、穏やかに演奏する香蓮の表情を見つめ……煌河と嬉しそうに話している香蓮を思い出す。
そして、なんとなく気になった事を口にする。
「アレックス様て……こーがの事好きなの??」
乙女の祈りだなんて曲名を陽菜は知らなかったが、香蓮の乙女のような表情をみていたらなんとなく気になってしまっていた。
陽菜の質問によりピアノの音色がコミカルな感じに崩れながらも、香蓮は数秒沈黙してしまう。
そして。
「ぁあ……う、うん……そう、かも……♥」
ピアノを弾いていた王子様の様だった女の子はお姫様の様に変貌し、顔をほんのり紅く染めながら誤魔化す感じで、陽菜に答えを返す。
嘘を付くのは憚られたが、堂々と真実の想いを伝えるのもこそばゆくて恥ずかしくなってしまう。
そんな香蓮の心が直接表に出てしまったような答えを聞き、一同は同じような感想を心の中で抱く。
(……か、可愛い)
「こ、この事は内緒だよ!」――――――
――――――
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