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37. 冬越しの喜び、命の春

ご閲覧ありがとうございます!

AIイラストはあくまでイメージとしてお楽しみください







「それで昨日の事だけど、酒呑童子が亡くなってるって話……」


 僕は凛華姉さんと学園へと向かう中、昨日の件を尋ねる。

 ワイルド兄さんの探し人が大妖怪の酒呑童子であり、姉さんは酒呑童子が亡くなったと言っていた。

 何故その事知っていたんだろうか。


「そうだな……」


 僕の疑問へと返事をした姉さんは、自分の関わった一件を話始めた。

 何やら学園の女生徒が酒呑童子の封印が成された祠へと、近くを通りがかった際に呼び寄せられたらしい。

 祠へ近づいた女生徒は自分を呼び寄せる声に従い封を破り扉を開けると、封印された酒呑童子の魂と同化した。

 酒呑童子と人格が時々入れ替わり行方不明になったその女生徒を見つけ、なんとか力を封じ、その女生徒を救うため僕らの所属している怪異対策の組織へと連れて行ったわけだ。

 これが凛華姉さんと香蓮ちゃんが遠征していた理由だそうだ。

 いつか聞こうとは思っていたがそんなエピソードがあったんだな……。


「そして酒呑童子の魂は浄化され消えている筈だ……」


「その女生徒は今どうしてるの?」


「魂が同居する事によって生じた歪な精神を統一するために精神と時の部屋に入っている筈だが、出てくるのはいつになるか分からないんだ」


 【精神と時の部屋】この部屋の名付け親は僕や凛華姉さんに二つ名を付けた人が付けたものだ。

 中二病を患っているその人は、僕らが精神統一や身を清めるために瞑想を行う洞窟に精神と時の部屋と名付けた訳だ。

 決してその部屋に某漫画の様な効果は無い。


「彼女が衰弱していく様は見てて気持ちの良いものではなかったな、回復しているといいが……」


「そっか……」


 学園に付いた僕らは別れ、自分の教室へと向かう。

 自分にとって大切な人が亡くなっている、それはきっと想像を絶するほどの絶望だろう。

 あの時ワイルド兄さんが言葉も発する事無く消えたのも無理はない。

 彼は今どうしているだろう、僕の所へ来る呪符を渡してはいるがこちらから連絡する術は今はない。

 まぁその事は後で考えるか、僕は気持ちを切り替えて教室へと入り皆と挨拶を交わし自分の席に着く。


「あ、こーちゃんおはよ! 見て、これ」


 麗華は僕へと挨拶を返し、胸元のネックレスを見せてくる。

 あ、僕がプレゼントしたやつ付けてきてくれたんだ。

 連休が明けてから身に付けてなかったので、気に入らなかったかなと心配していた。

 僕は妙に嬉しい気持ちになり、ありのままの感想を返す。


「付けてけてくれて嬉しいよ」


「えぇ~、そんだけ~?」


 僕が麗香への感想を言うと、嬉しさと軽い不満が混ざったような声色で彼女は返答する。

 『えぇ~、そんだけ~?』とは一体どういう事だろうか。

 前にネックレスを付けた時は褒めたけど、今回も褒めた方が良かったのかな。

 麗華の返答の意味を考えていると麗香の隣にいる陽菜も混ざってくる。


「気付かなかった! それ可愛い~! どこで買ったの?」


「こーちゃんに貰っちゃった、べんとーのお礼だってw」


「「「WA~O」」」


 麗華が陽菜へ応答すると聞き耳を立てていたのか、教室にいるクラスメイトが煽る様に声を上げる。

 な、なんか皆に知られると恥ずかしいな……。


「えー! いいな~、こーがぁひなにも買ってよ~」


 ぬぅぉお、陽菜が抱き着いてきて思わず陰部に潜むモンスターが立ち上がりかける。

 ……この劣情を利用し偽神力へと変換するのが僕の日常だ。

 危ない危ない、クラスメイトに勃起がバレてしまうところだった。

 キンタマ、ウンコマン、スケコマシ、次にあだ名がつくとしたらボッキマンだろうな。

 くだらない事を考えていると、いつもは負けじと抱き着いてくるはずの麗香が陽菜を後ろから抱っこして僕から引き剥がした。

 いや、別に麗香にも抱き着かれたかったとかいう訳じゃない。

 いや、抱き着かれたいがそういう意味で思ったんじゃないというか。

 とにかく麗香が陽菜を止めた。


「こらぁ、隙あらば抱き着くなー!」


「だってひなも欲しいんだもーん」


 ん……?

 良く見ると麗香の服装がいつもと違うな。

 この学校の制服は複数の基本パターンが用意され改造も可能だ。

 中でも麗香は黄色系統のワンポイントや柄のある制服を着る事が多かったが、今回は赤を差し込んだデザインのものを着用している。

 チェック柄の赤めなプリーツスカートもとても似合っている。

 さっきの『そんだけ~?』はそういう意味だったか。

 もしかして僕の買ったネックレスに合うようにコーディネートを変えたとか?

 流石にそれは考え過ぎか……。

 そうすると千冬が察し、麗香と共に僕へと感想を求めてくる。


「麗香の制服気付いたみたいだねー」


「どぉ? 似合うっしょー?」




挿絵(By みてみん)




 モデルをしているだけあってめちゃくちゃ綺麗だ。

 麗華は片手を当てた腰を軽く横に突き出し、曲線美を描くくびれが強調され、長い脚が映えるようなポーズをして僕を見てくる。

 その様がセクシーさも漂わせた上に可愛らしさも兼ね備え、妙にドギマギしてしまう……。


「すごい綺麗でモデルみたいだよ」


「当たり前じゃんw モデルやってるしw」


 得意気に笑う麗香にバシンと肩を叩かれツッコミを貰ってしまう。

 そういやそうでした。

 胸の中がドギマギするあまり思考が回らずウスラトンカチな回答をしてしまった。

 ところでウスラトンカチってなんだろう、濃いトンカチもあるんだろうか?


「ウスラトンカチ……」


 エスパーかな?

 涼音に毒を吐かれながら、僕はこれからなにがあっても大事な人達に囲まれた日常を守りたいと思うのだった。――――――



――――――



 涼音にウスラトンカチ呼ばわりされ、1コマ分の授業をこなした後、僕は空き教室へ向かっていた。

 これから体育の授業だが着替えは女生徒達は自分の教室で行う為、僕は別の場所で着替えなければならない。

 普段は学園から指定された来客用の個室トイレを使っているのだが、前の選択授業が移動教室であり、まともに自分のクラスへ戻りトイレへ向かっていては間に合わない。

 だから体操着を持ちつつ選択授業を受け、近くの空き教室で着替える事にした。


 学生服を脱ぎ軽く畳むと、僕は広い教室で唯1人存在する、パンツのみに身を包まれた孤独な世界の住人な事に気付く。

 なんて解放感だ、こんな広い部屋にパンツ一枚男一匹でいる事なんて人生で中々ないだろう。

 僕は鼻唄を交えつつもカーテンを軽く開け、日光を全身で浴びる。


「あ~、気持ちいい……」


 暖かな日差しに身体を包まれ全身にエネルギーがチャージされていくようだ。

 近くに置かれている全身鏡へと身体を向け僕は、気持ちよさそうなポーズを考える事にした。

 とにかく、薄暗い洞穴で冬を越し、春を迎え日光に身体を預ける原始人のようなこの喜びを表現したい。


「ぁー……」


 地へと片膝をつきウィスパーボイスを漏らしながら、自分の乳首を両手で隠し、手ブラをするポーズ。

 これはいきなり全身で太陽を浴びると、原始人の身体がびっくりしてしまうのを防ぐためのポーズだ。

 断食から突然暴食すると胃腸がびっくりするように、冬越しからいきなり太陽を浴びるとびっくりしてしまうからね、乳首が。


「ハレルヤァ……」


 そして左足のアキレス腱を伸ばしながら、アイアンマンが飛行する時みたいに手をペンギンにして顔を天へ向けるポーズ。

 ありがとう太陽。

 人体に必要なビタミンDを補える自然の恵み、1日の始まりをもたらす太陽に感謝を、ハレルヤ。


「アーメン……」


 身体が日差しに慣れてきたところで、最後は身体全体を大の字にし、全身全霊で太陽の恵みを味わう。

 ちなみに僕はキリスト教徒でもない。

 これが命、これが生、尊い命をつな「おいっすー!!!wwwww」


「キャアアアアアアアーーー!!!」


 突然教室へ誰かが入ってきたので、僕は両腕で胸筋と乳首を隠し、肛門から屁が出て空を飛ぶような勢いで飛び上がり、コウモリもびっくりして脱糞する程の金切り声をあげる。

 たぶん人生で一番高音でた。


「きゃはははwwもー無理www」


「ハレルヤァwwww」


「あっははwwwやばいよーwww」


「……」


 み、見られた……僕はあまりの事態に黙り込んでしまう。

 なんと声の主は麗香達だった。

 終わった、僕の学園生活。


「クッ……www……プフフwww」


 なんて事か普段はクールでポーカーフェイサーの涼音まで面白がっている。

 彼女は必死で腹と口を抑えて笑いを堪えていた。 

 あぁ、いいさ笑いたきゃ笑うがいい、僕は冷徹のポーカーフェイスを崩した男だ。


「もうだめ……wwはははwww」


 笑うな!!!

 

「しかもキャアアアアだってwww」


「それ言うのウチらの方なんだけどwww」


「……た、楽しんでもらえたかな? ちょっとしたサプライズだよ……」


 麗香達は一頻り爆笑したあと、僕へと釈明し始めた。

 何やらある事を伝えにここまできたみたいだが、来た時には僕は服を脱ぎ始めていたみたいだ。

 そして僕の肉体美が思ったより魅力的だったらしく、もう少し見てみたいと息を潜め覗いていたらしい。

 そ、そんな良かったかな? 僕の肉体美は。なんか少し照れる。

 ほんでもって僕を静かに見守っていたところ、いきなり変なポーズを取り始め、出てくるタイミングを見失った。

 というより全く出てくるタイミングが皆無だったみたいだ。


 そりゃぁそうだ、僕だってこんな事してたら声をかけるのをためらう。


「ごめんねw 覗き見しちゃったw」


「いや、それよりこんな変なやつに声かけてくれてありがとう……」


「いいってwめっちゃ面白かったしww」


「そーそ!」


 どうやら皆いつもと変わらず接してくれている、助かった……。

 これから汚物でも見るような目で見られるかと思った。


「そんでさー、なんでそんな事してたん?w」


「1人で教室に居たら解放感を感じちゃって……」


「うん」


「カーテンを開けて日光欲して……」


「そんで?w」


「冬を越した原始人の気持ちを、表現したくなっちゃった……」


「そーはならないでしょwwww」


 なんか犯罪を犯して罪を白状している気分だ……。

 麗香達からの取り調べを受け終わり、僕はある疑問が浮かび上がる。

 そういえば僕にある事を伝えにきたと言っていたな。


「そういえばある事って?」


「いやぁ……言いづらいんだけどさぁ……w」


 麗華は少し気まずそうにして、教室の天井の隅を指さす。

 ……。


「空き教室って監視カメラ設置されてんだよねw」


「キャアアアアアアアアアアアアーーー!!!」――――――









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