表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/232

第5話 魔法医になれました!

 感想で『治療したときにギルドの人達が何に驚いているのかわからない』との一言がありましたので、状況説明を追加しました。

 他の皆様も、気になる部分があれば遠慮無く書き込んで下さると嬉しいです。

「こんな小さな子供が魔法医だと!?」


 朝になり、部屋から出た私は早速(さっそく)受け付けへと向かったのだが、ミリアさんから話を聞いたギルドマスターの第一声がこれだった。

 まぁ、普通はそう思うよな。

 ギルドマスターは口髭(くちひげ)を生やした赤毛の細マッチョで、身長も高い。

 今の私の身長──130cm──から考えると、180cmを超えているだろう。

 年齢は40代(なか)ばって感じかな?


「エリカ・ホプキンスと言います。ミリアさんから話を聞いて(いただ)いたと思いますが、医学知識と魔力はあります。ですが(てん)(がい)()(どく)の身の上で、このままでは生活していけません。ですので魔法医として働ける様、ギルドに登録して貰えないでしょうか?」


 私は(あご)の少し下で両手を握りしめ、困った表情でギルドマスターを見つめる。


「事情は分かるんだが、こんな小さな子供を登録するのはなぁ…」


 どうやら頭が少々固い人らしい。

 じゃあ、ここは不老不死設定を()かして…


「私、見た目は子供ですけど、不老不死なんで実年齢は24歳ですよ?」


「「「なにぃいいいいいいい!!!!」」」


 ギルドマスターだけでなく、その場に居た全てのハンターの皆さんも同時に叫ぶ。

 あ、やっぱり意外だったか。

 でも、本当に24歳なんだから仕方無い。

 一応、前世での私の年齢だけど、別に嘘じゃ無いから。


「8~10歳ぐらいだと思ってたのに… マジかよ…」


「俺より5歳も年上?」


「俺の息子と(おな)(どし)じゃねぇか…」


 等々(などなど)、そこかしこからざわめきが聞こえる。


「う~ん… にわかには信じられんが…」


 困惑(こんわく)するギルドマスター。


「そこまで言うなら登録は許可しよう」


「ありがとうございます!」


 私は深々と頭を下げる。


「ただしだ… 規則ってのもあるし、言ってる事が本当かどうかは確かめさせて貰う」


 あ、やっぱり試験か何かあるのかな?


「そうだな…… おい、ザック!」


 少し考えてギルドマスターは一人の男を呼ぶ。

 ザックと呼ばれた若い男は右足を引きずっていた。


「エリカと言ったな? こいつの右足を治す事が出来たら魔法医として登録を許可しよう」


「分かりました。じゃあザックさん、この椅子に座って下さい」


 椅子に座ったザックさんの右足を見てみると、膝の裏から足首にかけて大きな傷がある。

 最近出来た傷の様だ。


「ホーン・ベアにやられてな」


 ザックさんは(くや)しそうに言う。

 ホーン・ベアとは、角の生えた熊を想像して貰えれば()いと思う。

 普通は4~5人、熟練ハンターでも2~3人で協力して倒す様な凶暴な熊だとか。

 運悪く一人で薬草採取をしている最中に()(くわ)したらしい。

 逃げる時に膝の裏に爪が深々と刺さり、足首まで引き裂かれたそうだ。

 (さいわ)い、近くに別のハンター達が居てくれたので(だい)()には(いた)らなかったのだとか。

 私は目に力を込めて患部を()る。

 すると内部組織がハッキリ見えた。

 実は今朝、まだ薄暗い内に目が覚めたので診察に必要と思われる能力を魔法で()()しておいたのだ。

 この患部を透視する能力もその(ひと)つ。

 レントゲンもCTスキャンも無い世界では、こういった能力は(ひっ)()だ。


「うん、膝の靭帯(じんたい)が切れてますね」


 足首までの傷自体は見た目より(ひど)くないのだが、靭帯が切れているのはハンターとしては()(めい)(てき)だろうな。


()()()()?」


 あ、この世界じゃ医学もそこまで発展してないのか。

 私は靭帯について簡単に説明し、魔法で切れた靭帯を修復する。

 ついでに表面的な傷も。


「これでもう大丈夫ですね。右足だけでジャンプしてみて下さい」


「えっ…? あ、あぁ…」


 ザックさんはクセになってるのか椅子を(ささ)えにして立ち上がり、今まで動かなかった右足で(おそ)(おそ)るジャンプする。

 勿論、何の問題もなくジャンプ出来たのだが…


「「「おおっ!」」」


 ギルドマスターにザックさん、(まわ)りで治療を見ていた人達が一斉に驚きの声を()げる。

 そりゃ、驚くかな?

 ザックさんの右足は、今の今まで動かなかったんだから。


「ハイ、これでもう大丈夫ですね。すぐにでもハンターとしての仕事が出来ますよ♪」


 呆然(ぼうぜん)と見つめていたギルドマスターが、ハッとして私に話し掛ける。


「エリカ… ちゃん、と言って()いかな?」


「ハイ、構いませんよ?」


 そう言うと、ギルドマスターはニコニコしながら…


「エリカちゃんのギルドへの登録を認めよう。手続きをするから一緒に来てくれ」


「分かりました」


 ギルドマスターはミリアさんを見て…


「ミリア、お前も担当したんだから一緒に来い」


「あ、ハイ。分かりました!」


 そして三人でギルドマスターの執務室へ向かった。

 これで晴れて魔法医になれそうだし、生活費は問題無しかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なんでこの人たちは不老不死をすんなり信じてるんですか?
[一言] 治療したときにギルドの人達が何に驚いているのかわからない
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ