49. 執事の王子様
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香蓮ちゃんに船上パーティーでの撮影協力を頼まれた日の放課後、園芸部を軽く手伝い麗香と『また後で』と別れた。
百鬼夜行の事件から生徒会の任務も落ち着き、最近僕は馬術部と園芸部の手伝いに良く行っている。
この2つは身体を動かす事も多いので男手が有難がられて、どんどんコキ使われつつも皆優しくしてくれる。
他の部活も楽しいんだけど、気を使わせてばかりな感じで申し訳ない気分になってしまう。
だからこの2つの部の居心地が良く、兼部しようか考えている。
この学校は入部しなくとも様々な部活や同好会に遊びにいったり手伝いにいけるが、大会などで上を目指すようなところでもなければ誰でもウェルカム方式で成り立っている。
僕の外にも色々な場所に遊びに行ってる子も多い。
決して僕が優柔不断な訳じゃない、決して。
「それじゃあ、私も着替えてくるよ」
そして一度帰宅しシャワーを浴び、今は香蓮ちゃんの家で軽くお茶を嗜んだ後の、衣装合わせ中だ。
香蓮ちゃんは自分の着替えを持って部屋を出ていく。
僕の着る衣装は、黒いシャツに暗めのワインレッドのベストが特徴的なスリーピーススーツ。
香蓮ちゃんは執事をイメージした燕尾服だ。
主人公である男装の麗人の執事、主である男の子の貴族、その周りのお嬢様や執事、メイドさんが日常を繰り広げるというアニメの内容に沿った服装である。
それで今回の僕は貴族の男の子役という訳だ。
……。
「あ、あの……」
「どうぞ、お気になさらずお着換えくださいまし」
……。
香蓮ちゃん専属のメイドさんが、僕のいる部屋に残っている……。
この屋敷には数人ほどメイドさんが在中し、この方はエレナさんという、本名はエレオノール。
眩いブロンドヘアーにくるくるの縦ロールがエレガントで、涼やかな表情とは対照的に感情豊かな素敵な女性だ。
この屋敷で会った時に『親しい人はエレナやヘレナと呼びますわ、どうぞそのように呼んでください』と言っていた。
香蓮ちゃんとはフランス人の従姉妹で、なんでも日本が好きで家出ついでに屋敷に強引に押しかけたそうだ。
「構いませんわ、アナタの服の下に隠された肉体が魅力的だとワタクシの勘が言っていますの、さぁ!脱ぎなさい!」
「……」
むっつりスケベなクラウドストライフが吐きそうなセリフを向けられ、僕は若干たじろいでしまう。
しかし流暢に日本語を喋るものだ。
聞けば純血のフランス人らしいが、何故こんなにもお嬢様言葉が似合うのだろうか。
白百合さんもそんな口調だったが流行っているのかな?
そんな事を思っていると、香蓮ちゃんが扉を開く。
「エレナ! こないと思ったら! ずるいじゃないか」
「あら、私のYAMATO男児の肉体への想いを考えれば当然の事ですわ」
良かった……。
香蓮ちゃんがエレナさんを連れ出してくれるだろう。
ていうかなんだよ日本男児の肉体への想いて……。
僕はボタンを外し制服のシャツを脱ごうとするが、彼女らは真剣な眼差しで僕を眺めているのに気付き僕はその手を止める。
……香蓮ちゃんまで居座ってる。
「あ、あの……」
「そ、そうだった! エレナ、行くよ!」
「わ、ワタクシの肉体がぁ!」
やれやれ、なんて破廉恥なお嬢様だ……。
……この台詞ってなんか官能小説に出てきそうだな、読んだことないけど。
エレナさんは日本男児が好きという特殊性癖持ちだそうだ。
家出と言う名の旅行中に一波乱あり、日本男児であろう半裸の青年に助けられたことがきっかけで目覚めてしまったらしい。
全く罪な日本人もいたものだ。
そして彼女らが部屋から出てから着替えを始め、ズボンを脱いでいる途中……。
「あ、ごめん」
「キャァァアアアアアア!!!」
スズにパンツを見られるのであった。――――――
――――――
香蓮ちゃんの屋敷に一緒に住むスズにパンツを見られ、僕は何とか着替えを終えた。
まぁ、学校で一度見られたからな、もうスズにいくらパンツを見られようが構わない。
スズは朱鳥先輩と映画同好会に居たので、僕らとタイミングがズレたんだと。
それで客間に置き忘れた本を取りに入ると、僕がいたと。
そんな一幕を終えて、僕と香蓮ちゃんは共に着替え終わり顔を合わせる。
素敵だ……優雅で王子様の様な出で立ちの香蓮ちゃんに良く似合っている。
「香蓮ちゃん、すごい似合ってるよ、カッコイイね」
「君の方こそ良く似合ってるよ、あぁ、本当に素敵だ……」
香蓮ちゃんは僕に跪き手を取り、その手へキスしてくる。
きゅぅぅ~~~ん!
なんだ……この気持ち……下腹の辺りがキュンとする。
世の中の乙女の気持ちが少しわかった気がするってばよ。
「はは、予行演習だよ、どうだったかな?」
香蓮ちゃんは眩しい笑顔で僕へと問いかける。
なるほど、そういう事か。
「とんでもなく似合ってたよ、本物の王子様だね」
「ふふ、ありがとう」
香蓮ちゃんをイメージしたこのアニメ作品だが、主の男の子や、周りのお嬢様方が今みたく香蓮ちゃんの様な執事にドキドキさせられるらしい。
こんなところまで再現してくるとは、エンタテイナーだね。
「あ、ネクタイがずれていますよ、ご主人様」
香蓮ちゃんは僕の首に腕を回してネクタイを外し、朗らかに笑いながら締め直してくれる。
至近距離で対面し普通に呼吸しているだけなのに、ほんのり甘さの混ざる爽やかで胸の奥がスーっとするような香蓮ちゃんの
香りが頭と胸に染み渡っていく感覚がする。
なんて爽やかで心地の良い香りなんだ……。
「な、なんだか恥ずかしいね……」
「ふふ、君とこうして過ごせるなんて思いもしなかったな」
「確かに……」
香蓮ちゃんとは小さい頃に会ったきりで、凛華姉さんからたまに話を聞くくらいだったんだよな。
同じ組織に属してはいるが、任務が被る事もなく会う事も無くなった。
香蓮ちゃんは外国に遠征する事も多かったみたいだし、余計にね。
だからこうしてまた、昔みたいに楽しく過ごせるのがなんだか懐かしくて嬉しい。
2人で不思議な縁を感じ軽い感傷に浸っていると、香蓮ちゃんは僕のネクタイを直し終わる。
「さ、そろそろ行こうか」
僕と香蓮ちゃんは下で待っているスズとエレナさんと合流し、船の待つ港へと向かう。
港へ着くと『パーティーでは美味い物が付き物じゃ』と小夜を連れ琥珀も来ている。
2人は美味しい物が楽しみみたいで『もし入れなくても鳥に化けて侵入すればいい』と言っていた。
生徒会の面々は小夜と琥珀とも面識はあるが、麗香達とは……面倒な事にならなければいいけど。
船が出るまで時間にはかなり余裕があるが、来た人は先に入れるみたいだ。
「早速いくぞ!」
と琥珀が意気揚々と船に入って行くが。
なんか検査もなく普通に入れた、あまりの堂々っぷりに警備員さんも確認を忘れたのだろうか。
「どうぞお入りください」
「いつもお疲れ様です」
と思ったのも束の間、おそらく顔パスの香蓮ちゃんと一緒にいたからだろう。
『事務所が雇ってる警備員の方なんだ』なんだって。
それにしてもかなり大きい船だ。
もう少し小規模なものを考えていたが、こんな大層なものだとは。
僕たちは船内を見学したり潮風を浴びながら、撮影の開始時間を待っていた。
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