第43話 本人の努力に期待しましょう
王都滞在もいよいよ最終日。
初日からバタバタしっ放しだった気がする…
いや、マジでバタバタしっ放しだったわ!
けどまぁ、それも今日で終わりだと思うと少し寂しい気も…………
せんわ!
最後くらいは静かに過ごしたいわ!
あまり期待できんけど…
思いつつ朝食を食べに食堂へ向かった。
「エリカ殿も明日の朝には王都を発つのか。早いものだな」
しんみりとした国王陛下。
「えぇ、あっと言う間でしたわね」
王妃様も同意する。
う~ん、バタバタしてる間は時間なんて気にする暇なんて無かったからなぁ…
「エリカちゃんが王都に居るのも今日が最後なのねぇ… 寂しくなりますわね」
王妃様がしんみりと言う。
「そうですねぇ。でも、これで会えなくなるってワケでもありませんし」
確かに、寂しくないと言えばウソになるか…
「エリカちゃんは忙しくて大変でしたけど、私は楽しかったですわ♡」
キャサリン様は楽しい思い出が作れたみたいだな♪
「楽しんで頂けて良かったです♪」
まぁ、確かに忙しかったけど楽しかったかな?
「エリカちゃんとのお茶会やお喋り、良い思い出になりましたわ♡」
ロザンヌ様も、楽しい思い出作りが出来たみたいだな♪
「美味しいお茶に楽しいお喋り、私も楽しかったです♪」
まぁ、確かに楽しい思い出かな?
「僕、もっとエリカお姉ちゃんとお風呂に入れば良かったかなぁ?」
ゴンッ!
言うなぁあああああああっ!!!!
こっちはロクな思い出が無いわっ!
特に滞在後半の風呂っ!
バテてるのを良い事に、好き放題全身を洗いおって!!!!
精神は男だけど、姿形は女(の子)なんだぞ!
まだ5歳とは言え、男の子に身体を洗われてどれだけ恥ずかしかったと思ってんだ!!!!
「エリカちゃん、どうしました? 突然テーブルに突っ伏して…」
キャサリン様…
アンタの弟のせいだよ!
「凄い音がしましたけど… 大丈夫ですか?」
大丈夫じゃないわいっ!
自分でやってて言うのも変だけど、結構ダメージあったぞ!
言えんけど!
「いや… 何でも無いです…」
言いつつ顔を上げる。
「大丈夫なワケ無いでしょう? ホラ、おでこが赤くなってますわよ?」
王妃様は私の前髪を上げつつ、困った顔で言う。
「こんなに赤くなって… テーブルは大丈夫かしら?」
ガンッ!
そっちかいっ!
「お… お母様… プッ… またエリカ… ちゃんが… ククッw」
キャサリン様…
笑うなよ…
「プフッ… ダメですわ… こんな… 時に… お母様ったら… クフッw」
ロザンヌ様…
アンタもかい…
て事は、フェルナンド様も…?
あ… あっち向いて肩を震わせながら笑いを堪えてる…
「あらまぁ、ウケたみたい♡」
狙ってたんかいっ!
王妃様…
物静かそうに見えてたけど、実はボケるのが好きなのか?
案外、大阪でも通用するか?
知らんけど!
言えんけど!
「マリアンヌ、今のは感心せんな」
お?
国王陛下からダメ出しか?
てか、王妃様の名前ってマリアンヌって言うのか。
今、知ったよ。
そう言えば、初めて顔合わせした時も名乗らなかったな。
「あら、陛下。ダメでしたか?」
そりゃ、王妃様のセリフぢゃないからなぁ…
「うむ、そこは更にテーブルクロスを捲り、実際にテーブルの状態を確認しながら言う方が良かろう」
おいっ!
「なるほど… それは盲点でしたわね…」
ををゐっ!
なんなんだっ、この夫婦はっ!!!!
天然か?
天然なのかっ!?
…最終日の朝から私は精神的ダメージを食らいまくったのだった…
いや、額のダメージも結構…
────────────────
その後、私は昼食を兼ねたお茶会を2人の王女様達と楽しんでいたのだが…
まだ2人は笑っている。
「お母様ったら、あんな事を仰るなんて… プッw」
「お姉様の仰る通りですわ… プフッw それに、お父様まで… ククッw」
吉○新喜劇やド△フを知ってる私はともかく、キャサリン様やロザンヌ様には王妃様のボケや国王陛下の突っ込み(?)はウケた様だ。
「お2人共、いつまで笑っていらっしゃるんですか…?」
私は半ば呆れて言う。
「だって… ねぇ、ロザンヌ?」
「えぇ、お母様久々のヒットですもの♪」
ん?
久々?
「あの~… それって、どういう…?」
なんか気になるな。
深入りしたくない気もするけど…
「お母様って、物静かな雰囲気でしょう?」
キャサリン様が言う。
それは確かに。
私は頷く。
「意外に思われるでしょうけど… 結構、人を笑わせるのが好きなんです」
ロザンヌ様が続ける。
確かに意外かも…
物静かな人って印象だからなぁ…
「「でも、面白くないんですっ!」」
ハモるんかいっ!!!!
てか、面白くないって?
「お母様は面白いと思ってるんでしょうけど、笑えないんです!」
「私達、いつも凍り付いてるんですっ!」
へっ?
そうなの?
「フェルナンドはギリギリ笑いますけど、数年も経てば冷めた目でお母様を見るのは間違いありません!」
「だからエリカちゃん! エリカちゃんの魔法で、お母様のギャグを面白く出来ませんか!?」
いや、そりゃ無理だろ!
「「お願いしますっ!!!!」」
だからハモるなっつってんだろぉおおおおおおっ!!!!
どうしろってんだ、そんなモン!!!!
笑えんギャグを魔法で笑える様になんて出来るかぁあああああああいっ!!!!
いや、どんな魔法でも無制限で使えるんだから出来るかも知れんけど!
そんな事したら、毎日懸命にネタを考えてる芸人さんに失礼だろ!
言えんけど!
誰か助けてくれぇええええええっ!!!!




