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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、三章、教国編
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四話、共闘

大教会、地下


プシューと言う音と共にカプセルが開く、カプセルが開くのを今か今かと待っていたジェラーゼンは、開いたカプセルに近付いた。


「さぁ出て来い、私の物となった姿を見せよ」


ジェラーゼンがエリシアを呼ぶと、カプセルの中に残る水を踏みしめる音が聞こえ、エリシアがカプセルの中から出て来た、そしてジェラーゼンを見たエリシアは彼の前で片膝を着く。


「何なりとご命令を」


そして主人に命令を乞う。


「うむ、お前の妹についてそしてその周りの者について教えよ」


「ああ、アリシアはあなたを魔眼により傀儡にし、この教国を己の物とするつもりだ、そしてアイリーン、彼女はもう聖女ではない、アリシアの眷属となり帝国では暗黒聖女と呼ばれている」


「!、アイリーンが、フン、いきなり皇帝をこの国に呼ぼうと言い出した時点で怪しいと思っていたが、既に帝国に降っていたか、それで他は?」


「特には」


「ふむ」


ジェラーゼンは考える、エリシアを使えば皇帝を容易に捕らる事が出来るだろうと、アリシアが帰らず、トップがいなくなった国など、あっという間に落とす事が出来るはず、ならば・・・。


「エリシアよ、これから皇帝はこの教都をアイリーンと共に回る、お前は隙を見て皇帝とアイリーンを捕らえよ、身体能力も向上しているお前なら容易な筈だ」


「承知した」


ジェラーゼンの忠実な下僕となったエリシアは脱がされていた元着ていた服を着ると部屋から出て行く、ジェラーゼンはそんな彼女を満足気な笑みを見せつつ見送るのたった。




教都


アリシアはアイリーンと共に教都を回っていた、前日の事を謝り、その代わりに二人の護衛をすると言って来たエリシアと共に。


「・・・」


「どうかしましたか?、お母様?」


「なんでも、それよりもここがあなたの家なのね」


「はい」


顎を触りながら前を行く姉を見つめるアリシアにアイリーンがどうかしたか?と聞くが、アリシアはなんでもないと答える、しかしアイリーンは気付いた、アリシアが怒りの表情を見せていたのを。


しかしそのような表情はすぐに見せなくなったアリシアはアイリーンの家を指差す、その家はとにかく大きな大豪邸であった。


「私、一応お嬢様なのです・・・」


アリシアが姉に会うまでは家族がいないと言う孤独に苦しみ続けていた事を知る、家族が現在も生きているアイリーンは申し訳なさそうにアリシアを見る。


「ふん、そんな事どうでも良いわ」


そう言ってそっぽを向くアリシア、しかし彼女が強がっているのを理解しているアイリーンは優しくアリシアの手を握った。


「次に行かないか?」


「・・・、そうね、エリシア」


(お姉ちゃんと呼ばずにエリシア?)


アイリーンはアリシアが姉をお姉ちゃんと呼ばずにエリシアと呼んだのを聞き何かあると思った、その為、魔眼を合わせあった。


(どうかしたのですか?)


(お姉ちゃん、何かされてる、魔力の流れがどう見てもおかしいの)


(・・・、流石は初代皇帝様から教育を受けているだけはありますね、私には全くわかりませんでした)


魔眼を通しての会話を終えたアリシアとアイリーンは彼女がいつ手を出して来ても良いように警戒をしながら、美味しいと評判のソフトクリームを三人分買い食べる、アリシアは姉が見ていない間に、人がいなさそうな路地裏を指差しアイリーンと頷き合う、ソフトクリームを食べ終わった二人はエリシアと共に路地裏に入った。


「っ!」


その瞬間、膨れ上がるエリシアの魔力、人がいなくなった途端、事を起こしたのだ、エリシアが事を起こすのを想定しているアリシアは剣を影から取り出すと姉と剣を交えた。


「気付いていたのか」


「皇帝を舐めない事ね、部下をこうやって洗脳し暗殺を狙う事なんて、アルムスに色々と教えてもらっていた頃から想定済みよ!」


アリシアはアルムスから洗脳をされている者は魔力を探れば脳内の魔力の流れが明らかに歪になると教えてもらっている、その為あっさりとエリシアの洗脳に気付いた。


「フン、だがお前を簡単に殺せないのは想定している、だからこそ主人は私の潜在能力を解放したのだ!」


そう言って恐ろしいまでの魔力を放出するエリシア、吹き飛ばされたアリシアをアイリーンが抱き止める。


「彼女相手には本気を出せませんか?」


「・・・、ええ、甘いでしょ私、皇帝なのにね」


「叔母様は私達の家族です、だからこそ本気を出して救うべきですわ、彼女を本当に思っているのならば」


「・・・、あなたが聖女って呼ばれる理由、ホント何度も理解させられるわ」


そう言ってアイリーンに支えられる姿勢から真っ直ぐ地面に立ったアリシアは、影から杖を取り出し左手に持つ、右手にガンブレード、左手に杖、これが現在のアリシアの本気の姿だ。


「おい、大人しくしろって言ったのに、大人しくしなかった結果洗脳された馬鹿姉、これから目覚めさせてやるから覚悟しなさい!」


「フン、やってみろ」


そう言って青い魔力を発散させたエリシアは飛び掛かってくる、アリシアはアイリーンと頷き合い、光と闇の鎖を放ち、エリシアを捕らえる。


「くっ!?」


エリシアは無理矢理に鎖を千切る、しかしその間にアリシアが迫っており、アリシアは紅く光る魔眼でエリシアの目を覗き込む。


「くっ!?、あぁぁぁぁ!?」


アリシアがエリシアと目を合わせる事で行ったのは、洗脳されている事により激しく乱れている脳内の魔力を正す作業、これによりエリシアは激しい痛みを感じてしまうが、洗脳を解く為だ、我慢して貰うしかない。


「くっ・・・、はぁぁ・・・」


カプセルの洗脳装置をアリシアの魔眼が上回ったようだ、エリシアの脳内の魔力の乱れが正常化され正しい流れとなる、洗脳が解けたエリシアはパチクリと妹の顔をしばらく見た後に、見事な土下座をした。


「すまなかったぁぁぁぁ!、皇帝の側近である私がなんたる失態!、打ち首にしてくれぇぇぇぇ!」


頭を何度もガン!ガン!と地面に叩きつけながら妹に謝るエリシア、しかしアリシアは何も言ってこない、不思議に思ったエリシアが顔を上げると、アリシアの目には涙が溜まっていた。


「アリシア・・・」


それを見てアリシアに近付き抱きしめるエリシア、アリシアは静かに姉の胸の中で泣く、アリシアは怖かったのだ、このまま洗脳が解けず姉がどこかに行ってしまうのではないか?と思って。


「泣き虫だなお前は」


「違うわ、お姉ちゃんが心配させるからよ」


「すまない」


エリシアは洗脳を解いてくれた妹を強く抱きしめる、そして誓う、アリシアを不安にさせるような事は二度としないと。


「やられた事はやり返すわ、あの男、ただじゃ済ませない」


「あぁ、私も同じ気持ちだ」


そう言ってアリシアは姉から離れる、そして通りの方を見るとメアが歩いているのを見つけた。


(メア・・・、ふふ、良いわ、使える物は全部使ってやる、例えそれがメアでもね!、教皇、私を本気で怒らせた事、後悔しなさい!)


アリシアは路地裏から出ると、メア達に近付いて行く。


「メア!」


「!?、アリシア!?」


アリシアに大声で呼ばれたメアは驚いた様子で振り返る、他の仲間達も同様だ、アリシアはそんな彼等の様子に構わずズンズンと彼女に近付いて行く。


「何を怒ってるんです?」


メアはアリシアの表情から何かに怒っているのを察し理由を聞いた。


「お姉ちゃんが洗脳されて私が殺されかけた」


「そりゃ怒るな、お前の家族だもんな」


「ええ、と言うわけで、非常に気に食わないけど、あなた達の力を私に貸しなさい、嫌とは言わせないわ」


そう言って目を光らせるアリシア、メアはコツンとアリシアの額を叩く。


「魔眼を使わず普通に頼んで下さい・・・、あなたの頼みなら私は絶対に引き受けますから、だって友達でしょう?」


「そうですよ、皇帝アリシア、私達はあなたの心を救う為に動いている、言わばあなたの最大の味方でもあるわけです、この教国が卑劣な事をしていると言うのならば、喜んで協力しますよ」


「ふぅん、あなた達に協力させて教皇を地に着けた後、奴を傀儡にするつもりだって言っても?」


「安心しなさい、ウォーリーの浄化ですぐにあなたの洗脳を解くから」


「あら、それは大変」


そう言いつつアリシアは内心ほくそ笑む、魔眼による洗脳は以前首相の洗脳が解けてしまった事から反省し、ウォーリーの浄化でも解けないよう改良してあるのだ。


「それじゃ、協力してくれるのね?」


「勿論だよ〜、何をすれば良い〜?」


「そうね、あなた達はシスターや神父の服をまずは手に入れなさい、そして大教会に入り込むの、アイリーン、私と一緒にお姉ちゃんに捕まったふりをするわよ」


「分かった」


「了解です」


メアは久し振りに今のアリシアと共に戦えるのが嬉しくて、アリシアとハイタッチしようとする、しかしアリシアはそれを無視し、エリシアと共に大教会の方に行ってしまった。


「仕方ない、共闘をするとしても我々は彼女の心を救えていないからな」


そう言ってケイネスはメアの肩を叩く。


「はい、それにアリシアの目はまた・・・」


「あぁ、あの目をしてたのは教皇って奴に姉ちゃんを利用されたからだろうな」


メア達と話している時のアリシアの目は過去に見せたような酷く淀んだ憎しみの目をしていた、メア達はアリシアがあのような目をする事が悲しく救いたいと思うが、今は教皇の間違いを正す為、まずは服の入手に向かう。




大教会、地下


エリシアはアリシアとアイリーンの首に巻かれた首輪に取り付けられた鎖を引っ張りつつ、地下の部屋に入って来た。


「よくやった」


「ありがとうございます」


ジェラーゼンは手を拘束されて思うような身動きが出来ないアリシアを見下すように見る。


「愚かだな小娘よ、わざわざこの国に来て捕らえられ、お前や側近や騎士達を失い弱体化した、帝国は滅びるだろう、く、ククク、ハハハハハ!」


高笑いをするジェラーゼン、アリシアはチラリと部屋の入り口を見て、シスター服のスカートが見えたのを見てクスリと笑う。


「何がおかしい?」


「ふふふ、嵌められたのはあなたって事よ!」


そう言って手に付けられた拘束具を軽く外したアリシアは、拳を振りかぶりジェラーゼンをぶん殴った。


「グホァ!?」


アリシアに殴られた教皇は地面を転がって行く。


「な、何故だ!、え、エリシア!、もうどうなっても構わん!皇帝を殺せ!」


「舐めるなよ?、このゴミが、私がお前程度にいつまでも操られていると思うな」


侮蔑するかのような視線でジェラーゼンを見るエリシアはダガーを投げる、しかし部屋に控えていた少女がエリシアのダガーを弾く。


「・・・、可哀想な子、すぐに助けてあげるわ」


そう言って剣と杖を構えるアリシア、それを見たジェラーゼンはリモコンを取り出すとスイッチを押す、すると全てのカプセルが開いた。


「く、くそ!、大赤字だが、仕方あるまい!、この戦力差に経った三人で勝てるかな!?」


「あら?、三人じゃないわ?、ねぇ?」


アリシアが振り返ると、シスター服や神父服を身に付け、安全にこの大教会に侵入して来たメア達が現れる、そしてニアとキースも現れ、騎士団も入って来た。


「なっ、貴様にこれほどの戦力だと・・・?、しかしこちらの戦力は全員バトルシア人!、簡単に勝てると思うな!、行け!奴隷どもよ!」


ジェラーゼンは100人はいるバトルシア人をアリシア達に差し向ける。


「アリシア、久し振りに一緒に戦えて嬉しいです」


「・・・」


アリシアの横に立ったメアはアリシアと共に戦えて嬉しいと伝える、アリシアは勿論無視した、それを見てメアはあはは・・・と笑うが・・・?。


「行くわよ、メア」


それを横目で見ていたアリシアはポツリとメアに向けて呟く。


「・・・はい!、アリシア!」


メアはそれだけでも嬉しくて大きな声で返事をすると、アリシアと並んで走り始め、バトルシア人達との戦いを始めた。

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