54. 吐き洩らす懺悔
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「うぅ、私はなんてダメな教師なんだぁ、オヤジぃ!もう一本くれぇー」
そこそこのお客とそこそこの活気が賑わう、レトロな雰囲気が漂う居酒屋。
そこで教員である白鳥 渚が、飲んだくれて涙を浮かべながらも自責の念を綴る。
八乙女 美香は親友である彼女を励ますも『渚がこうなったら面倒ね……』と心の中で溜息をつく。
「飲み過ぎよ、だからお酒はやめといた方が良いって言ったのに」
「こんな人間はぁ、酒で消毒するんだぁ! いちごぉ!」
「は、はい」
店主から追加された、日本酒入りの徳利を乙木 苺が渚のおちょこへと注ぐ。
苺はろくに頭が働いてなさそうな渚へと『も、もうやめといた方が……』と警告をするも、逆らえずに
渚の言う事を聞いてしまう。
酒の注がれた酒器を渚は口に近付け、一気に傾けて身体へと流し込む。
「ッカァー! これこれぇ!」
「はぁ……」
渚の声が店内に木霊し、店の客が笑い声を上げる。
それを聞いた美香は溜息を吐くが、それは誰にも聞かれることなく真冬の白息の様に賑やかな笑い声に掻き消された。
「渚さん、悩みがあるなら聞きますよ」
店の客から連れの人間を笑われた恥ずかしさもあり、変な空気を変えようと苺が仕方なく渚へと問いかける。
普段から渚の事は尊敬しているが、酔っぱらった彼女の相手はしたくないというのが本音だ。
しかし自分たちを笑いものにしている店の空気の方が、彼女にとって耐え難い。
「そうかぁ、そんなにききたいか」
「いや、いいわよ別に」
美香が興味はないと即答するも渚は無視して話始める。
「あるだんし生徒の事だぁ、私はなぁ、かれにいろいろひどいことをしてしまって……」
「ある時は、顔に汚物を撒き、ある時は、勘違いで責め立て、ある時は、彼のビデオを面白がって笑いものに……」
「今だって会話もろくにできないんだぁ」
過去に自分が、学園の男子生徒とは知らず彼の顔にうんこをぶちまけた事。
弟子を誑かしたと、勘違いで責め立てた事。
彼が着替えるついでに変なポーズをしている場面を捕えた監視カメラを、学校の大人達で鑑賞し笑い物にしてしまった事。
それらの出来事を思い出し、わんわん泣き声を響かせ、渚は自分の行いを悔いる。
「三十回は聞いたわ……」
「あのビデオだけじゃなかったんですね……」
渚の自戒に各々反応を返すが、美香は初耳のような言葉を聞き『汚物……?何したのかしら……』と胸中で疑問を浮かべる。
「せっかく生徒会の子達に任務を変わって貰ったのに……」
美香はそう言葉を放ち、やれやれと頭を悩ませる。
本来は学園に出ると噂される化け物の調査、その任務は渚たちへと下った物だった。
しかし、弟子である凛華は『なぎ姉は最近体調も悪そうだし、私達に任せてくれ』と渚を気遣い、生徒会で引き受けた。
「ちゃんと休まなきゃ弟子に示しがつかないじゃない、また体壊すわよ」
春先に合コンで敗北し、ヤケ酒をかまして体調を崩した渚へと美香は注意する。
しかし渚は、己を罰するかのようにまだ飲み続けようとしている。
「まだまだぁ! もう一本だぁ!」
「あいよ!」
「いいえ、お会計でお願いします」
「あ、あいよ」
美香は酔いつぶれそうな渚を苺と共に両肩へと担ぎ、一行は店を出ていった。
彼女達は渚の住む家へと向かう。
同僚に引きずられながらも渚は、とある男子生徒を思い心の声を無意識に吐き出した。
「うんこして……ごめんなぁ……」
「え……ま、まさか、漏らしたのかしら……?」
「ひぃっ……!」――――――
――――――
「何か情報は掴めましたか……?」
「いいや、見つかったらこっちから必ず連絡するからさ」
「ごめんなさい、どうしても気になって……」
僕は百鬼夜行の事件の黒幕、幼い頃に約束を交わした姿も知らぬ神の行方を、偉い人に探って貰っていた。
というのも、彼女の存在は野放しに出来ないので僕がお願いするまでもなく捜索していたみたいだ。
しかし、行方はいざ知らず、手掛かりの一つも見つかっていないのが現状だ。
「まぁ、私としては可愛い弟子からの連絡は歓迎だけどね、どうだい? 学園の方は」
「どうって、毎日充実してますよ」
「ほほう、どんな?」
「最近は部活へ行ったり、生徒会のメンバーとも修行したり、あ、寺子屋の件はありがとうございました」
「まぁどうもいいけどさ、なんかないの? スタリオンとしてえっちな」
ブツッ
さーて、電話も切ったし任務にでも行くかぁ、集合時間も近づいてきた。
今日は放課後に馬術部で香蓮ちゃんと馬の世話をして、馬に乗せて貰った。
馬術部の競技には3種目あって簡単に言うと、障害物競走、演技や美しさを競うもの、ネオ障害物競争。
みたいなものがある、ちなみにググったら出てくる。
僕は基本的に初心者なので世話と、乗馬で馬に慣れる事からはじめている。
そして今日はなんと、馬達の世話を始める時に、香蓮ちゃんの愛馬であるアビスが自分から寄ってきてくれた。
相変わらず乗せてはくれないけど、少しづつ仲良くなってるんだなぁって実感した一件だ。
アビスと仲良くなれていることを噛みしめながらも、僕は家を出て凛華姉さんと学園へと向かう。
現在、22:30分、ゆっくり行けば集合にちょうど良い時間だ。
「今回の件、おかしいと思わないか?」
「なにが?」
凛華姉さんは今回の学園に出現する怪異に対し何か、いびつな物を感じているようだ。
「夜の学園にいるのは、大半は教師だろう、なのに生徒の方が目撃例が多いんだ」
「なるほど、考えもしなかったな」
基本的に部活や学校行事で遅くなることがない限り、夜の学園に生徒がいる事は少ない。
それが、中々事件が解決していない理由か、学園の教員は全て怪異の事情を知っているし、渚先生や、美香先生というような腕利きのエージェントなんかもいる。
基本的に大人の前には姿を現さないんだ……。
「生徒を狙っている可能性も充分にある、注意しろよ」
「あぁ、分かったよ」
僕は姉さんの注意をしっかり聞き、気を引き締める。
なんせ今日はゲストも多いからな……彼女らに危険が及ばない、かつバレない様に配慮もしないとならない。
のんびり歩く間に気を引き締め、ちょうど集合時間の23:00に差し掛かる頃には、僕らは学園と到着した。
例の怪異の目撃情報が多かった時間帯だ、今夜に全て肩を付けるためにこの時間に集合となった。
そして先に斥候してくれた琥珀と小夜と合流する。
ゲストのお嬢様方はまだ来ていないみたいだ。
「小物じゃな、しかし動きが妙じゃ」
「そうなの?」
琥珀は何の事は無いという風に口を尖らせる。
小夜はあくびしているが……『家で寝てて良いんだよ』。
「まぁそうじゃな、これから似たような事もあるかもしれん、ここは勉強と思って任務に励め」
解決しようと思えばすぐできるのだろうに、琥珀は僕らに修行を課してきた。
琥珀が言うには民間人には見えない、見えずらいタイプの怪異らしい。
あんまり心配ないだろうか……でも凛華姉さんが言ってたことが気になる、目撃証言のほとんどが生徒なんだよな。
「まぁ、もし小娘たちに見えたら、お前たちは見えないフリでもするんじゃ」
「肝試し楽しみ……!」
小夜は完全にお遊びモードだ、まぁ眠くても遊びたいよね、子供の頃って。
まぁ、なんとかなるか、と思っていると。
ゲストのお嬢様方が先行しない様に護衛、監視していた任務のメンバーと一緒にやってくる。
「アレックス様ってなんか変わったよね!」
「なんか表情が柔らかくなったというか、乙女の顔みたいなねー!」
「分かる! 王子様でお姫様みたいになった感じ!」
「香蓮は、前からこんなんだよ……」
「そ、そうかな……そう言ってもらえるとなんだか照れちゃうね、たはは」
(((かわいい……)))
やれやれ、騒がしい肝試しになりそうだ……。――――――
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