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第6話

 野菜が欲しいな。

 考えながら周囲を見ると、山菜が視界の中で光っている。

 便利だなーこれ。

 元の世界のなら雑には判るんだけど、こっちの世界のはわかんないし。

 タラの芽のような物、コシアブラのような物、フキノトウ(以下略、ノビル、行者ニンニク・・・

 日本では見たことがない鑑定名・薬草なんてのもあったので採集。


『警告、前方50メートルにイノシシタイプの魔獣を確認

 こちらが風上のため、すでに察知されている可能性があります。


 状況に変化・・こちらに向かって加速しつつ移動を開始しました。』

「お肉が来ましたー!」

 僕が何か考える前にヘレナが反応し、空中にできた亀裂からメーターオーバーの大太刀を取り出し鞘から引き抜きそのまま走り出した。


 ヘレナが向かった先から茂みを掻き分け踏み倒す様に音を立てて3メートル近いイノシシが飛び出してくる。

 すれ違いざまに体をかわして鼻先に刃を入れ、そこからイノシシの勢いも利用して後部まで一気に切り抜き、綺麗に上下分割。

 斬られた獲物は勢いが止まらず進行方向に立っていた大木に衝突して果てた。

「おにいちゃん、お肉が獲れましたー♪」

 目を点にして眺めていた僕、大太刀片手に最高の笑顔で報告するエレナ。

「ヘレナすごい!だけど僕、大型の獣はさばいた事が無いなー。。。」


『解体の前に一度次元収納に収めて下さい。次元収納内は時間の経過を止めることと滅菌、寄生虫駆除もできる定番使用です。収納した時点で毛や内臓に付着している寄生虫、菌などが死滅しますので、その後の作業を安心して実行することが可能です。

 お二人の体ならば特に害はないですが、必要のないリスクをとる事に意味はないのでお勧めします。』

 実行後、ソフィアに教わりつつ食べるロース部分だけを上部パーツから切り出し、残りは次元収納に収める。

 木にぶつかった時点で上蓋が開いて昇天したような状態だったので 比較的楽でした。


 余分な時間はくったけど無事に山菜とオマケの肉も確保しテントへ戻る。

 魚が焼けてきたので、回して裏面になっていた方に火をあてて更にじっくり火を通す。


 ロース肉は塊で塩コショウ。串に刺して焼いてみた。

 スライスした方がはやいだろうけど、とりあえずやってみたかった。

 焼き足りなかったらスキレットで焼き足せばいいし。

 寝かせた方がいいとは聞くけど、獲れたてってどうなんだろ。

 味見に小さく一切れ別に焼いて口に入れたら、ヘレナが雛鳥みたいに口を開けてきた。

「私も、私も。」

 一切れ入れてあげると、「むっ、まだ若いです。」

 獲れたて絞めたてだしねー。

 某メーカーのタレをつければ食えるかな?


 日本人としては米の飯も欲しいところだけど、今からだと準備間に合わないから今回は無しで。


 ◇◇◇◇◇


 魚と肉から油がしたたり落ちている。

「おにーちゃん、まだですか。」

「もうちょっとだね。焼けるまでに燻製つくっちゃおう。」

 川の水にさらして塩抜きしていた魚をフックに掛け、燻製用に分けた焚火の上に提げていく。

 手抜きだらけだけどなんとかできるでしょ。


 だいぶ日が落ちてきた頃さにコシアブラとタラの芽を湯がいておひたしにしたら完成ー!


 イワナ風三つ目魚の塩焼きと山菜のおひたし、イノシシロースの丸焼き完成ー!


「お兄ちゃんお魚美味しーです。

 骨も食べれちゃいます。」

「ヘレナが手伝ってくれたから最高の出来だね。」

 時間をかけて火を通したので骨まで火が通っている。

 水分も飛んで芳ばしくサクッとした触感。

 塩加減も丁度よく頭から丸ごと齧れば最高の御馳走だ。


 飲み物のリクエストを聞くと緑茶との渋い回答、次元収納に入っていたお茶セットで入れてみた。

 神の玉露、甘みのある大変美味しいお茶でした。

 自分用には、キャンプ用に持ってきた少しお高いラム酒。

 ちびちび舐めるように飲むのが好きなんです。


 お浸しはヘレナが食べれるかどうか心配だったけど、普通に食べていた。

 山菜特有のエグミがアクセントになって最高にうまい。

 やっぱりこれがないとね。

 次は時間がある時に天ぷらにしよう。


 お待ちかねの肉は焼き時間がたりなかったらしく真ん中切ったら中心が赤かったので、全部厚めの輪切りにしてスキレットで追い焼きした。

 滋味あふれるお肉でした。

 次はもうちょっと熟成させてみよう。

 ヘレナはと見れば美味しそうに もぎゅもぎゅしていた。

 肉食幼女だな。



―――――――――――――

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