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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、二章、行方不明の土のスタイル使いを探せ
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十一話、初代皇帝ゾフィディア・レイティス

プール


絶世の美少女四人に男だけでなく女も注目する中、アリシア達はエリシアが先導しプールに入る前の準備運動をしていた。


「こら!アリシア!、ちゃんとやらないか!、水の中で足がつって溺れても知らないぞ?」


「面倒だもの」


「必要な事だ、ちゃんとやりなさい」


「嫌よ」


そう言ってニアと共にプールに飛び込むアリシア、プールの中に入った早速泳ぎ始める。


「グヌヌ・・・、準備運動は必要だと言うのに・・・」


「まぁまぁ、お母様もニア様も大丈夫ですわ、だってどう考えても普通の人の身体能力じゃありませんし」


「それは分かっているが、なぁ、分かるだろ?」


「ふふ、エリシア様は真面目ですわね」


アイリーンは真面目なエリシアに笑いかけると手を差し出す。


「さっ、私達もお母様達と一緒に遊びましょう!」


「ああ!、行こう!」


エリシアはアイリーンの手を取ると、飛び込まずわざわざ梯子を使い水の中に入った。




「ほら!、行くわよ!キース!」


天に放り投げたビーチボール、アリシアは落ちて来た所をフルスイングで打つ、打ち出されたビーチボールは物凄いスピードで空気を切りキースに迫る。


「んごぉ!?」


超豪速球に反応出来なかったキースは顔面でビーチボールを受け、そして奇跡的に上に跳ね上げた、ニアが落ちて来たボールをボレーしエリシアに渡す。


「受けてみろ!アイリーン!、行くぞ!、うぉぉぉ!」


迫るボールを見て何か変なスイッチが入ったらしいエリシアは高く飛び上がると、縦回転も入れてボールを打った、先程キースが顔面で受け止めた以上の威力のボールがアイリーンに迫る。


(ふふ)


アイリーンは心の中でチロリと舌を出し、腕に光と闇の魔力を込めると、エリシアの球を難なく受け止めた。


「なにぃぃぃ!?」


エリシアはアイリーンがボールを受け止めたのを見て驚いた表情を見せる、そもそもボレー遊びなのだが、エリシアの中ではいつの間にか戦いになっている。


「・・・、魔法使ったわね?、悪い子ね?」


「あんなのまともに喰らっていられませんわ」


「ふふ、バレないようにね?」


「はい」


アリシアはアイリーンに近付き魔法を使ったな?と聞く、アイリーンはアリシア以外に顔が見えないよう振り返るとニヤリと微笑み、使った事を告白した。


「なぁにをこっそりしているぅぅぅ!、くらえぇぇぇ!、あっ・・・」


エリシアはこっそりこそこそ楽しそうにクスクスしているアリシアとアイリーンに、ボールを打ち込もうとするが、ミスをした、しかしジャストミートなボールはキースに向けて飛んで行き?


「ぐはっ!?」


再び顔にボールが命中し吹き飛ばされ、水の上で何回かバウンドした哀れな少年は、プカプカと水に浮かぶ事となった。


「やり過ぎよ・・・、お姉ちゃん・・・」


「すまない・・・」


アリシア達は気絶しプカプカしている少年を協力して水の上に上げてあげ、ビーチベッドに寝かせた。




三十分後、目を覚ましたキースは再び水の中に入り、ニアとアイリーンと共に遊んでいる、アリシアはビーチベッドに座り、本を読みながら姉と話していた。


「ねぇ、お姉ちゃん、知ってた?、私達が戦闘民族のバトルシア人って事」


「あぁ、知ってたよ」


「それならなんであの時言ってくれなかったの?」


あの時とは姉と初めて会った日の事である。


「すまない、将来的には兵器として扱われると知ったばかりのお前に話す事が出来なかった・・・」


「そっか、なら良いわ」


妹に話す事が出来なかったと申し訳なさそうにする姉を見て、アリシアはなら良いと微笑む。


「それともう一つ、お前に伝える事が・・・」


「私達が、この国の初代皇帝の子孫って事?」


「なんだ知ってたのか?」


「まぁね、このプールに来る前にアルムスに聞いたの」


朝、自分が戦闘民族と知ったアリシアはアルムスに説明を求めた、その答えはエリシアと同じであり、彼は深く頭を下げて伝えられなかった事を謝った、その後にアルムスは二人が初代皇帝の子孫だと言う事もアリシアに伝えて来た。


「お父さんとお母さんを殺してしまった事も謝ってくれたわ、彼」


「許したのか?」


「・・・、彼の事は好きよ、でもこれだけは許せない、だから思いっきり殴ってやったわ」


「そうか、ふふっ、お前に殴られたんだ酷く顔が腫れてそうだな」


「そうかもね」


姉妹は酷く顔が腫れたアルムスの姿を想像し微笑み合う、そしてアリシアは姉に向けて暗い瞳を見せた。


「ねぇお姉ちゃん」


「なんだ?」


「私とアイツ、メアはとことん相入れないみたい」


「ふん、確かにな、奴にとって私とお前は、自分の国を滅ぼした国を作った者の子孫、言うならば仇だろう」


アリシアとメアはアルビオン王国が滅びた時点で敵であった、それが何の運命のイタズラか何も知らない二人が出会い一時は友として触れ合い、今はやはり敵となった、これが因果と言うものなのだろうか?。


「アリシア、奴が私達が初代皇帝の子孫だと知り、私達の祖先がこの国を作らなければ自分の国は滅びなかったと恨みをぶつけて来たらどうする?」


「そうね、こう言ってやるわ」


アリシアは姉の顔を見て邪悪に微笑む。


「お前の国が弱いから滅びたのよ、ってね」


「・・・、悪い奴だなぁ、お前は」


「だって私、アイツの事嫌いだもん」


「そうか、喉乾いてないか?、ほらトマトジュースだ」


「ありがと」


アリシアはメアが自分に恨みをぶつけて来てそんな彼女を自身が彼女を嘲笑いながら殺す日を想像し、楽しそうに鼻歌を歌いつつ、トマトジュースを飲む。



エンジェルズ、ボスの部屋


「来ました、それで?話とは?」


夜、ギルスの修理や武器の整備など、アリシアがいつ動いても良いように彼女を救う為の戦いの準備をしているメアはボスに呼び出され、彼の部屋にやって来ていた。


「アリシアの事で伝えてない事があってな」


「何ですか?」


「あいつの種族の事と、そしてあいつの祖先の事だ」


メアはアリシアの種族と聞き、吸血鬼真祖なのでは?と思う。


「その・・・、アリシアは吸血鬼真祖ですよね?、それ以外に何かあるのですか?」


「ある、あいつはバトルシア人だ、お前なら知ってる筈だ」


「戦闘民族と呼ばれるあの・・・」


「あぁ、大昔にこの世界を支配していた・・・な、ある時に奴等だけに発症した疫病により数を減らし、今じゃ少数種族になったがな」


ボスが言った通り、バトルシア人は過去、様々な国を支配していた正にこの世界を支配する強者であった、しかし疫病により数を減らし今では兵器として扱われる弱者となっている。


「帝国は現在唯一のバトルシア人の国と呼ばれています、・・・、彼等が帝国に集まる理由、それは帝国は彼等が作った国、そしてあの国にいれば兵器として扱われないからです」


「そうだ、そして帝国を作った奴、それが今回の話の要点だ」


「?」


バトルシア人については知っているが、帝国を作った者は知らないメアは首を傾げる。


「まずは名前からだな、初代皇帝、暗黒帝国と呼ばれていた国を作った者の名はゾフィディア・レイティス、暗黒帝国と呼ばれていた時代、そしてアトリーヌ帝国と名を変えた今も含めて、歴代最強の皇帝と呼ばれる、正に最強の皇帝だ」


「レイ・・・ティス?、それってアリシアの・・・」


「あぁ、ゾフィディア・レイティスはアリシアの祖先だ」


「そんな・・・」


この時メアは思っていた、アリシアが帝国に行き皇帝となったのは当然の事だったのでは?と、何故なら彼女の祖先の故郷は帝国だったからだ。


「すまないなメア、帝国を恨むお前には話せなかった・・・」


「良いのです、アリシアと仲良くなる前にこの話を聞いていれば、私何をしていたか分かりませんから・・・、今の私ならともかく、昔の私は多分彼女を殺そうとしていました」


今と言いつつメアは感じていた、彼女の祖先が帝国を作らなければ自分の国は滅ぼされなかったという、アリシアに対する小さな憎しみを。


「話は終わりですか?」


「あぁ、あいつを救おうとしているお前にこんな話を聞かせて、すまないな、だがお前は聞いておくべきだ、あいつを救いたいと思うのならな」


「分かっています、話してくれてありがとう」


メアはボスに頭を下げると部屋の外に出る、そして暫く歩き、誰もいない廊下で壁にもたれかかる。


「こんな気持ちでアリシアを救えるのでしょうか・・・」


先程メアが感じていた帝国を作った者の子孫である、アリシアへの憎しみは時間をおいて少しずつ大きくなって来ていた、しかし彼女を親友だと想い闇に染まってしまった彼女の心を救いたいと思う気持ちともぶつかり合っている、メアは思うこの二つの感情のどちらかの感情に己が振り切れた時、その時、アリシアを救うか殺すか決まるのだろうと。


「アリシアを殺したくない・・・、なら私が選ぶべき道は決まっています」


メアはどうにかアリシアへの憎しみを押さえ付け無理矢理に捨て去る、そして暗く淀んだ瞳からアリシアを救うそう決めた澄んだ瞳となった彼女は自身の部屋に向かって行った。


メアがアリシアを恨む理由が出来ました。

それを知った上でメアは帝国へのアリシアへの恨みを捨てる事が出来るか?、それもストーリーの上でかなり重要な要点となります。

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