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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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第22話 規格外の王女様

 ミリアさんからミラーナ王女の情報を聞いた私は少々脱力していた。


 なんかミラーナ王女って、王族にしてはブッ飛んだ思考の持ち主と言うか、かなり個性の強い人なんだなぁ…


 幼少期から自身がハンターになる為の(さく)(ぼう)(めぐ)らせたり、国民の為だと国王である父親を(だま)して自身の教育係に一流の剣士や魔導師を付けさせたり…

 ある意味、凄い才能の持ち主なのかも。

 そんな事をミリアさんに話していた。

 しかし、ここでひとつの疑問が脳裏に浮かんだ。

 昨日、ミラーナ王女はギルドからの()り際にこう言った。


『今日は早めに宿(やど)()で休むとするよ』


 そう、確かに宿()()()()()と言ったのだ。

 マークさんやミリアさんから聞いた話では、ミラーナ王女はロザミアの領主だ。

 なら、領主館と言うか領主邸と言うか、ロザミアに自宅が()るんじゃないのか?

 その事を聞こうとした時、外からミリアさんを呼ぶ声がする。


「お~い、ミリアさ~ん!」


 誰だ?

 そう思って2階の窓から下を見ると…


「おっ? その銀髪は昨日の子だね? なら、ミリアさんも居るんだろ?」


 ミラーナ王女がにこやかに手を振っていた。





 ─────────────────





 今日のミラーナ王女は昨日のライトアーマーではなく、普通の服を着ている。

 何故か剣だけは持ってるけど。


「ミラーナさん、来てくれたんですね? お久し振りです♪」


 ミリアさんは嬉しそうにミラーナ王女を迎え入れた。

 ミラーナ王女も嬉しそうだ。


「昨日はギルドに長く居なかったから話も出来なかったしね。今日はミリアさんと話したいと思ってギルドに行ったら休日だって聞かされてさ。来ちゃったよ♪」


 リビングではミラーナ王女とミリアさんの会話が(はず)んでいた。

 私は2人の会話を聞きながら、ミラーナ王女のロザミアでの自宅情報を聞きそびれた事を考えていた。


「ところでさ、この子って昨日ギルドに居た子だよね? 何度もロザミアには来てるけど、初めて見たと思うんだけど?」


 唐突(とうとつ)にミラーナ王女は私の事へと話題を変えた。


「あっ、は… 初めまして! 私はエリカ… エリカ・ホプキンスと言います! 王女様にお会い出来て光栄です!」


 どぎまぎしながら言う私にミラーナ王女は『ストップ!』とでも言うかの様に、私に手の平を向けて突き出す。


「王女様は()めてくれよ。王都(ヴィラン)で王族として会ったんならまだしも、今のアタシは単なる(いっ)(かい)のハンターなんだ」


 う~ん、徹底してるなぁ…


「だからアタシの事は『ミラーナさん』とでも呼んでくれたら()いよ♪ アタシも(キミ)の事は『エリカちゃん』って呼ぶから。見た感じ8~10歳ってトコかい? エリカちゃんさえ良ければ『ミラーナお姉ちゃん』でも構わないよ♪」


 そんな一気に(まく)し立てられたら口を(はさ)(すき)すら無いんですけど…

 と思っていたら、ミリアさんが私の事を説明し始めた。


「エリカちゃんは1年ちょっと前にロザミアに来たんです。なんと不老不死で(すご)い…」


「凄いだって!? なら、アタシと手合わせしてくれ!!!!」


 脳筋(のうきん)かっ!!!!

 ミリアさんが『凄い』と言った瞬間、ミラーナ王女…

 いや、ミラーナさんは目を輝かせて私の手を取って(せま)ってきた。

 人の話は最後まで聞けぇええええ!!!!

 そんなミラーナ王女… じゃなくてミラーナさんを見て、ミリアさんはコホンと軽く(せき)(ばら)いをし…


「ミラーナさん。エリカちゃんが凄いのは、違う意味での『凄い』ですよ?」


 と、落ち着き払ってミラーナさんの肩をポンポンと叩く。

 …もしかして慣れてるのか?


「…なんだ、違う意味か…」


 と言いつつ残念そうにソファーに座り直す。


「エリカちゃんの『凄い』は、魔法医として『凄い』なんです」


 ミリアさんが言う『凄い』の言葉に、ミラーナさんの身体がピクッピクッと反応する。

 …やっぱり脳筋なのか?





 ─────────────────





 ミリアさんが一通(ひととお)り説明を終えると、ミラーナさんは目を丸くしながら…


「へぇ~、どう見ても10歳になるかならないかの子供にしか見えないけどなぁ~… あ、だからギルドに居たのか。なんでギルドに子供が居るのか、あれから疑問に思ってたんだよ。それなら納得だ♪」


 まぁ、そりゃそうだろう。

 そう見える様に魔法で姿を変えたからな。

 …にしても、よく(しゃべ)る人だなぁ…

 それはともかく、良いタイミングなのでミラーナさんの自宅について聞いてみる。


「ところで王女様… じゃなくて、ミラーナさんってロザミアの領主なんですよね? ならロザミアに自宅が()(はず)だし、宿屋に泊まる必要なんか無いんじゃありませんか?」


「あぁ、それね。管理やら(なん)やらが面倒だから()(ぱら)った」


 ををををををを()!!!!

 なんか今、凄い事をサラッと言ったぞ!!!!


「いやいやいやっ! 執事さんとかメイドさんとか、使()(よう)(にん)(たち)が大勢居たでしょう!? その人達はどうしたんですか!?」


 (あわ)てて聞く私に対し、ミラーナさんは平然と…


「他の領地の領主とかに、家族も含めて丸ごと引き取って貰ったよ♪」


 なんぢゃ、そりゃあああああっ!!!!


「だから王都(ヴィラン)以外では宿屋暮らしって事だね。だけど、話を聞くとエリカちゃん()は部屋が余ってるみたいだし、(ひと)部屋貸してくれないかな? 借り賃は勿論、食費だって滞在中は入れさせて貰うよ♪ なにしろ宿屋で(ひと)り暮らしだと話し相手も居なくて退屈なんだ。てなワケで、今日からヨロシク頼むね♪」


 ここでも一気に(まく)し立てられ、私が(ひと)(こと)も発しない内に決定事項にされてしまった。

 呆然(ぼうぜん)とする私の肩をミリアさんはポンポンと叩き、ミラーナさんには聞こえない様に…


「まぁ、悪い人じゃ無いし、ロザミア滞在中だけの事だから…」


 と、(なぐさ)め(?)の言葉を掛ける。

 (なぐさ)めの言葉より、この状況を何とかしてくれぇええええ!!!!

ミラーナの勢いに、何も出来ないまま同居する事になってしまったエリカ。

この暴走(?)王女様との生活に平穏はあるのか?

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