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第8話 帰宅後
帰宅後。
自分の部屋のベッドに寝そべる。
着替え。だるいからしてない。
宿題。もっとだるいから明日やる。
ぼうっとしてると、脳裏に浮かんできたものがあった。
当然、数時間前の出来事だ。
彼女。
名前なんだっけ。
なんでか変な事をしようとしていた。
それで、こちらも巻き込もうとしている。
不思議なのは、それほど嫌じゃないってこと。
なんでか分からない。
でも、もう教室にはこない彼女はどう思うだろうか。
同じ春の文字を名前に秘めている、あの彼女なら。
忘れないで。
そう言われたから、忘れないようにしてきた。
彼女が姿を現さなくなったから、誰かの姿で彼女の姿が塗りつぶされないように頑張ってきた。
だから、絶えず薄い膜をはって、ただぼんやりと過ごしてきたのに。
その膜の内側に、今日侵入してきた者がいた。
僕はそれを拒むべきなのだろうか。
いくら考えても分からない。