45. 取り戻した日常
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太陽に照らされた義兄弟の鬼2人が心を落ち着かせたところで、僕らは朝食を取りながら事件の顛末を現時点での最高責任者の莉々菜さんと、政府側に身を置く美香さんに報告をしていた。
昨日の作戦から僕を含め皆は何も食べていなかったみたいだ。
というのも気を失った僕のせいで食事どころじゃなかったらしい。
僕は皆に謝りつつも、注意を促す。
「一気に食べたらお腹壊しちゃうから気を付けないと……」
「おかわりだ!」「おかわり!」
聞いちゃぁいねぇ……。
皆は夢中で朝食に食らいつき、中でも凛華姉さんと香蓮ちゃんは炊飯器のしゃもじを取り合っている。
反対側にもう1個あるでしょうが。
まぁ気持ちはわかる、腹が減っているという事を差し引いてもホントに美味しい。
メニューは凛華姉さんが用意してくれる和食のような感じで、凛華姉さんの方は家庭的な暖かさを感じる美味しさだ。
対してこっちは一流のシェフが作ったような、上品かつパンチの効いた味……のような気がする。
「そう、それじゃあ真の黒幕は別にいるのね」
「あぁ、かといって俺も罪は償う、なんでも言ってくれ」
茨木童子は今回の件で起こった事を話していた。
やはり黒幕がいるみたいで、それはおそらく結界に込められていた邪気、そして茨木童子を蝕んでいた邪気の持ち主だろう。
そして彼を用いて、僕を監視させていた人物……。
彼女はきっと……。
「その人の名前は?」
「それは、俺も聞いてねぇんだ、ただ死の淵をあの人に救われた、それだけだ」
名前は聞いてないのか、だが十中八九、いや十中九九、彼女の事だろう。
僕が小さい頃に、約束を交わした姿も知らぬ神。
茨木童子は彼女に恩義を感じているらしい。
どうやら自分が死にそうな時に命を助けられ、そのおかげでこうして探していた姉御とも再会できた。
利用されたとはいえ彼の目的は無事達成できたわけだ、思いがけない形ではあったけど。
「大体分かったわ、疲れているところ悪いわね」
「美香さんもお疲れ様です、彼の手足の件、本当にありがとうございます」
「いいのよ」
僕は美香さんに礼を言う。
次元斬で茨木童子の左腕と右足を切り落としてしまったが、今朝には庭で五体満足で突っ立っていた。
いやぁ今朝は普通に立ってたからさ、普通に忘れてたよ。
何故完治したかというと、美香さんが徹夜で術と治療を行使して、彼の手足をくっつけてくれたそうだ。
美香さんはエクソシストに属する名うての回復術師らしい。
驚いたのが香蓮ちゃんにオーラの使い方を教えたのも彼女だそうだ。
渚先生と凛華姉さん、美香先生と香蓮ちゃん。
この繋がりは師弟共々、親友でありライバルという事だ。
「そしてほんとに、すまない 茨木童子」
「よせやい、あんな事件起こしたんだ、当然の報いだぜ」
僕は茨木童子へと頭を下げるも、彼は全く気にしていない素振りだ。
『安いもんだ腕の一本くらい、カッカッ』なんて笑っているがカッカッじゃないんだよな。
全く笑えない、シャンクスじゃないんだから。
……まぁ切り落としたのは僕なんだが。
「それじゃあ、私もご飯、頂こうかしら」
美香さんは朝食を取ろうと、立ち上がろうとするが。
僕はできる下僕の様に美香さんを静止し、すぐさま米をよそい、開いたグラスにお茶を注ぐ。
そして暖かい味噌汁を入れる。
「あら、お姫様になった気分ね」
「これくらいはさせてください、美香お嬢様」
僕は軽口を返すと、彼女は『いい子ね』と僕の頭を撫でてほめてくれる。
美人な年上のお姉さまに可愛い犬みたいに扱われるの……たまらん……ふへへ。
「あぁ! 美香さんずるい!」「美香ちゃんずるいよ!」
僕にお嬢様扱いされるのを見逃さず、2人のお姉さまも介入してきて、僕は給仕掛かりに徹するのであった。
そんな中、璃々奈さんは何か真剣に茨木童子に話していたが……。
ともかく僕はお嬢様方に給仕し、褒められつつも、いつもの日常に戻ったのを再び実感した。
――――――
皆で朝食を取り昼も過ぎた頃、僕らは璃々奈さんからとある場所に案内される。
それは、神社から少し離れた立ち入り禁止区域にある地下へと続く洞だ。
この祠では神剣が奉られていて、事件の後に確認したら無くなっていたらしい。
茨木童子と真剣に話していたのは神剣の事だったのか、しんけんだけに。
……なんて言ってる場合じゃない、島での大結界はこの神剣を起点に張られていたらしい。
僕らが百鬼夜行の前に張ったのは、急ごしらえの結界で時期に効果が溶けてしまう。
つまり今まで安全だった島の防衛が手薄になってしまう。
それで犯人は誰か知らないかと、話していた訳か。
薄暗く冷たい空気の流れる洞へ入ると、そこには剣を立てかけていた跡だけが残っていた。
「すまねぇが、俺は何も知らねぇんだ、姉御を復活させるのに協力してくれてるもんだとばかり思ってたぜ」
彼は嘘はついてないだろう、義理を感じて隠しているという事も無い。
もし知っていたら性格上、知っていると言った上で隠し通すはずだ。
だって瘴気を払う任務に協力してくれていた頃、ウンコしてくると言って彼は野グソに行ったんだけど。
『紙がねぇから雑草で拭いてきたぜ!』なんて正直に話す妖怪だ、嘘を付くビジョンが見えない。
「私、眠らされたって言ったよね?」
微かな灯が暗闇を照らす様を見つめいていると、スズが口を開き話始める。
「昨日、茨木童子が私と疾風を捕えて治癒してくれた後、ジっとしてたんだけど」
「いきなり夜になって島が暗くなったころ、知らない女の人が入ってきたの」
「それで、神社に奉られた剣の居所は知らないかって聞かれて、知らないって言ったら眠らされて……」
……!!
「その人、名前は!?」
「し、知らないけど……」
「そ、そっか……」
おそらく僕の思い浮かべている存在と同じだ、やっぱりこの島に来ていたんだ……。
実際に見た訳じゃないから断言はできないけど……。
その後少し皆で話したけどまとめると、彼女はどうやら茨木童子に百鬼夜行を起こさせ、それを囮として神社の神剣を強奪、今回の事件のために念入りに島を荒らしていた訳か。
そして彼女の行方を追っていた、弥彦おじさんや琥珀もまんまと引っかかり島を開けてしまった。
僕らは皆、彼女の掌の上で踊らされていたって事だ。
けど、今回の件で証明できた、僕は邪気に蝕まれた彼女を救えるはずだ。
――――――
決意を改め洞を出ると、琥珀も帰ってきており、弥彦おじさんは足を怪我していた。
凛華姉さんは、白狐の姿の琥珀に運ばれてきたおじさんを介抱する。
2人へと久々に挨拶し、今日は解散する運びとなった。
と、その前に疾風にお礼を言わないとな。
茨木童子が僕に殴りかかる瞬間、彼がすねこすりの能力で平衡感覚を狂わせ、カビゴンもびっくりのメガトンパンチを横に反らしてくれた。
あれがなかったら僕はただの肉塊と化していただろう。
ひぇぇ、考えるだけでも恐ろしい。
「疾風、昨日はありがとう」
「何のことでやんすか?」
え?
「昨日、助けてくれたじゃん」
「……?」
……?
あれは疾風じゃないのか……?
だが、あの動きはどう考えても疾風のものだったはずだ。
疾風と僕は良く分からないまま会話を終えて、結局そのまま解散となった。――――――
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