24. 弁当と朝食の特権
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涼音に生徒会室へ連れ戻された僕は既に集まっていた凛華姉さん達と合流し、以前任務へと向かった事のある定休日のキャンプ場へと来訪していた。
見回せば綺麗な桔梗が所々に咲いている。
この桔梗は以前香蓮ちゃんが放ったオーラの影響だと思う、本来開花する季節より早く咲き島のちょっとしたニュースみたいになっていた。
そして僕らがまたもやキャンプ場に来た理由だが、どうやらこの前の一件から度々未確認生物の目撃証言が出回り、その調査の任務が僕らに回ってきたみたいだ。
おそらく良くいる無害な妖怪だろう。
最近は瘴気や怪異の発生が増えてきて、本来任務に当たるべきグループの手が回らないらしい。
猫の手も借りたいという事で学生のような僕らにも任務が回ってくる事が増えているみたいだ。
その影響か本来小さな怪異には対応しない琥珀も、小夜と共にときどき見回りに行くらしい。
恐らく何者かの根回しが影響しているみたいで、家に帰ると不届き物が縄張りを荒らしているのが気にくわないのか琥珀は良くプンプンしている。
おみやげに帰りにスイーツでも買っていくか、もちろん小夜の分もね。
「そういえばアンタ園芸部で何してたの?」
キャンプ場の森へと向かう中で、僕が帰ってからどうやって琥珀のご機嫌取りをするか考えていると涼音が声を掛けてきた。
「何してたと思う?」
「めんどくさ……」
……質問に質問で返したら涼音に呆れられる。
歳を聞かれていくつに見える?と返す。
こういう返しをするおじさんが面倒くさいとネットで何回か見た事があるが涼音には効果てき面みたいだ。
涼音の反応をみる実験を終え、僕が質問の答えを言おうとした途端、香蓮ちゃんも会話に混ざってくる。
「それは私も知りたいな」
「あぁ、畑を耕す手伝いをしてたんだ」
「ちょっと、なんで私の質問には答えない癖に香蓮の質問には素直に答えるの」
いや別に涼音の質問に答えなかったわけじゃないんだが。
どうやら誤解を生んでしまったようだ。
焼きもちを焼くような涼音の振舞に香蓮ちゃんが笑う。
「ははは、スズは焼きもち屋さんだね」
「そ、そんなんじゃないって」
「じゃあツンデレ屋さんだ」
「ツンデレじゃないって言ってるでしょ!」
ツンデレ呼ばわりした僕をバシンと叩いて涼音が反論してくるが悲しいかな。
そのセリフは一字一句ツンデレの発する言葉なのだ。
何故この子はそんなにツンデレを否定するのだろうか。
私、気になります。
そして僕らの話題は部活動の話に移り変わっていく。
「そういえばこーちゃんは部活に入らないのか?」
「今のところは考えてないよ、恥ずかしながら修行と生徒会の活動でいっぱいいっぱいだし」
「確かに最近任務が多かったからなぁ、本来はもっと暇ではあるんだが」
最近の任務の多さに少しうな垂れながらも、凛華姉さんが答えるがそれ抜きにしても凄いと思う。
姉さん達は部活や修行もこなしながらも、生徒会の活動までもこなしているのか。
幼い頃から鉄人のような人だとは思っていたけど、凄い人たちだな……。
そしてこの学園は部活の入部を推奨しているらしい、絶対入部制という訳ではないみたいだが。
部活に入る事で、色々な経験をしたり人間関係の学びに繋がる事を目的としているみたいだ。
「凛華は凄いんだよ、煌河くんには言ってないと思うけど弓道部の大会で最優秀選手に選ばれたりしているんだ」
「え? 姉さん弓も使えるんだ!」
姉さんは僕らの界隈では近距離戦最強の【卍白月の武者卍】の2つ名がある。
瘴気を払ったり呪力を扱うような事は苦手だが白兵戦において右に出る者はほぼいない。
名前の由来は刀の描く残像が白い月に見えたという偉い人の言葉からその異名が付いた。
そんなサムライの姉さんが弓まで使うようになるとは。
「は、恥ずかしいではないか、武芸に秀でていると思われるのも……わ、私だって一応乙女の端くれなんだからな」
「恥ずかしい事なんてないさ、煌河くんだって凛華の凄い所を知りたいと思っているよ」
「ほんとに凄いよ凛華姉さん、色々な事をこなしてて……僕も見習わないと」
「そ、そうか! 改めてそう言われると照れてしまうな……」
僕の感想に凛華姉さんは嬉しそうにふふふと笑いながら歩き続ける。
流石学園の王子様と呼ばれる香蓮ちゃんだ、きっと姉さんの努力を近しい人に知って欲しかったんだろう。
そういう気遣いや振舞からも人気が出てるんだろうな。
「それより煌河くん馬術部にこないかい? 私が乗馬を教えてあげるよ、手取り足取りね」
「馬術部なんてあるんだ! 面白そうだけどいきなり入るのはハードル高いな……」
「大丈夫さ、心配なら試しに遊びに来るといいよ」
「弓道も楽しいぞ、私が教えてやろう」
僕が2人のお姉さまに迫られて困っていると朱鳥先輩が助け船を出してくれる。
「この学校は兼部してる子も多いから、興味が会ったら1回遊びに行ってみるといいんじゃないかしら」
朱鳥先輩は話を続けて部活の説明をしてくれた。
どうやら毎日活動してるところもあれば気が向いたときに参加してもいいような部活もあるみたいだ。
麗香が園芸部に入っていたのは気が向いたら部活に来ればいいからみたいな事を言っていたな。
そういう部活も多いんだろうか、それにしても馬術部まであるとは。
色々な部活があって面白そうだ。
なんて考えていると朱鳥先輩が唐突にとんでもない質問を繰り出してきた。
「そういえば園芸部には彼女さんでもいるのかしら?」
「彼女だと!?!?」「彼女だって!?!?」
2人のお姉さまが同時に声を大にし迫真の表情で僕を見つめてくる。
なんで当事者の僕よりオーバーなリアクションをしているんだ。
「いませんよ彼女なんて!」
「あら、てっきりそれでお手伝いしていたのかと思ったわ」
「麗香の弁当のお礼でしょ」
と涼音が口走った途端また変な空気になる。
「こーちゃんは椿さんと付き合っているのか?」
「付き合ってないって!」
僕はひょんなことから彼女の妹を助け弁当を作って貰うことになりそのお礼とかでスイーツを買っていたり、今日園芸部を手伝ったりした事を説明した。
もちろん麗香だけではなく、良く朝食を作りに来てくれる姉さんにもちょくちょくお礼をしている。
僕が説明している間、凛華姉さんは悔しそうな表情で僕の話を聞いていた。
「私としたことが……お昼の弁当を忘れるとはなんたる失態だ……」
「助けた子のお姉さんがスズちゃんの友達だったなんて、不思議な縁ね」
確かに数奇な運命だ。
あの時に麗香の妹のるーちゃんを助けスタリオンになって学園に通う事になり、麗香は涼音の友達で……。
そしてその学園には幼馴染の凛華姉さん、小さい頃に会った香蓮ちゃんや涼音までいるなんて。
僕が感慨深い物思いに耽っていると香蓮ちゃんがとんでもない事を言い出す。
「そうだ! 私もお弁当を作ってきてあげるよ!」
!?
「ずるいぞ香蓮! 私も作るからな!」
「いや姉さんはいいよ」
「な、なぜだ!?」
凛華姉さんは哀しそうな表情をし僕を見つめる。
ご、ごめん勘違いさせてしまって、決して凛華姉さんが嫌とかいう訳じゃなくて。
「凛華姉さん朝だってわざわざこっちにきて作ってくれてるでしょ、流石に負担が大きいよ」
「そんな事ないぞ、1人分も2人分も同じだ」
「凛華だってずるいよ! 一緒に学校に行ってると思ったらそんな事してたなんて、私だって朝食を作りに行きたいよ」
「いや、それは私の特権だ! こーちゃんの寝顔を見ていいのは妻だけだからな!」
「ねが!? なんて羨ましいんだ! 私も煌河くんの家に行く! 朝に!」
「ダメだダメだ! 誰にも合鍵は渡さないぞ!!」
「あ、合鍵!?!?」
あわわわ香蓮ちゃんの言葉から場はてんやわんやだ。
どうすればいいんだこれ。
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