21. ちょっと特殊な生徒会
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僕らはケーキを食べ終えて、ティータイムでの談笑を程々にこなしている途中、何故ここに呼ばれたのかという疑問を思い出し、凛華姉さんへと質問を切り出す。
「あの、そういえばなんで僕は呼ばれたの?」
「あぁ、そうだったな」
凛華姉さんは飲みかけのティーカップを置き僕の方へ向き直る。
「こーちゃんには生徒会へ入って貰おうと思ってな」
「え? 僕が?」
どうしよう。
生徒会か……活動内容も正直よく分からない上に生徒会は学校の舵を取っていくいわば生徒たちのリーダーだ。
そんなものは当然僕には向かないわけで……涼音なら僕が入るのに反対するんじゃないか??
援護射撃で僕ごと打ち抜いてくれることを期待し涼音の方を見るが……我関与せずという態度で涼音は本に目を落としていた。
僕が戸惑っていると、凛華姉さんが言葉を続ける。
「活動内容だが、基本的には学校の風紀や行事の運営を取り仕切っている、自分たちの手で良い学校にしていくのは楽しいぞ」
「そうね、学校内には色々な設備があるけれどカラオケBOXなんかは生徒の要望でできたのよ」
「あ、あれって後からできたんだ……」
すごいな生徒会、学校の設備なんかにも関わってくるのか。
「なに、臨時メンバーという形でもいい、普段は暇だが繁忙期は人手が欲しいんだ」
少し興味が湧いてきたけど余り気乗りしないな……。
でも、せっかく島にきたんだからこういう活動をしていくのも面白いかもしれない。
心機一転して挑戦してみようかな……。
「それじゃあ皆が良ければ臨時メンバーとして……生徒会なんてやった事ないし雑用くらいしかできないけど」
「よし! それじゃあ決まりだな」
凛華姉さんが僕の臨時加入を決定したら、香蓮ちゃんが僕の頭を撫でてきた。
嬉しいけど恥ずかしいよ、幼い頃と全く変わらない扱いだ……。
「君とまた一緒にいられて嬉しいよ」
「香蓮ちゃん、僕もう高校生だし恥ずかしいって……」
「照れてるのかい? それとも、やっぱり私みたいな女にまとわりつかれるのは嫌かな……?」
香蓮ちゃんは王子様のような振る舞いがとても似合っていて、その兆候は幼い頃からあった。
初めて会った時は男の子かと見紛う風貌のおかげで、本当に男の子かもと思ったものだ。
それでいて弱きを助け強きを挫く騎士道精神のような優しさと強さを持っていたのだ。
だからなのか彼女は、幼い時も女の子としての自分に対しては自信がないような言動をしていた気がする。
「嫌じゃないよ! 僕も香蓮ちゃんと一緒で嬉しいけど……めちゃくちゃ美人さんになってるからさ、恥ずかしくて……」
恥ずかしがっている僕が面白いのか香蓮ちゃんは抱きしめてきて執拗にからかってくる。
「そうか、やっぱり君は昔と変わらずに本当に良い子だね♥ また私がおやつを食べさせてあげるからね♥」
「さっきの変な空気はそういう事か! 香蓮ずるいぞ!」
「あわわわわ」
あわわわわ、逆方向から凛華姉さんまで抱きしめてくる。
美人な幼馴染のお姉さん2人に挟まれてなんて幸せな事か……。
2人は僕を抱きしめつつ何やら軽口を叩き合っているが……。
おっきいのがやぁらかいしいいにおいがあふれててたいへんだよこれぇ。
や、やばいこのままじゃ文字通り悩殺されてしまう。
「お取込み中のところ悪いけど本題がまだなんじゃない?」
「む、そうだったな」
2人は仕方ないといった感じで僕から離れ、落ち着きを取り戻す。
朱鳥先輩が助け船を出してくれて助かった。
名残惜しいけどあのままじゃ本当にやばかった。
「助かった……ありがとう朱鳥先輩」
朱鳥先輩はお安い御用よといった態度でフフと僕に微笑みかける。
カッコイイできる女性だ……。
「本題に入るが、私達の活動だがさっき話したものは表向きな内容なんだ」
なんだそれは、どこぞの秘密結社か。
一体裏では何をしているんだ。
凛華姉さんは耳を傾けている僕に対し話を続けていく。
「この組織が生徒会と呼ばれたのは後付けでな、学校や周辺地域で起こる怪異の対応をするために発足されたんだ」
「……」
「本来この学校には生徒会などなかったのだが、時々集まるグループが生徒会ではないかと噂されるようになってな」
「変な噂にすり替わる前に生徒会を正式に立ち上げ、隠れ蓑にしたという訳だ」
「学園が設立してから歴史は浅いがこんなエピソードがあってこの組織は受け継がれてきたんだ」
一般人からしたら突拍子もない事を凛華姉さんは真面目な顔で語っているが、言ってる事は分かる。
僕だって凛華姉さんの家の君主を代々護衛してきた家の生まれだ。
朱鳥先輩は凛華姉さん達と家の付き合いがあるからともかく、まさか涼音もこっち側の人間だったのか?
僕は涼音の方を見て疑問の表情を浮かべる。
「涼音もこっち側の人間だったって事? 僕はてっきり……」
「当たり前だろう、そろそろ気付いてやったらどうだ?」
凛華姉さんは少々呆れる様な顔で僕を見ているのだろう。
溜息をつく涼音の横顔を見つめ続けると、彼女は僕の方を向き言葉を発する。
「ホントに覚えてないの……?」
「え?」
「私、スズだよ……」
スズって……僕の人生で関わりのあるすずという名の人物は1人しかいない。
幼い頃に香蓮ちゃんの侍女として凛華姉さんの家に来て、一緒に遊んでいた女の子だ。
「うそ!?」
「嘘なわけないでしょ」
「スズってスズじゃないの!?」
「何言ってんの?」
まさか涼音がスズだとは……。
僕は幼い頃に出会った女の子をスズという名前だと思い込んでいたみたいだ。
香蓮ちゃんがそう呼んでいたから僕もそう呼んでいたんだ。
香蓮ちゃんのフルネームがややこしいということ以外、彼女達の名字を微塵も覚えていなかった僕は
面を喰らってしまった。
凛華姉さんもあの頃はスズちゃんと呼んでいた気がするけど……。
「驚いたよ、久しぶりだね」
「私はアンタ見た瞬間に気付いたけど」
「……ごめん」
すずはあのころと比べると随分態度が柔らかくなったような気がする。
今でも冷たい感じはするが、それは人を本当に疎ましく思うような態度じゃないのは感じ取れる。
あの頃はとにかくツンケンしてて僕を目の敵にしていたような……。
今思えばそれは大事な香蓮ちゃんと仲の良かった僕に、焼きもちを焼いていたのかもしれない。
ツンデレはどうやら幼い頃からツンデレらしい。
あの頃と顔つきも大分変っており、今はミステリアスでクールな雰囲気だが、昔はおてんば娘だったような気も……。
言われてみればスズのような面影もあるかもしれない……。
「はははは! スズ、やっと煌河くんに気付いて貰えたね!」
「何度目を合わせても全然気付かないんだもん、鈍感なのも限度があるでしょ」
そうか、それで時折僕の方を見つめていたのか……。
こってり睨まれているものだとばかり思っていた。
待てよ、それってスズは僕に気が付いてほしかったって事か?
なんかそう思うと可愛く思えてきたな。
「なんだ、僕に気付いてほしかったのか、スズも可愛いとこあるじゃん」
「な、何言ってんの、そんなわけないでしょ!」
「いやぁ時折睨まれてるなあとは思っていたけどそういう事か」
「違うって言ってるでしょ、一人で納得するのやめてもらえる?」
うんうん頷いているとスズから何度か肩をバシバシ叩かれる。
なんかこういうやり取りも懐かしいな、幼い頃はいい加減な事を言う僕をよくスズが叩いていたものだ。
僕が思い出に浸っていると香蓮ちゃんが、スズの胸中を吊るし上げる。
「スズってばLEENで今日も気付いてもらえなかったーって何度も言っていたんだよ、おめでとうスズ」
「ちょ、ちょっとそれは言わないでよ!」
「え? どうしてだい? 可愛らしいじゃないか」
スズは軽く赤面し、再び読みかけの本へ視線を落とす。
久しぶりに会ってこういう話を聞くと一気に印象が変わったなぁ。
さっきまで僕の事を少しうざく感じてるものだとばかり思っていたが、どうやら思い過ごしみたいだ。
「よかったぁ、てっきり僕の事をウザいやつと感じているのかとばかり思ってたよ」
「まぁ正直……」
「うん」
「ウザイかも」
「そんなぁ!」
「「「ははははははは!」」」
皆の笑い声が室内へと響き渡り僕は生徒会のメンバーとなった、臨時加入者として。――――――
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