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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第二部、序章、未来のアリシア
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第二部、序章、未来のアリシアと過去のアリシア

天上界


プリプリと怒っている未来のアリシアが天上界に転移して来た、するとメアが駆け出して来て抱き着く。


「心配しましたよ!?、帰って来ないのかと!」


「ごめん」


何故メアが駆け出してまで抱きついて来たのかアリシアは理解している、現在の自分のように皇帝の元から帰って来ないのでは?と考えてしまったのだ、アリシアはメアを安心させる為、優しく抱きしめる。


「さて、アリシア、未来で何が起こるのか、話してくれないかな?、何故あなたが世界を滅ぼすの?」


メアは愛理が近付いて来たのを見てアリシアから離れる。


「・・・、さっきの私の介入で未来が変わっていないのならば、私はこの後皇帝となり、この世界や他の世界全てを支配する為の戦争を始めます、そして五年後、私とアルムスはとある物を解放したの」


「とある物って?」


「師匠の故郷の世界に存在していたDIVAよ」


DIVAとはアリシア達が生きるこの多重世界を作り上げた、世界創造装置、愛理が過去の戦いで破壊した筈の物だ。


「!」


愛理はDIVAと聞き驚愕した表情を見せる、愛理も考えなかった訳ではない、第0世界をそっくりそのままコピーした自分の故郷の世界にDIVAが存在しているのではないか?と、だからこそ麗蘭から見せられたアトリーヌ帝国の計画書に書かれていたDIVAの文字を見て危機感を感じ、何度も故郷の世界を調べDIVAを探したが見つからなかったので、存在しない物と思って安心していた。


「そんな確かに私は壊したし、あの世界を調べてみてもDIVAは存在しなかったよ!?」


「うん、今は存在しない、DIVAは今から四年後に産まれるの、あなたの故郷の世界の宇宙の最果てでね」


「四年後・・・」


四年後と聞き愛理は思う、今探しても見つかるわけがないと。


「これから四年後、何としてでも、現在の私やアルムスがDIVAを手に入れる前にDIVAを破壊しなければならない、もし先に彼等がDIVAを手に入れれば、現在の私はDIVAに取り込まれ未来で起こる悲劇の繰り返しになるわ」


「・・・、私もDIVAに取り込まれたあなたに負けたの?」


「うん、私が殺した・・・」


「そう・・・」


愛理は自分を殺したと言い申し訳なさそうに俯き泣き始めたアリシアを抱きしめる。


「泣かないでアリシア、あなたが未来を教えてくれたお陰で世界を救えるかもしれない、これで世界を救えたら全部あなたのおかげなのだから」


「うん・・・」


「未来で殺される私の代わりに今の私があなたを許すよ、だから一緒に世界を救おう」


「・・・、はい!、師匠!」


アリシアは未来で何度も戦い、その度に傷付け最終的には殺した師に許され救われた気がした、そして誓う、現在の自分とアルムスを止め、悲劇を繰り返させたりなどしないと。


「それでよぉ、アリシア・・・さん?」


「ふふ、アリシアで良いわ」


「お、おう、アリシア、四年もあるのに俺らは何をすれば良いんだ?」


「そうね、一番最初にやるべき事はメア、あなたの力の覚醒ね、正しい歴史でも、あなた達はこの後、私に打ち勝ち取り戻す為、箱の鍵集めをしていたもの、・・・私が邪魔しまくったけど」


そう言ってアリシアはメア達から申し訳なさそうに目を逸らす。


「あはは・・・、それで?、メア達はあなたに勝てたの?」


「・・・一度は、でもその後私は強い人の血を吸いまくってもっと強くなって、ゼロの魔力のスタイル使いになったメアや師匠を纏めて相手にしても勝てるほどに強くなっちゃうの・・・、師匠とメアを纏めて相手にして勝った時は本当にスッキリしたわね、うん」


「・・・、そ・れ・で?、あなたが加われば、その強くなった現在のあなたに勝てるんですか?」


少し先の未来の自分とは言え、自分が負けた相手にスッキリしたと言われイラっとしたメアはジーとアリシアを睨みつつ勝てるのか聞く。


「私一人でも楽勝よ!」


「どう見ても見栄を張ってますわ」


「・・・うっ、私と師匠とメアの三人なら勝てます」


「五年経っても相変わらずだなお前」


「う、うるさーい!」


五年後のアリシアとの会話をメアはとても嬉しく思っていた、もうアリシアとこのように楽しく話を出来るとは思っていなかったのだ。


「ア・リ・シ・ア?」


「何よ?」


「未来から来てくれてありがとう!」


「・・・、こちらこそ、ありがとう、私を受け入れてくれて・・・、私はこの先の未来、あなた達にもっと酷い事をしたのに・・・」


「良いよ〜良いよ〜、未来のアリシアが犯しちゃった罪は未来を変えて世界を救う事で十分に償えるよ〜」


「おう!、罪を償う為にも頑張ろうぜ、アリシア!」


「うん!」


未来のアリシアは思う、優しく自分を受け入れてくれた彼等を現在の自分から確実に守り切ってみせると。




オルビアの町、墓地


天上界を後にし、アリシアはメア達と共にオルビアの町に帰って来ていた、そしてボスが急いで作らせたメッシュの墓の前に一人で来ていた。


(ごめんなさい、メッシュさん、あなたは私を救おうとしてくれていたのに・・・、私は憎しみのままにあなたを殺してしまった・・・)


今のアリシアにメッシュへの恨みはない、自分が滅ぼした世界を見てアリシアは悟ったのだ、全て自分が間違っていたと、だからこそもうメッシュを憎む事はない。


(あなたの意思は私が継ぐ、そしてあなたの代わりに今の私を救う、そして・・・)


アリシアは空を見る。


「全てを終えよう」


そう言ってアリシアは強く痛む胸を押さえ蹲る、過去に戻って来て数分経った時点でアリシアは気付いた、時渡りをする代償として不老不死を失い寿命はもう殆んどない事を。


「苦しそうね?」


そこに現在のアリシアが現れる。


「!、別になんでもないわ」


「嘘を言わないで、自分の事は自分が一番分かる、もう長くないのね?、あなた」


「あはは・・・、自分には敵わないわね、そうよ私はもうすぐ死ぬ、持って一年かしら?、ねぇあなたもこうなりたい?、世界を滅ぼして過去に来たのと同時に不老不死を失い余命は数ヶ月、そんな状態になりたい?」


「なりたくないわねぇ、だからならないようにすれば良い、あなたが言っていたアレに取り込まれず、この世界と多重世界を陛下の物にする、そうすれば・・・」


過去の自分の言葉を聞いた未来のアリシアは無理だと諭す為、両肩を掴む。


「無理よ!、私だってあの時アレに取り込まれるつもりなんてなかったわ!、でも産まれたばかりのアレは自己成長をする為に常に何かを取り込もうとする、そして私が取り込まれ栄養を得すぎたアレと同化した私は暴走し世界を滅ぼしたの!」


「私はあなたみたいにはならない」


「ッ!、言って分からないのなら!、グッ!?」


力尽くでも過去の自分を止めようとする未来のアリシアだが、心臓が強く痛みその場に倒れ込んだ。


「・・・、酷い状態ね、流石に自分を見捨てたりは出来ないわ」


現在のアリシアは爪で自分の指を斬ると未来の自分の口元に差し出す、未来のアリシアは自分の血を見て吸血衝動に襲われ血を吸い始めた。


「これで少しは良くなったでしょ?」


「ええ・・・」


「そう、なら後は残り少ない余生をどこか静かな場所で過ごしなさいな」


「お断りよ、私はそこに眠るメッシュさんの意思を継ぎ、あなたを救うと決めたもの」


「自分の口からアイツの意思を継ぐだなんて言葉が出て来るとは思わなかったわ、でもさぁ、あなたって存在が証明してるじゃない、あなたは世界を滅ぼす直前まで皇帝としてこの世界を支配しようとしていたのでしょう?、なら分かるはずよね?、私が元の私に戻るつもりなんてないって」


「・・・」


そう未来のアリシアはメア達の説得を一切受け入れずDIVAを見つけ出しその結果世界を滅ぼした、現在の自分が言う通り、説得を受け入れるつもりなんて自分にもなかった、今こうして元の自分に近い性格になっているのも世界が滅びたのを見たからだ。


「無駄な事をして何も出来ず死ぬくらいなら私にあなたの血を寄越しなさい、あなたが蓄えた力、私が思う存分活用してあげるわ」


「お断りよ」


「あら、交渉決裂ね、まぁいいわ、そのボロボロの体で精々頑張りなさいな」


「あなたこそ覚悟しなさい、絶対に元に戻してあげるから」


「ハン、言ってろ」


現在のアリシアは未来の自分から背を向けると帝国に向けて転移して行った、未来のアリシアは去って行った自分を改めて元に戻してやると誓い、エンジェルズに向かって行った。

あくまでも現在のアリシアが主人公ですので次章からは視点が現在のアリシアに戻ります。

しかし今章の内は未来のアリシアが主人公です。

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