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異変は突如として訪れる①

平成最後の大晦日になんとか更新することができました!

良かった!


まだサイトに不慣れなため、色々試行錯誤中で御見苦しい点が多々ありますが、今年は『先輩!!』を読みにきてくださりありがとうございました♪

来年はもっとラブを差し置いてのギャグと暴走をお送りいたしますので(え)、楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、良いお年を~!






「るっかちゃぁ~ん、見たぞー? 何あんた『あの』秋月楓と一緒に登校してんのよー?」


おはよう、という挨拶があちらこちらで飛び交う教室で。高校に入ってからの友だちである、同じクラスの朝霧智花あさぎりともか高木柚子たかぎゆうこが私に近寄って来た。


「へ?」

「とぼけない。あんなに仲良さげにしてさー。羨ましい! いいなぁ~流香~」

「秋月くん、めちゃくちゃカッコイイよね~。朝から目の保養~。あんな風に笑うんだね! やっばぁ~い、胸キュンなんですけどぉ~。羨ましすぎるよ流香」


呆気にとられている私をよそに、智花と柚子はきゃあきゃあとテンションが高い。って、ちょっと待った! 何、この二人のニヤニヤと私を見る視線は! 何か勘違いしていませんか?


「わ、私は色々とアイツの行動に困ってるんだけど!」


バンっと、机に手をついて抗議する私。だけど。


「あんたはバカですか。ちょっとは喜びなさいよ」

「そうだよ流香~。秋月くん、あんまり女の子を近寄らせないってゆうし? 貴重な体験したんだからさぁ~」


逆に抗議したことを、非難されてしまいました。

どうやらこの友人二人は、私を茶化したかったみたいです。でも、当の私がそれを見事かわしてしまったので不満げな様子。だから言わないでおくことにします。まさか、秋月に家まで迎えに来られた……なんてことを知られたら、大変そうだから。


「おーはーよー。あれ? 朝からテンション高くない二人」


沙希がどんよりとした表情で登校してきた。

朝に弱い沙希ちゃん、今すぐ逃げて下さい。じゃないと、智花と柚子が……。


「沙希――! 待ってましたぁ――――っ!」


遅かったです。沙希は見事、両脇から二人にガッチリと腕を組まれ、グラグラと揺らされ始めました。あぁ~。


「ちょっと聞いてよ沙希! 流香がさぁー」

「沙希~まだ眠いの? ダメ! ちゃんと起きてよ~。超ビックリするんだから~!」

「う、うぷ……っ、朝にこのテンション……キッツ」


二人に両側から揺らされ、顔がどんどん真っ青になる沙希。このままでは美少女のとんでもない失態が起きそうなので、私は二人から沙希を無理矢理引き剥がした。非常に危なかったです。


「で? どうしたって言うわけ?」


椅子に座り、頬杖をついて楽な姿勢をとった沙希は、少し気分が良くなったみたい。智花と柚子に視線を向け、何故、二人が興奮しているのか、事情を聞き始める。


「いや……大したことな……」

「あるに決まってんでしょ!」


適当に話題をすり替えようとした私。だけど、ピシャリと私の発言は智花によって遮られてしまいました。そしてそのまま、彼女は自分の手で私の口を塞ぐ。

何、この「黙ってろ!」みたいな感じは!


「流香がね、あの! 秋月楓と一緒に登校してきたんだよ。しかも、仲良さげに」

「まぁーじでー!?」


やけに楽しげな雰囲気で話す智花。それをすぐさま、沙希は反応した。ガタッと、椅子から飛び上がるように立つ沙希。完全に睡魔から覚醒したみたいです。


「ちょっと流香! 一体どういうこと!?」


今度は私が、沙希にグラグラと揺さぶられる番になった。それはそうでしょうとも。沙希には今まで散々、秋月に対する愚痴をこぼしていたからね。

そんな私が、秋月と一緒に登校して来ちゃったんだから、親友の反応は当然と言えば当然です。だけど沙希ちゃん。


「いや、何というか……」


口をもごもごさせながら、私は沙希の質問に答えようとしたけれど。敢えなく、本人によって失敗。


「一体! 全体! 何が何でいつそんなことになってんの!? はっきり言え流香!」

「だ、だから……そ、その……」

「あんた、あんだけ秋月の文句言ってたじゃない!」

「お願い……喋らせて……」

「ハッ! そうか。ついに秋月に勝って下僕にしたんだね! 良くやった! さすが私の親友!」


何だか智花と柚子とは別の方向でテンションが上がってきた沙希に、私はもう何も言えないでいた。沙希、『下僕』って……。どっからその思考になるんですか。


「沙希~。そんなの色気ないよ~。流香と秋月くんは、カレカノみたいに登校してきたんだってば!」

柚子、お願いだから沙希のテンションをこれ以上、上げないで下さい。

「な~に~~?」


美少女が台無しです。そんな、どっかのお笑いコンビみたいな聞き方しないで。


「『女だったら男は下僕に据える!』これが常識でしょ!?」


これが真理だとでも言いたげに、沙希はとんでもない事を私に告げてきた。えっと、突っ込んでもいいですか? それ、あなただけです沙希ちゃん。周りを見て下さい沙希ちゃん。突然、美少女から発せられた衝撃的な内容にクラスの男子、みんなビビッてますから。


「詳しく聞かせて貰うからね? 流香!」


――キーンコーンカーンコーン


予鈴と共に沙希たちにそう告げられ、私は何処から話せばいいのか悩んだ。だって、当の本人である私自身でさえ、良く分かっていない状況なのに……。

その時。


――ブーッブーッブーッ


担任の先生がショートホームルームを行なっている最中、いきなり私のスマホが小刻みに震えだす。

慌てた私は机の影に隠しながら、マナーモードにしているスマホを開いてみた。


「……………………」


詳しい説明を、沙希たちにする必要ないみたい。スマホの画面にある秋月の名前を見て、私はそう思った。


==========

せんぱ~い!

休み時間遊びに行くね!

==========


全部コイツにしてもらおう。何て言ったって、元凶は紛れもなくコイツなんだから。


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