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第6話 冬を呼ぶ神様
僕には、立ちながら眠るような奇特な特技はない。
なので、「どうしてここに?」と尋ねて、話を進める事にした。
すると彼女は待ってましたと言わんばかりの態度で、神社の前にかけより、くるりと反転。
こちらに振り返り、手を広げた。
そして、とっておきの内緒話でも披露するみたいな口ぶりで。
「君には見えるかな? ここにはなんと、冬を呼ぶ神様がいるのです」
と言った。
それに対しての僕の反応は薄い。
「はぁ」
はぁ、そうですか。
一応礼儀にのっとってあちこち視線をむけてみるけど、それらしい影は見当たらなかった。
この人、何がしたいのだろう。