第211話 発明されたばかりのフォトグラフは高額でした
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フォトグラフの撮影から10日。
ようやく現像が終わり、王宮にフォトグラフが届けられた。
会議室に集まった面々は、嬉々としてフォトグラフを見詰める。
王妃様が言ってた様にモノクロームだが、その出来映えは前世での写真と遜色ない。
当日その場に居た全員を撮ったフォトグラフなんかは、50人以上が写っているのに全員の顔が識別出来るだけでなく、細かい表情までハッキリと判るのだ。
サイズ的に、1人の顔の大きさが1cm四方も無いのにである。
この世界で発明されたばかりとは思えない性能だ。
「これがふぉとぐらふか… 凄ぇ技術だな…」
フォトグラフをしげしげと見詰め、呆けた様な表情になるミラーナさん。
「モーリィ、表情が固いわよ? 緊張してたんじゃない?」
「ミリアも似た様なモンじゃない? 笑顔が引き攣ってるじゃん♪」
お互いを揶揄い合うミリアさんとモーリィさん。
その隣でアリアさん、ライザさんも、お互いを揶揄い合う。
「ライザさん、どのふぉとぐらふも表情がガチガチですよ? このふぉとぐらふなんて、緊張し過ぎて表情が歪んでますよ♪」
「アリアちゃんだって、このふぉとぐらふ♪ 笑顔が引き攣ってるよ? ボクと変わらないじゃん♪」
また、フェルナンド様やローランド様、キャサリン様やロザンヌ様も、お互いを揶揄い合っている。
そんな様子を微笑ましく見ている国王陛下と王妃様。
想像だが、何枚も試し撮りして見慣れているのかも知れないな…
そんな事を考えていると、ミラーナさんが私の顔を覗き込んでいるのに気付く。
「な… 何ですか? そんなに見詰めて…!?」
「いや… アタシもだけど、皆… じゃないな。父上や母上が普通に笑顔で写ってるのは解るんだよ。多分だけど、試し撮りしたんだろうな。だから、完成までの期間とかも知ってたんだろ」
変なトコで鋭いな、こいつ…
ミラーナさんの話が聞こえたのか、国王陛下も王妃様も目が泳いでるし…
私の想像も間違ってなかったか…
「まぁ、それはともかく、エリカちゃんも普通に笑顔だよな… ミリアさん、モーリィさん、アリアちゃん、ライザちゃん、ルディアさんは勿論、キャサリン、ロザンヌ、フェルナンド、ローランド… サルバドール伯父さんや貴族、大臣達の誰もが緊張した面持ちなんだけど… なんでエリカちゃんは普通に笑顔なんだ? もしかしてきゃめらとかふぉとぐらふの事を知ってたとか…?」
はい、普通に知ってます。
…とは言えないよな。
前世では普通に存在してたカメラと写真だけど、こちらの世界では発明されたばかりなんだから…
「…そんなワケ無いでしょ? ただ、皆が集合させられて整列させられて… 見た事の無い機械? が登場して、『こっちを見て下さい』とか『は~い、笑って~』とか言われて、言う通りにキャメラを見て笑顔になっただけですよ」
「ふ~ん… それだけとは思えないぐらい、落ち着いた笑顔に見えるけどなぁ… ま、エリカちゃんがそう言うなら、そう言う事にしとくか…」
言って、しげしげとフォトグラフを眺めるミラーナさんだった。
こいつ、ホントに変なトコで鋭いんだよなぁ。
そんな事を考えていると、王妃様がツカツカと皆の前に歩み出る。
「さて皆さん、ふぉとぐらふの裏に番号が振ってあります。欲しいふぉとぐらふがありましたら、こちらの用紙に名前と欲しいふぉとぐらふの番号を記入し、係の者に渡して下さいな♡ 後日、焼き増ししてお渡し致しますわ♡」
ほほぅ、焼き増しサービスですか♪
それなら少し奮発しますかね?
私はソッと王妃様に近寄り耳打ちする。
話を聞いた王妃様はニッコリ笑い…
「承知致しましたわ♪ さすがはエリカちゃんですわね♡」
と、満面の笑みで応えてくれたのだった。
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「なぁ、エリカちゃん… 母上と何の話をしてたんだ? 多分、ふぉとぐらふに関係した話だと思うんだけどさ…」
私はニッコリと笑って頷く。
「勿論、フォトグラフに関する話ですよ? もうすぐキャサリン様が結婚されて、イルモア王国を離れるでしょ? なので、家族の皆さんと一緒に写ってるフォトグラフをプレゼントしたいって言ったんです♪ 家族揃っての集合写真は勿論ですが、キャサリン様と家族一人一人が写ってるフォトグラフをプレゼントしたいって事ですね♡」
私の話を聞いて、ミラーナさんは目を丸くする。
「マジかよ… さっき母上に聞いたけど、ふぉとぐらふ1枚で小金貨3枚もするんだよ? それを家族全員で写った物だけじゃなく、一人一人と写った物を? 大盤振る舞いにも程があるよ…」
お… 思ってた以上に高いんだな…
精々、小金貨1枚ぐらいだと思ってたんだけど…
まぁ、発明されたばかりだから、仕方無いと言えば仕方無いかも知れない。
「遠く離れた国に行っても、キャサリン殿下が寂しい思いをしない様にしたかったんです。モノクロームとは言え、いつでも家族の顔が見れるってのは意義があると思いますよ? それに…」
「それに?」
私の勿体振る言い方に、ミラーナさんは食い付く。
「私達ホプキンス治療院のメンバーとも、一人一人と一緒のフォトグラフを撮って渡します。そうすれば、頻繁に帰って来ようなんて思わなくなるんじゃないですか?」
私が言うと、ミラーナさんは訝しげな表情になる。
「そう… かなぁ…? 逆にキャサリンがふぉとぐらふばかり見て、アンドレの事を蔑ろにしないか心配だよ…」
それは考え過ぎだと思うけどな…
「キャサリン殿下、次期王妃としての自覚は持ってるんですよね? だったら、それは考え過ぎだと思いますよ? まぁ、さすがに嫁いで間も無い頃は、国を離れた寂しさから… って事も考えられますけど、私が思うにキャサリン殿下って順応性は高いんじゃないかなと… なので、それほど心配する事は無いんじゃないかなと…」
私の説明に、ミラーナさんは納得した様に頷く。
「確かに… なんだかんだ言っても、キャサリンはアタシを見て育ってるからな… アタシに似て、切り替えが早いんだ。ロザンヌもアタシを見てたからか、やっぱり切り替えが早い。何年かしたらロザンヌも誰かに嫁ぐ事になるけど、今回の事が効果的なら、ロザンヌにもふぉとぐらふをプレゼントすれば大丈夫かも知れないな…」
そんな会話を交わし、翌日にはキャサリン様に渡す為の写真撮影会が催されたのだが…
家族写真を含め、一人一人とのツーショット写真は1枚ずつの撮影だったのに、何故か私とのツーショット写真は様々なポーズでの写真を何枚も撮影。
キャサリン様が私に抱き付いてる写真なんかは、私が笑っていないと何度も撮り直しを要求された。
その上、現像して渡す写真はNGも含めて全ての写真を要求され、結果として写真の代金は提案者である私が支払う事になってしまった。
その数は30枚にも及び、総額金貨9枚。
日本円にして、約90万円と言う高額に至ったのだった。
ど畜生!




