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第4話 誘い
その日は、いつも通りに授業を終えて、いつも通りに教室を出る予定だったのに、違う事が起きた。
「春呼くん」
教室のドアを開ける時に、クラスメイトの少女から声をかけられたのだ。
僕は振り返って相手の少女の顔を見る。
隣の席の彼女だった。
「君を連れてきたい所があるんだけど、時間ある?」
「まあ、一応」
「じゃあ来て」
彼女は僕の了承を取り付けると、こちらの腕を引っ張って学校の廊下を歩いて行く。
今更だけど、彼女の名前ってなんだっけ?
そう話す関係でもないし、何か用がある時は「ねぇ」とか「あのさ」しか喋ってないと思う。