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セブンススタイル  作者: ブレイブ
プロローグ
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四話

オルビアの町、路地裏


「ん・・・」


男がこの場を離れてから三十分後、アリシアが目を覚ました。


「・・・、はっ!あいつらは!?」


暫くボーと正面の壁を見つめていたアリシアだが、男達の事を思い出し、まずは右手首に付けている時計を見る。


「三十分も経ってる・・・、今から追っても駄目だ・・・」


三十分もあれば炎のスタイル使いの男は車などを使い遠くに逃げ果せているだろう、完全にキースに敗北したアリシアは悔しそうに壁を殴る。


「くそっ!くそ・・・、こんなんじゃ駄目だ、お父さんとお母さんの仇を取る為にもこんなに弱かったら駄目だ・・・」


何度も悔しそうに壁を殴り続けるアリシアの瞳からは涙が流れる。そして少女は懐に入れている父と母の写真を取り出す。辛い事があればいつも心の拠り所にする父と母の笑顔が写った写真を。


「会いたいよ・・・、お父さんお母さん・・・」


少女は天を仰ぎ会えるはずも無い父と母に会いたいと願う。




エンジェルズ本部


思いっきり泣いて心を落ち着かせたアリシアはエンジェルズの本部に戻って来た、すると入り口近くにメアがいて駆け寄って来た。


「遅かったですね?心配してたんですよ?・・・泣いてたのですか?」


「なんでもない、それよりもスタイル使いの事何か分かった?」


「・・・、いえ。各国家や、各組織にとってスタイル使いは重要な戦力です。エンジェルズの情報ネットを用いても、スタイル使いの居場所は分かりませんでした・・・」


「一人だけさっき会ったわ。あなたを追ってた組織に一人いるみたい」


「本当ですか!?属性は!?」


アリシアの言葉を聞きメアはアリシアが会ったと言うスタイル使いの属性を聞く。


「炎よ。本当に強くてさ、負けちゃったわ」


「炎ですか、だからそんなに服が焦げてるのですね・・・」(そして・・・頬の涙の跡も・・・)


「そう言う事。だから着替えて来るわ、話はまた後でね」


「はい」


アリシアはヒラヒラとメアに向けて手を振ると寮に向かって行った。




エンジェルズ、一階レストラン


夕食を食べながら、アリシアとメアは夕食を食べている。


「と言うわけであいつの後を追いましょう。あの箱を開ける為にもあいつの炎が必要だしね」


「ですね、町の人に聞き込みをしてみましょう。それで?アリシア?その人の特徴は?」


「赤毛のツンツン頭よ、身長は185センチくらい、とにかくムキムキね」


「赤毛ですか、目立つ髪色ですし、探しやすそうですね、私を追っていたあの二人を担いで運んでいるのなら目立っている筈ですし」


「ええ、戦闘能力は高いけど、あいつはあんまり賢くはないわね、私ならあんなに目立つ運び方をしないもの」


しかし目立つ行為をしてくれたのはアリシアとメアにとってとても助かる、そのお陰で足取りを掴みやすいのだから。


「おうおう、新人ども!、なんの話をしてるんだ?」


アリシアとメアが話しているところの一人の大男が話しかけて来た。


「メッシュさん」


男の名はメッシュ、銀髪で顔に大きな傷が入った大剣を背負った大男であり、アリシアが幼い頃から気をかけてくれ剣の扱い方も教えてくれた男だ、アリシアは何故彼が自分にこんなに気を掛けてくれるのか気になり何度も理由を聞いているが、答えてくれない。


「炎のスタイル使いの足取りを追っててさ、明日から色々と聞き込みをする予定なの」


炎のスタイル使いと聞いてメッシュはピクリと反応した、そしてドカリと椅子に座り口を開き喋り始める。


「炎のスタイル使いか、良しその聞き込み俺も手伝ってやろう!」


「いやいいわよ、自分の仕事をしなさい」


「遠慮するな、俺の顔の広さは知っているだろう?、絶対に役に立つぞ?」


そう、メッシュは町中ではおやっさんと呼ばれ慕われており、その顔はオルビアの町の住民なら皆知っているほどだ、情報収集をするなら必須と言っても良い程の人材である。


「うーん、ねぇメア、どうする?」


「メッシュさんが協力するって仰っていますし、力を借りましょう、こう言う時って顔が広い人って必要ですよ?」


「あなたがそう言うのなら分かった、メッシュさん、明日はよろしく」


「おう!、そうと決まれば腹ごしらえだ!、おーい!いつもの持って来てくれ!」


「はーい!」


いつものとは超大盛りステーキセットだ、アリシアは基本的にこのレストランで夕食を取るのだが、毎回メッシュは基本的にこのセットを食べているのを見ている、余程お気に入りらしい。


「お前らも食え食え、奢ってやるぞ?」


「いや私達は」


「これだけで良いです・・・」


「そうかぁ?、女でもモリモリ食った方がいいぞ?」


と言いつつメッシュは運ばれて来たステーキセットのステーキを、アリシアとメアの皿に乗せる、少女が食べるには明らかに多い量を。


「いらないって・・・」


「言ったのに・・・」


アリシアとメアは皿に乗せられたのなら仕方がない、頑張ってステーキを食べ、ヒーヒー言いながらなんとか完食した、その横でメッシュは二度目の注文をしていたが、二人の少女は見なかった事にした。




「それじゃあ明日はよろしくな!お前達!」


「ええ、明日はよろしく」


「メッシュさんと一緒にお仕事が出来るの楽しみです」


「おう!」


アリシアとメアはコンビと言う事もあり、ルームメイトとなっている、その為二人話しながら寮にへと入っていった。


「ようメッシュ」


「ボス」


どこか悲しげな視線をアリシアに送るメッシュ、そこにボスが近付いてきた。


「一つだけ聞くぜ?メッシュ、お前アリシアをどう思ってる?」


「あの二人の為にもその娘のあいつは絶対に俺が守る、そう誓っています」


「そうか・・・、なら絶対に守ってやれ良いな?」


「はい」

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