四話、光のスタイル使い聖女アイリーン
エンジェルズ本部
メアはアリシアを救う為、ファーリーの知識を借りようと連絡をしていた、そして彼にアリシアが闇のスタイル使いになってしまった事を伝えた。
「アリシアが闇のスタイル使いに・・・、一つだけ救う方法があるかもしれん」
「!、それは一体!?」
「仮面だ、闇のスタイルの本体は仮面だ、ならばあの仮面を破壊すれば、体は元に戻せるかもしれん、心は・・・、君たち次第としか言えないが」
「仮面の破壊、分かりました!、やってみます!」
メアはファーリーに連絡をして良かったと思いその知識に感謝する。
「ただ一つだけ言う事がある、あの仮面を壊す為には恐らくだが強力な光の力がいる筈だ、君達の側にはその使い手、魔王殿がいるが、君の話によると君達を鍛えてはくれても、戦ってはくれないようだ、それならば光のスタイル使いの力を借りると良い、彼女は私の知り合いでね、私の頼みなら引き受けてくれる筈だ」
「そんな事まで・・・、ありがとうございます、ファーリーさん・・・」
「良い、この国に来なければアリシアは闇のスタイル使いにならなかったかもしれないからな、私にも負い目はあるのだ、だからこれくらいはさせて貰う」
「それでもありがとうございます」
「お礼などいいと言っているのに、それでは彼女に君の元に向かうよう伝えておこう」
「はい!」
ファーリーは連絡を切った、メアは聖女がここにやって来る事を伝える為部屋から出て行った。
皇帝の寝室
朝、目を覚ました服を着ておらず裸のアリシアが身を起こす、隣には皇帝がおり既に起きており身を起こしていた、同じく裸だ。
「夜はありがとうございます、陛下」
「ふん、ただの褒美だ」
そう言って皇帝はアリシアの髪を撫でる、まだ十五歳の少女であるアリシアは頬を赤く染め俯いた。
「アリシア、伝え忘れていたが、お前にはいずれ、私の跡を継ぎ皇帝となって貰うつもりだ」
「わ、私が!?、私に皇帝など出来る筈がありません!、だって自分が一番知っていますから・・・、こんなに心の弱い私が人を率いる事など出来るわけがないと・・・」
「出来るさ、その為の教育もする、そして弱き心は強き力で補えばよい、だからこそお前に出来るだけ多くの血を吸えと命令したのだ」
ギグルス国での戦闘では敵が近付いて来なかった為、アリシアは敵を捉え血を吸わなかったが、その前の戦闘では敵の血を吸っている、自身の吸血鬼としての本能を満たす為でもあるが、敵を捕らえ血を吸え、それが皇帝からの命令だからだ。
「まだ先の話だ、しかしお前が次代の皇帝になると言う事は既に決めた事、心の準備はしておけ」
「はい・・・」
そう言って不安気な表情をした少女を皇帝は抱きしめる。
「・・・、陛下、いいえ、アルムス、その・・・もう一度・・・」
「良いだろう」
エンジェルズ
メア達はアイリーンが来るのを待っていた、すると神々しい光と共に何者かが現れる、光が収まると金色の髪をした少女が立っていた、彼女こそが光のスタイル使い、アイリーン・オラシオンだ。
「初めまして、メア様、友人であるファーリー様の頼みを受け、アイリーン・オラシオンが馳せ参じましたわ、そして闇のスタイル使いとなってしまった、アリシア様を共に救いましょう」
「来てくださり本当にありがとうございます!」
メアはアリシアを救う為に来てくれたアイリーンに頭を下げる。
「ふふふ、お礼など良いのですわ、それにここに来れば魔王様に会えると聞きましたので」
「アイリーンさんも愛理さんの弟子になるおつもりで?」
「はい、愛理様は現在はゼロの魔力をお使いになられていると聞きましたが、以前は優れた光の魔力の使い手だったと聞いておりますわ、同じく光の魔力の使い手である私にとってここは最高の勉強場所なのですの」
「は、はぁ・・・」
修行を勉強と言った聖女の真面目さにメアは少し引いた。
「はぁはぁ・・・、それで?、愛理様は?どこに?」
「今日は来ないと言っていましたよ、魔王としての仕事が忙しいそうです」
突然荒い息となったアイリーンを見て首を傾げつつ、メアはこの日は愛理は来ない事を伝えた。
「!!、仕方ありませんわね、お部屋をご用意してくれると聞いていますわ、案内してくれませんか?」
「分かりました」
メアはアイリーンを部屋に案内する。
翌日、愛理がエンジェルズにやって来た。
「お初にお目にかかります!、愛理様!、私は聖女アイリーン・オラシオン、光のスタイル使いですわ!」
アイリーンは愛理の姿を見るなり走り、自己紹介をした、やはり息は荒い。
「や、やぁアイリーン、私は久城愛理、魔王をやってるよ」
「知っておりますわ!、世界を救って回っている事も、人と魔族や魔物が共に住む事が出来る素晴らしい世界をお作りになられている事も!」
「へ、へぇ、よく知ってるね」
「そんなの当たり前ですわ!、幼い頃からあなた様をお慕いしておりましたから!、私、あなた様のファンですの!」
「そ、そっかぁ・・・」
(荒い息は愛理さんに会えると思って興奮していたのですね・・・)
アイリーンの意外な本性に驚くメアは、愛理に握手してくれと自分から頼んだのに、緊張して手を中々差し出せないアイリーンを微笑まし気に見守る。




