22. 生徒会での初任務 Bパート
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「ここに着いたときは誰かさん達のせいで中々話が進まずどうなるかと思ったけど、煌河くんのおかげでいつもより全然早く終わったわね」
道中、歩を進めながら朱鳥先輩から褒められる。
いやぁその説は失礼しやした……。
「役に立ったなら嬉しいよ」
「ホントにすごいわ、流石【神の利き腕】ね」
「ブッ! そ、それは……」
♰神の利き腕♰というのは僕が小さい頃呼ばれていた2つ名だ。
今思い出すと糞恥ずかしい。
陰陽師の神様、安部晴明が得意とする補助や非戦闘用の術式を次々に会得していった僕にちなんだ2つ名である。
神童だ何だなどと呼ばれていたが、戦闘用の術式が何故か僕には一切使えなかった。
ある程度歳を重ね、中学生くらいになる頃からは怪異と戦えない落ちこぼれだの負け犬と呼ばれ続けた。
「凛華から聞いていたのよ、こんなすごい男の子がいるんだって」
「なんか恥ずかしいですね……それに今はただの落ちこぼれですよ……」
「そんな訳ないだろう!」「そんな事ないよ!」
僕の自虐に凛華姉さんと香蓮ちゃんが声を重ねて否定をする。
「あまり自虐をするな、言霊というのもあると教えてくれたのはこーちゃんだぞ、それに私が悲しくなる」
「そうだよ、さっきの君の術だって誰にでもできる事じゃない、それに、術とか関係なしに君は優しくて素敵だよ」
「あ……気を付けるよ、2人ともありがとう……」
こうやって僕の事を1人の人間として大事に想ってくれている事は本当にありがたい。
そういう人達を傷つけないようなるべく気を付けないとな……。
「ごめんね、私余計なこと言っちゃったかしら」
「全然気にしないでください、褒めてくれて嬉しかったです」
朱鳥先輩が小声で謝ってくれる、きっと僕を褒めてくれただけなのに裏目に出てしまったのだろう。
逆に申し訳ない。
少し空気が重くなってしまった中、切り替える為に何か話題を探すがいかんせん何も思いつかない……。
そんな中涼音が口を開く。
「そーいえばさ、私達でも瘴気を払えるようにできるって言ってたけど、どうやるの??」
流石の機転だな、音楽の授業でも助けて貰ったが涼音はクールで余り喋らず一歩引いている分周りの事を良く見ている。
そしてここぞという時に助け船を出してくれるのだ。
皆同じことを考えていたのか
「「「「流石……」」」」
と声が被り、その事が面白かったのか皆の感嘆が笑い声へと発展する。
空気も緩みホっとした中、涼音の方を見ると、このくらい当然よという風にニヤけていた。
なんか、かわゆいな。
「そうだな、瘴気を払えない人が払えるようにするには、武器に専用の呪具や呪力を付与する、専用の呪具を携帯する、大まかに言えば道具頼りかな」
「武器に霊力を込めるのは私もやっているぞ? それでも瘴気を払うのには効率は悪いままだ」
「それに道具だけで瘴気を払えるなんてアーティファクトや神器とか、伝説の道具くらいよ」
「まさか、煌河くん……」
どうやら皆、僕のやり方に疑問を抱いているが、香蓮ちゃんは気付いたようだ。
「僕には出来るんだ」
「……」
皆がポカーンとする中で僕は1人で言葉を続ける。
「例えば武器や呪具などには僕が直接付与できる、30秒も掛からないよ、それでいて持続時間は半日は持つ」
「でも一番良いのは本人が道具と契約する事だ、これは式神契約の術式と似ていて八百万の神からの着想を得て気付いたんだ」
「人が心を込めた道具には心が宿る、機械での制作じゃそうはいかない」
「名だたる業物の名刀なんかに名前が付いているのはそういう事なんだ、厄払いだけではなく刀そのものの特性も上がる、切れ味とか耐久性とかね」
「まぁそれくらいかな……」
饒舌なオタクがいきなり1人で語り出したみたいな空気になってしまった。
……正直、すいません。
オレ、また何か言っちゃいました?
「それって伝説の武器を30秒で生み出せるって事かしら……?」
「伝説とまでは流石に行きませんが……」
「すごいよ!道具と契約なんてできたら歴史が塗り変わるよ!」
「うん、香蓮ちゃんの使ってる道具も出来ると思うよ」
「こーちゃん、これを発表しよう! 汚名返上してこーちゃんを落ちこぼれ呼ばわりしたやつらを見返すんだ」
「いえ、やめた方が良いわ、こんな事がどこかの組織の人間に知られたら拉致されて使い潰されるわよ」
「よし、やめよう!」
……やっぱりそうなんだろうか、朱鳥先輩はなんか色々知ってそうだな……。
「きっと煌河くんも私達だから話してくれたんだと思うわ、ね?」
「う、うん皆なら大丈夫かなって思ってさ」
僕が皆への信頼を言葉にすると、凛華姉さんが抱きしめてくれる。
「こーちゃん、何があっても私が守ってやるからな」
負けじと香蓮ちゃんも抱きしめてくれる。
「私もだよ、不審な輩には君に指一本触れさせない事を誓うよ」
2人に抱きしめられて心から安心するが……。
このままじゃ進まないので僕は照れながらも2人から脱出する。
「ふ、2人とも、気持ちは嬉しいけど早く進もう、日が暮れてきてるし」
「フ、照れてる所も可愛いな……」
「本当だね、あぁウチにきてくれないかなあ……」
それよりさっき瘴気を払った時の香蓮ちゃんのオーラはすごかったな。
あれで全然消耗してないんだから、本当にすごい。
「それにしてもさっきの香蓮ちゃんのオーラすごかったね、あんなに穏やかで壮麗なオーラは感じた事ないよ」
「そうかな、頑張った甲斐が会ったというものだよ」
「愛ね……」
「へっ!?」
朱鳥先輩の言葉に香蓮ちゃんがすっとんきょうな声を発する。
愛?? 何のことだ??
「私、いつもだったら瘴気を払う時の香蓮のオーラに少し肌がひりつくのよ、でもさっきのはなんていうか、愛を感じたわ……」
「それ、私も感じた、認めたくないけど……」
「当然さ! 大事な弟みたいなものだからね!」
「まぁ……今はそういう事にしといてやるか……」
「?」
僕を大事に想ってくれているらしい香蓮ちゃんと皆のやり取りを眺めながら先へ進み、僕らは瘴気の確認を終えた。
その後帰って行く皆を横目に、瘴気の発生源に竜脈の流れを阻害するビー玉のようなものを発見した。
それを念のため力を封じ込める袋に入れ、皆の後を追い夕暮れの照らす帰路についた。――――
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