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第42話 誰しもが誠なる武士になりたい。これギャルの鉄則

俺「出来らあっ!」

読者「今なんて言った?」

俺「同じペースでもっと面白い作品を読ませられるっていったんだよ!!」

「ホント貴方ってばクールなのね、全く」


 人で溢れる雑踏を行きながらエルフの女……アンブローシアは呆れたように言った。

 彼女はすぐ後ろを歩くフードの男……ショウキョウの強さを知っているので情けなく思うことはなかったが、それにしたってもう少し男気を見せて欲しいとは思う。

 何も剣を抜けとは言わないが、カクテルピックで目玉を潰す位は許容すべきである。

 何と言っても自分達は元とは言え魔王軍の四天王。

 あんな呪文も使えない人間風情にナメられてはエルフや魔族としての尊厳が犬畜生に食われてしまうのである。

 

「それにしても面白い町ね。ドラゴン族(陰気なトカゲ共)以外勢揃いしてるわ」


 アンブローシアの言う通り、雑踏を行き交うのは人間だけではなかった。

 流石に他種族を嫌うエルフやショウキョウのような高位の魔族はいないが、それ以外のあらゆる種族の姿が見受けられる。

 この町はあらゆる者を拒否しない……それがここベイガスシティの売り文句であった。

 その他にも幾つか細かなルールがあるらしいが、そんなものに従う気などアンブローシアにはさらさらなかった。

 一族から破門されたとは言え、彼女は母なる自然を信仰する誇り高きエルフ。

 他種族が定めた決まりなど関係ないのだ。


「お姉さん、いいカラダしてるね! どう? 一日で金貨20枚は稼げるよ? やっぱブロンドより金でしょ?」


 そんな意味不明な事を喋りながら派手なスーツを着込んだ若い男が近づいてきた。

 アンブローシアは無言で中指を立てて男を無視しながら、ショウキョウがちゃんとついてきているか後ろを振り返る。


「お兄さんお兄さん! 若くて美人な女の子が揃ってるよ! 今なら金貨一枚で最後まで面倒見ちゃうよ?」

「……何の面倒を見てくれるんだ?」


 見ると怪しいキャッチに捕まったショウキョウが熱心に耳を傾けながら首を傾げていた。

 ハァ、とアンブローシアは首を振る。

 戦いに関しては文句のつけようがないが、それ以外のことになるとパッパラパーなのである。

 命こそ落としはしないだろうが、有り金位は全て失っても不思議ではない。


「もう、あんなのいちいち相手にしないでよ? 日が暮れちゃうわ」


 キャッチを追い払ったアンブローシアは並んで歩くショウキョウに説教する。

 どうせ堪えないだろうから返答を待たずにアンブローシアはまた前を向く。


「島原の花街を思い出す」


 だが意外にもショウキョウがそんなことを呟いたので、やや驚きながらアンブローシアはまた彼を見る。


「花街?」

「女が集まる街だ」


 その答えにアンブローシアは更に驚く。


「貴方もそんな所に行ったりしてたの?」

「私は通り掛かるだけだった。だが、あの賑やかな雰囲気は嫌いじゃない」


 それはショウキョウの意外な一面だった。

 もしかすると先の店も実は気に入っていたのかもしれない。


「我々は国の治安維持の為に結成された誉れ高い集団だった。だが実際は泥酔した無抵抗の者や嫌疑を掛けられた仲間を大勢で取り囲んで斬り捨て、資金集めの為に町人を脅し付ける悪党でしかなかった。暗殺、粛清、強請り……そんな事を繰り返す日々だ。だから我々には気晴らしが必要だった。私も酒に溺れる時があった。共に国を良くしようと誓った友を斬った日の事だ。その時、もう二度と酒は飲むまいと決めた」


 そう語るショウキョウにアンブローシアは呆気に取られてしまった。

 決して自身の事を話さない無口な男がここまで饒舌になるなど初めての事だ。

 まさかライムジュースで酔ってしまったのだろうか?


「そして誰も愛さないと決めたの?」


 思わずアンブローシアは聞いてしまった。

 そして、すぐに後悔した。


「…………」


 その問いにショウキョウは答えず、再び沈黙する。

 ま、ゆっくりやっていきましょ、とアンブローシアは肩を竦めた。


「あたしは飲みたい気分だわ。どっか感じの良い店にでも……」


 再び街に意識を戻したアンブローシアは異変に気付いた。

 賑やかだった通りから人影がすっかり失せ、先程までの喧騒が嘘のように静まり返っている。

 空を見上げるとまだ夕方である筈なのに日は見えず、辺りは薄暗い。


「古臭い手ね。でも悪くないわ」


 久々の戦いの気配にアンブローシアは薄い笑みを浮かべる。

 隣のショウキョウも腰を僅かに落とし、既に臨戦態勢になっている。

 やがて建物や道や空すらも消え失せ、2人は完全なる闇に包まれた。

読者「こりゃあ面白い作者だぜ」

父親「いやこいつは小説のことになるとすぐにムキになるんだよ、すまんこいつに代わって謝る!!」

読者「そうはいかないぜくいしん坊さん。大勢のなろう作者の前でケチをつけられたんだ」

読者「こりゃあどうしてもうちの同じペースで面白い作品を書いてもらおう」

俺「え!!同じペースで面白い作品を!?」

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