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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、二章、行方不明の土のスタイル使いを探せ
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四話

パドルーの谷


「・・・」


アリシアは走るメアを冷たい瞳で見つめていた、自分に近付いて来て、友になったもののその内心では自分の事を帝国への復讐の為の兵器として見ていた少女を。


(私は兵器、そうよ兵器よ、メア)


アリシアはメアを見つめながら自身を兵器だと認める、そして・・・?。


「私はアンタを殺し、エンジェルズとギグルスを滅ぼす兵器だ、ふふ、アンタが恨む帝国の皇帝としてね?、そしてお前達を滅ぼした後はこの世界と多重世界の全てを私の物にしてやる、私の幸せの為に私がもう泣かずに済む、私が全てを支配する世界を作ってね」


ニヤリと微笑み、自身が全てを支配し、自身を泣かせる者などいない世界を作ってやる、そう誓うのだった。


「ふふ、陛下が全てを支配する世界、絶対に素晴らしい世界だわ、それに陛下は吸血鬼真祖、一度支配出来れば永遠にこの世界は陛下の物・・・」


「賢いわねニア、そうよ、私が全ての世界の支配者となれば、それは即ち永遠の支配者の誕生と同義、ふふ、あなた「も」そのうち私の眷属にしてあげるわ、そして永遠を楽しみましょう?」


「はい、陛下・・・」


そう言ってニアの首筋を触るアリシア、ニアはうっとりとした様子でアリシアを見つめ抱き着いた。


「そして、あなたも私と永遠を楽しむの、だから早く帰って来なさい」


アリシアはとある人物を見て楽しそうな様子で微笑むと、ニアの髪を触り始めた。




「・・・、皆さん!見て下さい!、見つかったようです!」


メア達が谷の上を走っていると、帝国兵達に見つかってしまったようだ、矢が飛んで来る。


「ホーリーシールド!」


アイリーンが光の盾で矢を防ぐ。


「このまま走って下さい!、なんとか持たせますわ!」


「頼んだぜ!」


帝国兵の激しい攻撃にアイリーンが耐えていると、大きな別荘が見えて来た、あれが二つ目の候補地、ケイネスの別荘だ。


「たった数人に構うな!、攻撃、開始!、皇帝陛下の為に!」


「「ハッ!、皇帝陛下の為に!」」


兵士達は別荘が見えた所で広く展開し、アルムスに連絡したアリシアが届けさせた、十人で扱う魔導砲台を構える、この兵器はファントム用の新兵器を試作していた時に産まれた副産物であり。


十人分の魔力を少しずつ使う事により、一般兵でも強力な砲撃を最低十回は繰り出す事が出来ると言う強力かつ低燃費な兵器だ、金の聖杯として強力な力を持つ愛理でも、三十発分の直撃しか耐えられないだろう。


十分に魔力を溜めた二十台はある魔導砲台は魔力砲を発射する、屋敷に飛来する魔力砲は別荘の前に出現した壁に防がれる。


「あの量の砲撃を防ぎきるなんて〜、相当に強いね〜」


「私にはあれほどの防御魔法はありませんから、素直に感心します・・・」


「あの壁が攻撃を防いでいる間に別荘の中に入りますわよ!」


「おう!」


ウォーリーがケイネスの壁の防御力の高さに感心する中、メア達は壁の真横を通り、別荘の中に入る。



「陛下、奴等が別荘の中に入ったわ」


アリシアに甘えるニアがメア達が別荘に入ったと伝える。


「そうね、なら」


ニアの言葉を聞いたアリシアは読んでいた本を自身の影の中に落として収納すると、今度は影の中から杖を取り出す、そして魔法陣を十回重ねた。


「私の兵に手を貸してあげなきゃね?、インフェルノレイ」


アリシアは闇の光線を放った、壁に着弾した光線は大爆発し、壁を跡形もなく吹き飛ばす。


「さぁ?みんな?、私から私の兵のプレゼントよ?、たっぷりと楽しんでね」


魔法陣を消し再び手の上に腰掛けたアリシアは、別荘の中に流れ込んで行く兵を足を揺らしながら楽しげに見つめる。



別荘内


「!?」


屋敷の中で各部屋を巡ってケイネスを探すメア達は、突然別荘を守る壁が吹き飛んだのを見て、慌てて窓の外を見る。


「アリシアの攻撃だね、私が育てたのは剣士としてのあの子、でもこの規模の攻撃は魔導師としての腕を磨かないと繰り出せない、余程優秀な魔導の教師に魔法の使い方を教わったんだろうね」


愛理はアリシアの魔法を見て敵としては厄介だと思い、師匠としては誇らしいと思う、複雑な心境を感じていた。


「剣士としてだけじゃなく、魔導師としても強い、流石、皇帝を名乗るだけはあります、まさしく帝国の最高戦力と言うわけですね」


「そして、その最高戦力が今は俺達の敵ってわけだ」


「帝国から取り戻せば敵ではなくなります、その為にもケイネスさんを見つけ、箱の鍵を開けなければ!」


「ですわね!」


アリシアの攻撃を見て再び走り始めたメア達、そこに魔導砲台の砲撃が迫り壁を吹き飛ばすと同時にメア達を吹き飛ばし壁か激突させる、そして砲撃が終わったかと思うと、兵士達が雪崩れ込んで来た。


「おやおや、久し振りの我が別荘への来客はいささか数が多過ぎるな」


メア達が立ち上がろうとしていると、落ち着いた声が聞こえて来る、紳士服を着た初老の男、ケイネスが現れたのだ。


「あはっ、見つけたわ」


崩落した壁から別荘の中を見つめていたアリシアは、あのケイネスが先程までのような土塊ではないと判断する、あのケイネスからは土塊とは違い強い魔力を感じるのだ、立ち上がったアリシアは杖を構えると転移した。


「んもう、落ち着きがない皇帝様なんだから、エリシア?、別荘に向かいましょう!」


「ああ」


エリシアはゼウスを動かし、別荘に近付いて行く。



「あなたがケイネスさん?、本物の?」


「如何にも」


そう言ってケイネスは指を鳴らすと土塊の自分を作り上げる、メア達はこれで土塊の隣に立つケイネスが本物だと分かった、その身から発せられる魔力が今作られた土塊のケイネスより明らかに多いのだ。


「信じますわ、あなたは確かに本物です」


「あなたに信じてもらえて光栄だよ、聖女殿」


「ゆっくり話してるなよ!、攻撃が来たぞ!」


グレイの叫び通り、帝国兵の攻撃が飛んで来た、それを見たケイネスは壁を作り帝国兵の攻撃を防ぐ。


「俺の三つ目の隠れ家が北の海岸にある!、そこに向かう!、俺に触れるのだ!」


「へぇ、三つ目の隠れ家は北の海岸にあるのね?、まっ逃さないけどね?」


ケイネスが自分に触れるように言った瞬間、アリシアが現れ杖をケイネスに向けて突き出し、ダークショットを放つ。


「グゥゥ!?、は、早く!」


「はい!」


ダークショットはケイネスの腹を貫く、腹を貫かれても立っているケイネスは早く自分に触れるように促し、メア達は触れる。


「言ったでしょ?、逃さないって」


冷たい声で話すアリシアは更にダークショットを放ち、ケイネスの体の各所を貫く、体の各所を貫かれ激しい痛みに意識が朦朧としているケイネスはなんとか転移魔法を発動させ、北の海岸に向かって行った。


「逃げられた、か、まぁ良いわ、あのダメージ、アイリーンの治療でもそう早く治らない、奴を殺すのが、ふふ、少し遅くなっただけよ」


薄く微笑む皇帝は壁を破壊しこの場にやって来た兵士達の方に振り返り、微笑む。


「こ、皇帝陛下!、壁の破壊に手間取ってしまい、も、申し訳ございません!」


「良いのよ、そんな事よりも奴等は北に向かったわ、逃げ切られる前に急ぎ向かう、ついて来なさい」


「「ハッ!」」


謝る兵士達を許したアリシアは、大量の軍勢と共に北の海岸にへと向かって行く。

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