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第11話 祭りの終わりに
和やかで陽気な雰囲気だった祭りはやがて終わる。
皆、たぶんそれなりに楽しんだだろう。
金魚の糞みたいな僕にも別れ際に挨拶をしていった。
「もう、寂しくないよね」
人がいなくなった後、彼女はくすりと笑う。
僕は「何が」と言いながら、彼女の顔をみて息をのんだ。
なんで忘れていたんだろう。
そこにいたのは見覚えがある人だった。
彼女こそが、春の名前を秘めた人だという事に。
忘れたいた。
忘れるはずがないと思っていたその人。
僕に強烈な印象だけを残して、教室から去っていった彼女。
引っ越したかもしれない、亡くなったのかもしれない。
色々な事を考えてた。
「どうして」
その人が、目の前にいる。