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小さな魔法医エリカ ~ほのぼの異世界日記~  作者: タイガー大賀


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214/243

第213話 過去には色々あった様ですね…

 風呂では3人──王妃様、キャサリン様、ロザンヌ様──から寄って(たか)って好き放題に身体(からだ)を洗われた私だったが…

 さすがに(しゅう)(しん)()は解放され、キャサリン様だけが一緒の寝室だった。

 ………………って、(なん)でやねんっ!


(なん)で私がキャサリン殿下と同室なんですか…?」


(なん)でって、(わたくし)が希望したんですのよ? 夕食の時にも言いましたけど、婚礼(こんれい)()が終わるまでが、(わたくし)がエリカちゃんを独占する最後のチャンスなんですもの♪ これを最大限利用しないなんて、そんな勿体(もったい)()い事出来ませんわ♪」


 満面(まんめん)の笑顔で語るキャサリン様。

 こっちの都合… じゃなくて感情… いやいや気持ち… かな?

 とにかく自分の事ばかり考えんと、こっちの事も考えんかい!

 言えんけど!

 …いや、ここは()えて言わせて貰おう。


「キャサリン殿下… 私を独占したい気持ちは理解します… いえ、正直言うと理解出来ませんけど… もっと言えば、王妃陛下やロザンヌ殿下もです… 何故、私を寄って(たか)って(お風呂で)洗いたがるのか、(まった)(もっ)(わか)らないんです…」


 思い切って言おうとしたが、相手が王族である事にビビってしまい、言葉を選んで当たり(さわ)りの無い様にしか言えなかった。

 我ながらチキンである。


「う~ん… 言われてみれば、何故でしょう…? 不思議ですわねぇ…?」


 あんた自身も理解しとらんのかいっ!

 いやまぁ、一時期ミラーナさんも私を洗う事にハマってたし、明確な理由なんて意外に無かったりするんだろうけど…

 てか、異世界(この世界)って()(らく)が少ないから、()()()()でも趣味(?)として確立してしまうんだろうか…?

 それにしても、今の状態は何なんだ!?

 私が(ビビりながら)言い、それにキャサリン様が答えている(あいだ)に、私はベッドに引き()り込まれて抱き枕にされていた。


「あの~、キャサリン殿下…?」


 私が抗議しようとキャサリン様に顔を向けると…

 彼女は幸せそうな顔をして、スヤスヤと寝息を立てていた。

 寝付(ねつ)くの早過ぎやろ!

 私は身を(よじ)り、何とかキャサリン様の拘束(こうそく)()こうとするが…

 意外な力強さに(あきら)めて寝ました…





 ────────────────





 翌朝。

 私は就寝時と全く同じ体勢(たいせい)で目覚めた。

 確認すると、キャサリン様も全く同じ体勢(たいせい)で、ガッチリと私をホールドしている。

 (エリカ)を絶対に独占してやるとの執念なのだろうが…

 寝ている(あいだ)でも()らがんのかいっ!


「んぁ… おはようございます、エリカちゃん♡ よく眠れましたか?」


 (ほど)()くして目覚めたキャサリン様は、ニコニコ笑顔になって問い掛けてくる。

 いや、『♡』ぢゃ()えし…


「眠れたかどうかで言えば眠れました… けど、一晩(ひとばん)(じゅう)ガッチリとホールドされてたからか、寝返りすら打てなかった様で… 全身がバッキバキに()(まく)ってるんですけどね…」


 (いや)()(ひと)つでも言ってやらなきゃ、と思ったのだが…


「まぁっ! それはいけませんわ! 朝食の前に、お風呂で身体(からだ)(ほぐ)しましょう♪」


 前半は(あわ)てた様子だったが、後半の『♪』で本音が出たな!?

 こいつ、最初から()()が目的だったろ!?

 王妃様やロザンヌ様を出し抜いて、風呂で私を独占して洗うつもりだったな!?

 がっでむ!





 ────────────────





 朝食の席では、キャサリン様はホクホク笑顔。

 私は魂が半分抜けた状態だった。

 (なか)ば無意識のまま朝食を終え、午後からの婚礼の()に向けてドレスに着替える。

 今回のドレスは(あわ)(ブルー)

 キャサリン様からは例の(シルバー)のドレスをリクエストされていたのだが、主役であるキャサリン殿下より目立つので固辞(こじ)した。

 ちなみにミラーナさんは黄色(イエロー)、ミリアさんとモーリィさんは(グリーン)、ルディアさんはピンク、アリアさんとライザさんは(ブルー)

 全員(あわ)(いろ)()だ。

 勿論、新婦であるキャサリン様は純白。

 異世界(この世界)の結婚式でも、新婦は白なんだな。

 ただ、参列者は色()()りだし、新郎は軍服みたいな服装だ。

 軍服と言うか、正装が軍服みたいな形状なんだろうな。

 こちらも白が基調になっている。

 婚礼の()は、異世界(この世界)の女神であるアミルエレスと(おぼ)しき(ぞう)の前で永遠の愛を誓うといった簡素なモノ。

 最後はヴィランから同行してきたカメラマンが、アミルエレス(ぞう)の前に集合した全員の写真を撮って終了。

 その後は披露宴へと進む。

 が、披露宴とは名ばかり。

 立食形式のパーティーで、誰も彼もが飲んで食って(しゃべ)(まく)ってる。

 時々、カメラマンが新郎新婦を数名の参列者と一緒に写真に収めていく。

 ミラーナさんは我々ホプキンス治療院の面々と共に写っておきながら、ちゃっかり新婦側の親族とも一緒に写っていた。

 夕方になって、ようやく披露宴が終了。

 ロズベルム王国側の参列者達は、各々(おのおの)の王都邸へと帰っていく。

 私達イルモア王国側の参列者は、王宮や離れに割り当てられた部屋へと戻る。

 私は何故か、ロザンヌ様と同室だった。

 なんでやねんっ!


ロズベルム王国(ここ)までの道中、ず~っとキャサリン姉様にエリカちゃんを独占されましたもの。これからイルモア王国… ヴィランに帰るまでは、(わたくし)がエリカちゃんを独占させて貰いますわ♡」


 いや、『♡』ぢゃ()えし…

 その()、少し遅めの夕食の席でもロザンヌ様は私にベッタリ。

 アンドレ様の隣で食事するキャサリン様は、殺気を()めた視線で私達を(にら)んでいたが…

 苦笑するアンドレ様から何か言われ、その後は2人で談笑しながら食事していた。





 ────────────────





 食事の(あと)のお風呂では、当然の様に王妃マリアンヌ様、キャサリン様、ロザンヌ殿下から私は好き放題(ほうだい)に全身を洗われ(まく)っていた。

 明日からは1人減るとは言え、ヴィランに着くまでは毎日の様に王妃様とロザンヌ様から洗われるんだろうなぁ…

 そんな事を思いながら、キャサリン様に明日からの予定を聞いてみる。


「明日は朝食の(あと)、参列してくれた(みな)さんを見送って、それから新婚旅行(ハネムーン)の準備ですわね♪」


 異世界(この世界)にも()るんだな、新婚旅行(ハネムーン)の習慣…


「キャサリン姉様、新婚旅行(ハネムーン)は何処に行かれますの?」


「ムルディア公国まで船で行きますの♪ 公国内をノンビリ一周してから、また船でロズベルム王国まで帰る予定ですわ♪ だから、半年ぐらいは漫遊(まんゆう)する事になりますわね♪」


 ロザンヌ様の質問に笑顔で答えるキャサリン様だが…

 遠いし期間も長いな!

 日本(前世)じゃ新婚旅行なんて、せいぜい1週間だぞ!?

 まぁ、それは庶民の感覚だし、異世界(この世界)の王族とは違うだろう。

 アンドレ様としても、王太子として見聞(けんぶん)を広める意味もあるんだろうしな。

 てか、イルモア王国はムルディア公国と国交があるけど、ロズベルム王国はどうなんだ?


「アンドレ様に聞きましたけど、ムルディア公国との国交を樹立(じゅりつ)したのはロズベルム王国の方が早かったそうですわね。イルモア王国がムルディア公国との国交を樹立(じゅりつ)したのは、それから10年ぐらい()ってからだそうですわね」


 なるほど…

 ロズベルム王国はイルモア王国から分割(ぶんかつ)された国だからな。

 下位の国に国交を(むす)ばせて様子を見て、問題が無いと見て国交を(むす)んだってトコか…

 ブツブツ言う私に、今度は王妃様が答えてくれた。


「あら~、エリカちゃん♪ ミラーナが言ってたけど、結構(するど)いのねぇ♪ 新興国(しんこうこく)と国交を(むす)ぶ前に、自国の下位国に国交を(むす)ばせて様子を見るのは(じょう)套手段(とうしゅだん)よぉ♪ ロズベルム王国がムルディア公国と国交を(むす)んだ当時、ムルディア公国は建国して10年を少し過ぎたぐらいだったかしら? 大国だったイルモア王国も国を分割(ぶんかつ)して規模を縮小したばかりだったから、(しん)(ちょう)になってたみたいねぇ… 分割(ぶんかつ)した国の先に、ハングリル王国とかチュリジナム皇国って(あい)()れない国も()ったから…」


 あぁ、()ったなぁ…

 今じゃ、ハングリル王国は戦争に負けた上、チュリジナム皇国からの借金や借りた兵士を損耗(そんもう)した事で、チュリジナム皇国に併合(へいごう)吸収(きゅうしゅう)されてしまった。

 滅亡と言っても()いかも知んない…

 そのチュリジナム皇国も、イルモア王国に対して無茶な戦争を仕掛けてボロ負けした上にクーデターが起こって皇帝が暗殺され、現在は内乱で国内はボロボロ…

 王妃様が()()()と過去形で話すのは無理もない。

 ハングリル王国の滅亡と、チュリジナム皇国の皇帝暗殺からの内乱…

 その両方に私が(かん)()して………いませんよね?

 誰か、エリカ()は関係無いと言って下さい。

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