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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部一章、殺人鬼を追え
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二話

オリビアの町、入り口


今回の任務は町の入り口の警戒任務、基本的に魔物は町の側にまでやって来ないが、稀に近付いてくる魔物がある、そんな魔物を追い払うのが警戒任務の基本的な仕事だ。


「平和ですねー」


「そうねー」


見渡す限りの平原にまっすぐ伸びる道路、それ以外は何も見えない平和な風景をただただ見つめるだけで、お暇なアリシアとメアはたまに通る車の運転手に手を振って挨拶をする事で暇を潰している。


「私達の見張り時間は、後一時間ありますけど、これが終わったらどうします?」


「眠気が来てるから寮に帰って寝たい」


「あらあら、なら私が特別に膝枕をしてあげましょう」


「ふふん、このアリシア様に膝枕をするのは当然よ」


「はいはい」


出会ってから十日ほどが経ち、毎日一緒に過ごしている事もあり、すっかり仲良くなった二人は、ふざけ合った会話をしてクスクスと笑い合う。




オルビアの町


任務を終え報酬(一人2500ゴールド)を貰った二人は、寮に向かって歩いている所だ。


「キャー!!」


そこに聞こえてくる女性の悲鳴、悲鳴を聞いた二人は顔を見合わせる。


「何かしら?」


「分かりません、でも、エンジェルズの心得その二、悲鳴が聞こえたら、何も考えずに聞こえた場所に行け、に従い行かないといけませんよね?」


「よく分かってるじゃない、行くわよ!、メア!」


「はい!、アリシア!」


アリシアとメアは駆け出し、女性の悲鳴が聞こえた方向にへと駆け出す、暫く走ると尻餅を着いた女性を見つけた、その近くには首を斬り落とされた死体がある。


「・・・、誰がやったの?」


「わ、私じゃないわ!、全身黒尽くめの奴よ!、私がここに来た時にその人が丁度首を斬り落とされる所だったの!」


「安心してください、あなたを疑っている訳ではありません」


「そ、そう・・・」


女性の話を聞いたアリシアは女性の様子を確認する、女性の格好はシャツにスカートであり、服は尻餅を着いた為か少し砂が付いているが血は付いていない、剣士であるアリシアは首など斬れば確実に返り血を浴びる事を知っている、その為女性はシロだと判断した。


「メア、多分ノメッツさんの店で聞いた話と同じだわ」


「連続殺人犯ですか・・・」


「ええ、ここは危険よ、離れ・・・、ッ!」


メアと女性と共にこの場所を離れようとしたアリシアだが、殺気を感じた為、感じた方向に銃弾を放つ。


「ケケケ!、気付いたか!、中々やるようだ!」


アリシアが銃弾を放った場所から黒い影が飛び出し、アリシアの方に飛び出しダガーを突き出して来た、アリシアはガンブレードをガンモードからブレイドモードに切り替えると、ダガーを受け止める。


(こいつが最近無差別に人を殺して回っているって言う、連続殺人犯・・・!)


殺人鬼のダガーをガンブレードで受け止めたアリシアは殺人鬼の顔を見ようとするが、フルフェイスのマスクを被っており顔は見えない。


「可愛いねぇ、あんたみたいな子を斬り刻んだらどんな悲鳴を上げてくれるのかなぁ、楽しみだよぉ!」


興奮気味な声で喋る殺人鬼は異様な力を発揮しアリシアを押し込んで来る。


「くっ!くっ!」


アリシアはなんとか押し返そうとするが、力負けをしており、どんどん押し込まれる。


「アリシア!、下がって!」


「・・・、ええ!」


そこに響くメアの声、アリシアは悔しそうな声を出しつつも殺人鬼のダガーを払い、後ろに飛び下がった、アリシアが下がったのを確認したメアはビームを放つが避けられた。


「こいつ・・・強いわ・・・」


「そのようですね、スタイル使いで女性の割にパワーのあるあなたを押し切りかけたのですから」


「・・・何よ、まだ負けてなかったわ」


「意地を張らない」


「・・・」


自分に言い負かされプイッとそっぽを向くアリシアを見てメアはクスクスと笑う。


「ふふふ、それでどうします?」


「引く、あの人を怪我させる訳にはいかないしね」


「ですね、それでは私があの人のカバーをします」


「了解、私はあいつを引き付けるわ!」


「はい!」


引くと決めた二人は、メアが女性に近付き、アリシアは殺人鬼が二人の方に行かないようにガンモードのガンブレードから弾を撃ちながら殺人鬼に近付く。


「ヒヒヒ!、接近戦かい!?、それもこちらの方が強いと思うよ!?」


「やってみないと分からないっての!」


ガンブレードの装弾数は七発だ、その内の六発まで撃ち保険に一発残し、殺人鬼のすぐ側にまで迫ったアリシアはブレイドモードに切り替えたガンブレードを振るうと見せかけ、左手から雷を放った。


「なっ!?雷!?」


殺人鬼はアリシアの不意打ち的な雷を体を仰け反らせる事で避けた。


「この距離で避けるってなんなのよ!」


雷を避けられたアリシアは振り上げたままだった右腕を振り下ろすが、殺人鬼は仰け反った姿勢から後ろに回転しながらジャンプし、アリシアの斬撃を避けた。


「当たれ!」


アリシアは男の足が地面に着く前に保険に残しておいた最後の一発を放つ。


「チッ!」


殺人鬼はダガーを犠牲にして弾丸を防ぐ。


「アリシア!もう大丈夫です!」


「分かった!」


背後からのメアの声、通りに女性を連れ出せたのだろう、取り敢えずは作戦を成功させたアリシアは、地面に向けて雷を放ち、壁を作るとメアの方に走りこの場から撤退をした。


「・・・」


殺人鬼は雷の壁の先の去って行く三人をユラユラと体を揺らしながら見つめていた、路地裏から出る際に振り返ったアリシアは見た、狂気に狂った血走った目を。



エンジェルズ


「よう、アリシア、メア、噂の殺人鬼とやり合ったそうだな」


女性を家にまで送りエンジェルズに戻った二人の元にメッシュが近付いて来た。


「ええ」


「怪我はしてないか?」


「大丈夫」


「なら良い、それで?その殺人鬼の特徴は?」


アリシアが怪我をしていないと聞きホッと安心した様子のメッシュは、戦った張本人に殺人鬼の特徴を聞く。


「服は黒、性別は分からない、武器はダガー、スピードが速くて、パワーは私の方が強い・・・」


「押し合いで負けてましたよね?、正直に」


「・・・私よりあいつの方が強かったわ」


「そうか」(誰に似たのか素直じゃねぇアリシアをここまでコントロールするとはなぁ・・・やるなぁこの嬢ちゃん・・・)


メッシュはアリシアをコントロールし切っているメアに感心する、そんなメッシュの思考を読んだのかメアはメッシュの方を見てニコニコしているが、メアの笑顔の意味をなんとなく理解したメッシュは視線を逸らす。


「スピードが速くてパワーもある、厄介なタイプだ」


「ええ、それにいきなり雷を撃ったんだけど避けたのよ?あいつ、反射神経も良いわ」


「うーむ、少なくとも少人数で戦うべき敵じゃねぇな、こっちの頭数は最低でも四人、速い足を止める技を持った奴もいるな・・・、さて、取り敢えず情報ありがとな二人とも、俺はこの情報を上に話して対策を練らせる」


「ええ」


アリシアの髪を撫でてから去って行くメッシュ、アリシアとメアはその背中を見送ってから夕食を食べにレストランに向かって行った。

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