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〜豚汁姫と半紙王子〜【上】

小学校三年生に上がったときクラス替えで生徒は半分以上が入れかわる。



クラス替えをしてすぐの給食の時間。



今日の給食は白飯、甘めの卵焼き、肉とキャベツの炒め物、プリン、そして豚汁。



メインは・・・プリンやな。最初に食べよ。



甘めの卵焼きもいい線いってるけど二番目や。プリンには勝たれへん。最後は・・・豚汁かな。


好きなモノは最初。オレの法則みたいなもんや。



いただきまぁーす。して、みんなで食べはじめた。そうしたら後ろの方でいきなり



ズ、ズ、ズーと音がした。



おっ、先に豚汁か?



誰や?



何で先に豚汁なん?って聞こうとおもって、パッと後ろを振り向いたら



さらっとロングストレート、目元パッチリな女の子が僕の後ろで豚汁をすすってた。


細い手で給食の豚汁椀を持ってレフティーハンドのハシが舞っている。



キレイだった。



思わず口が開いて出できたコトバは、




「やっぱりな」




え?今、何言うたん。オレ。やっぱりな?って・・・何が?




女の子は「ん、何がなん?」と首をかしげてこっち見た。




そらそうなるわな。でも、あかん。後戻りできへん。




「い、いや。豚汁って先やんなぁ。やっぱり!オレも先に食べようと思ってん」




「そうなんやぁ。でも・・・今もってるのプリンやん」




え?と手もとを見たら



あ~プリン。こいつ何でいてんねん。手に!今!




「こ、これはキライやから誰かにあげよう思てな!なっ!」




そう言うオレの横の席にはツカサ。やからプリンをあげた。



そしたらツカサが、




「え、なんで?おまえプリンす・・」




「ダマレッ!!おまえがしゃべると豚汁がまずなる。ええから、プリン食べとけ!な!好きやろ?」




使えへんわ。こいつ。あのプリンちゃんをあげよう言うてるねんぞ。オレの分まで口に入れとけ!しゃべんな!



そう言ってツカサにプリンをねじ込み、女の子に




「豚汁先やんなぁ!やっぱり!」




などと改めて言った。



女の子は「うん。ウチ、ホンマはプリンが好きやねんけど、豚汁あんまり好きやないねん。やから最初」




なに?逆かい!




「そ、そうなんや。オレも豚汁あんまりやねん。やから一緒やね!」




これはホンマ。




「プリンもおいしいよなぁ」とオレ。




「なんで?さっきキライ言うたやん」と女の子。




あ~言うたわ。しもた。んーと・・・




「キライって言うたのは、なんかオレんとこにきたプリンまずそうやなぁ、思て!普段は好きやで!」




「えっ!お前のプリンまずいん?ほんならいらんわぁ」




とツカサ。




こいつ・・・わかれや!!ええかげん!ビンビン伝わるやろっ!!



しゃあない。しゃべってもうたな。



しっかりプリンでその口塞いどけばいいもんを。ツカサよ、お前にうらみはないがここは最終手段つかわせてもらうで!




ピンっとしっかり腕をあげて、




「せんせー、ツカサ君がうるさいです!」




僕がそう言うと先生がツカサに「ツカサ君、静かに食べなさい!」と言って、ツカサは「え?お前のほうがうるさいやん。なんやねん」と顔を沈めながら、ぼそっと言った。



ごめんやで。ツカサ。ホンマはこんなん嫌やねん。



おまえが悪いんちゃう。悪いのはオレと、おまえの口を塞ぎきられへんかったプリンちゃんや。



最終手段を使ってしもたから、その後女の子と思うように話ができずに前向をいた。




手もとに残ったのはメインがない給食。




ごめんなぁ、プリンちゃん。



でも・・・あの豚汁をあんなにキレイに食べる子そういてへんで。苦手やのに・・・



なにもんなん。



んーーー



お姫さま?



そうや、たぶん・・・



いや、そうしか考えられへん。



豚汁界のお姫さまや!お姫さましかあんなにキレイに食べれるわけないもん!!




などと僕はアホ満開の回答を導き出した。結局その日から僕の中で女の子は豚汁界のお姫さまになった。





【下】に続く

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