表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/243

第95話 私達は平和を満喫していますが、ハングリル王国は大変らしいです。知らんけど…

 王妃様御一行がロザミアに来て、早くも10日(とおか)った。

 今日──10月5日──が本来の到着予定日だった(はず)なんだが…

 更に、やっと滞在予定が届いた。

 それによると、滞在期間は10日間。

 つまり、10月5日~15日まで。

 …まぁ、既に10日滞在してるけどね。

 それにプラス10日…

 イヤな予感がするんだけど…


「なるほど… では、ロザミア(ここ)に来るのに予定を10日(ちぢ)めましたから、帰りも同じ様に10日(ちぢ)めれば(よろ)しいですわね♪ そうすれば、(あと)20日(はつか)は滞在出来ますわね♡」


 やっぱりかぁああああああっ!!!!

 イヤな予感が当たったわっ!!!!

 (なん)か知らんが、早くもミラーナさんの『幻覚が見える料理』にも慣れやがったし!

 いや、それは関係無いけど…

 とにかく、この10日間で私は()(ろう)(こん)(ぱい)なんだよ…

 何がって、風呂に決まってんだろ!

 前回の王宮滞在時に(おど)しておいたからミラーナさん達は普通に入るんだけど、キャサリン様とロザンヌ様は相変わらず私を洗いたがるんだよ…

 王妃様はローランド様を洗うから不参加なのは助かるけど…

 2人で私を独占出来るのが(うれ)しいのか、王宮滞在時より()()として…

 こんな状況が、まだ20日(はつか)も続くのかよぉ…

 逆に、20日(はつか)だけの我慢とも言えるけど…


「それにしてもミラーナの作る料理… 何故、最初の(ひと)(くち)だけ幻覚が見えるのかしら? 慣れてしまえば(なん)て事はありませんし、味に関しては文句の付け様がありませんのに… 不思議ですわね?」


 王妃様がミラーナさんの作ったスープを飲んで感想を()べる。

 うん、それは私も同意見だ。


「でも、面白いですわ♪ 毎回違った幻覚が見れるんですもの♪」


 へっ?

 私は宇宙空間を遊泳している幻覚しか見た事がないんですけど?


「そうなんですか? 私は毎回、同じ幻覚しか見えないんですけど… ちなみに王妃陛下はどんな幻覚を?」


 どんな幻覚なのか気になる…

 何故か(すっげ)え気になる。


「そうですわね… 今回は、お花畑が見えましたわね♪ 前回… 昨日の夕食では大空を飛んでましたし、昨日の朝食では海の中を魚達と遊泳してましたね♪」


 なんだよそれ…

 やけに楽しそうじゃんか。

 私は宇宙空間を遊泳してる幻覚しか見えないのに…

 もしかして、他の人も…


(わたくし)は海に沈む美しい夕日を見ましたわ♪」


 キャサリン様…

 なんか(うらや)ましいぞ!


(わたくし)は景色ではありませんけど、とても美しい虹色の模様が… 幻想的でしたわ♪」


 そんなパターンもあるんかい。


「僕は… ちょっと恥ずかしいけど、嬉しい幻覚を…」


 顔を赤らめるフェルナンド様。

 なんかイヤな予感がするんですけど…


「フェルナンド、何が見えましたの?」


「是非、聞かせて欲しいですわ♪」


 2人の姉に言われ、更に赤くなるフェルナンド様。


「フェルナンド、言っちまった方が(ラク)かも知れないぞ? 言わずにアレコレ変な事を想像されるより()いだろ?」


 ミラーナさんの一言(ひとこと)に、意を決したフェルナンド様が言う。


「…エリカお姉ちゃんが僕を抱き締めて頭を()でてくれてる幻覚が見えたんです… 何故か僕もエリカお姉ちゃんも(ハダカ)なんだけど…」


 ガゴンッ!


 痛い…

 思わず、思いっ切りテーブルに頭を打ち付けたよ…

 な… なんちゅう幻覚を見やがるんだ、このガキゃあ…

 まだ7歳だろ、テメェ!

 7歳なら7歳らしく、もう少し()(わい)らしい幻覚を見やがれ!

 言えんけど!

 てか、そ~ゆ~願望があるのかコラ!?

 ざけんなよ!?


「エ… エリカさん、大丈夫ですか!? 凄い音がしましたよ!?」


 アリアさんが駆け寄って、テーブルに()()した私を起こす。


「僕、エリカお姉ちゃんのオッパイ飲んでた~♪」


 バゴンッ!


 アリアさんに起こされたのも(つか)()、またも私はテーブルに頭を…


「エ… エリカさん…」


 オロオロするアリアさん。

 ま、仕方無いよねぇ…

 それはともかく、まだ3歳のローランド様は何も考えてないんだろう。

 とんでもない事をサラッと言ってのける。

 その様子にアリアさん以外の全員が…

 笑うなよ!

 頼むから笑うな!

 ……………………………

 スイマセン、笑わないで下さい…


「フェ… フェルナンドに… ロー… ランドまでも… なんという… おも… とんでもない幻覚を…」


 オイ、王妃様…

 アンタ今、面白いって言いかけたろ!

 こっちは面白くも(なん)ともないわ!

 言えんけど!

 王妃様達は笑い、アリアさんはオロオロし、私はテーブルに突っ伏し、ミラーナさん達は…

 涙を流しながら笑いを(こら)えてやがる。

 がっでむ!





 ─────────────────





 私達は今、テーマパークに来ている。

 より大勢の方が楽しいだろうって事で、王妃様達は治療院の休診日まで待っててくれたらしい。

 こ~ゆ~トコは優しいんだよ、この人達…

 なのに突然、妙な事を言ったりしたり…

 このギャップは何とかならんかな…?

 それはともかく、久し振りのテーマパークを満喫(まんきつ)する一同。

 ローランド様はブランコに夢中で、王妃様も一緒に楽しんでいる。

 キャサリン様、ロザンヌ様、フェルナンド様は、巨大滑り台を楽しんでいる。

 ミラーナさんはストラ○ク・アウトで…


「うりゃあっ!」


 がごんっ!


「終了~! 合計3枚! 残念でした~!」


 意外とノーコンでやんの…

 ミリアさん、モーリィさんは、巨大迷路に再挑戦し…


「あぁあ~~っ! レイアウトが変わってるぅ~~っ!」


「出口は!? 出口は()()っ!? ここは()()~っ!?」


 10日(ごと)にレイアウトが変更される巨大迷路で、また迷いまくってやんの…

 やっぱり方向音痴なんだろうか?

 これでよくニュールンブリンクの大森林で迷わないモンだな…

 それとも、自然の木々に囲まれてるのと、人口の壁に囲まれてるのでは違うんだろうか?

 まぁ、いざとなれば外周の壁に()る脱出口から出れば()いし、()っとこう。

 そして私とアリアさんは…


「エリカさん、このジャンボ・フランク()()しいですね~♡」


「フライドチキンも()()しいですよ♪ このポテトも♡」


 平和に買い食いを楽しんでいるのだった。

 いや、アトラクションは前回楽しんだし、新しいアトラクションが増えたワケでもないしね。

 私達は魔法医として、万一に(そな)えてるだけなんだけどね…





 その頃、そんな平和を満喫している私達と違い、遠く離れたハングリル王国では…

 (さき)の戦争の賠償問題で、国内は大きく揺れ動いていたのだった。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 ここはハングリル王国の王宮内にある会議室。

 会議には王族と公爵達に加え、唯一戦場から離脱したシュルンマック侯爵のみが参加している。


「これだけの賠償金を支払うとなると、国の屋台骨が揺らぎかねませんな…」


「いや、平時ならば(なん)ら問題は無い。だが、侯爵以下の貴族が(ほとん)(とら)われの身となっている現状を(かんが)みれば…」


 シュルンマック侯爵は沈黙している。

 とりあえず、言いたい事を言わせておこう。

 自分が発言するのは意見を求められた時か、何も()開策(かいさく)(みい)()だせないとの結論に達した時で良いとの考えだった。

 そして、シュルンマック侯爵の考える結論は、(いず)れも国王が退位する事になるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ