三話、ただいまとお帰り
ウォーレフィールド
無機質な表情となったGATEが地面を蹴りメア達に迫る。
「・・・」
感情が失われた事により意識がある時はいくらか安全マージンを取っていたGATEの攻撃が加減のない攻撃となっていた。振り下ろされた斬撃をメアは避けるがそれだけで衝撃波が発生し大陸が割れた。
「うっそだろ!?」
シールスがそれを見て悲鳴を上げる。
「すぐにビビるんだからあなたは!、しっかりなさい!」
ニアがシールスを奮い立たせ、アイリーンとウォーリーとファーリーとケイネスと頷き合うと彼女を主体にシャドーチェーンを放つ。
「・・・」
GATEは空に飛んでそれを避けるが。上に回り込んでいた泣き続けているグレイが縦回転の回し蹴りで彼女を地面に叩き落とす。それにより地面に落ちたGATEがシャドーチェーンに拘束された。安全マージン無しでその身体能力を発揮するGATEでも五人分魔力を使い強度が増しているシャドーチェーンは振り解けなかった。
「チッ!」
DIVAがそれを見てシャドーチェーンにビームを放ちシャドーチェーンを断ち切った。
「邪魔は!」
「させないよ!」
セカンドマナを得てパワーアップしている明日奈とメリアと未来の灯理が現れてブラスターを放ちDIVAを阻む。
「邪魔だ!人間ども!!」
「大切な仲間!!、アリシアを取り戻す為よ!!
、私達は絶対に退かない!、愛理!、メア!、グレイ!!、今よ!!決めなさい!」
グレイが何をするつもりなのかは一年間一緒にいなかったメア達には分からない。それでもメア達は彼を信じて彼ならGATEをアリシアに戻せると信じて戦う。
「もう一度!!」
ニア達のシャドーチェーンが再びGATEを拘束する。それを見てDIVAが焦るが愛理の仲間達が背後に現れ攻撃を放ち更に動きを防ぐ。
「さぁやれ!、グレイ!!」
エリシアがGATEの足を掴み、愛理が右肩をメアが左肩を掴み動きを止める。それを見たグレイは瞳から光が失われている妻に近付き頬にその手を触れた。
「ごめんな、アリシア、痛いけど、少しだけ我慢してくれ・・・」
涙を止め妻を救うと心に決めた強い瞳となったグレイは指に嵌めた結婚指輪を見てから剣を強く握り突き出した。正確に放たれた斬撃はGATEの腹に刺さりGATEは血を吐く。
「行くぜ相棒!!、DIVAを追い出せ!!」
グレイは反射の剣の能力を解放しGATEの内部で暴れさせる。
「ああ!?、うぁぁぁぁ!?」
体の中で暴れ自身を操るDIVAを追い出そうとする動きを見せる魔力にGATEは悲鳴を上げる。
「貴様ぁぁぁ!!」
DIVAも感じていた。自身の影響がGATEの中から反射の剣により次々と追い出されて行っているのを。アリシアを操る為に何重にも施したプログラムが次々と無に返って行っているのを。その事に怒りを見せる彼は明日奈達の砲撃を振り切りグレイ達に迫る。その時だ、GATEの瞳に光が戻りグレイと目を合わせた。グレイはその目を信じてGATEから剣を引き抜く。
「メア!、行くわよ!!」
「!、はい!」
「「エクスプロージョン!!」」
アリシアはメアと頷き合うと手を合わせあってから突き出しエクスプロージョンを放つ。その強力無比な攻撃はDIVAに命中し彼を地に付けた。
「このぉぉぉ!!」
完全にGATEはアリシアに戻っているそう判断したDIVAはアリシアに手をかざす。それを見たアリシアはデータベースを開く。
「焦ったわね!DIVA、寧ろそうして私に干渉しようとしてくれた方があなたのデータを学習し私に影響出来なくし易いわ!」
アリシアは脳の処理能力をフルに使い自身を操ろうと手を伸ばしてくるDIVAのデータを全て弾きその解析結果から彼を自分から完全に切り離した。これで時戻しの剣でメアが彼を刺したとしてもアリシアは幼児化や消滅したりはしなくなった。
「・・・、まさか人間にお前を奪われるとは・・・、人間を侮っていた俺のミスだ」
「・・・、人間には可能性は幾らでもある、だからこそ今まで歴史を重ねて来れたの!、あなたに影響されていた私には理解出来なかった事だけどね・・・、でも今の私なら理解出来る!、そして信じる事が出来る!、人の可能性を!!」
アリシアはそう言うとDIVAに剣を向ける。
「DIVA!!、私はあなたを倒し必ず世界を多重世界に戻すわ!、だから・・・、覚悟しなさい!!」
(あぁ・・・、いつものいつもの聖騎士としてのアリシアが帰って来た、私が隣にずっとずっといたい人が私の最高の友達が・・・)
剣を向け勇ましく喋るアリシアを見てこの姿こそが本当のアリシアだと思うめあは涙を流しながら喜ぶ。
「良かろう、ならばお前に絶対的な敗北を与え、もう一度俺に従わせてやろう、教えてやるさ、お前には俺の側にしか居場所はないとな!」
DIVAはアリシアに背を向けるとアルトシャーニアの王都の方に向かって行く。自らが向かい人間界の最大戦力であるアルトシャーニアを滅ぼすつもりなのだろう。
「ま、て・・・、くっ・・・」
アリシアはすぐさまDIVAを追おうとしたがグレイが付けた刺し傷が原因で地面に倒れる。アイリーンが慌てて駆け寄り愛理もセラピーを呼び出し治療を始めた。
「みんな今までごめんね、あんな奴に操られるなんてさ、自分が情けないわ・・・」
治療されるアリシアは目を伏せ仲間達に謝る。
「それに私、沢山の人を殺してしまったわ、この罪の償い方は一つだけ、そうよね?、メア」
「はい、分かってるのならあなたが言ってみて下さい」
メアはアリシアの言葉に頷くと手を取りながら言ってみろと言った。
「私が沢山の人を殺す原因となったDIVAを倒す!、そして!世界を救いその先の未来も守り続ける!、これがこれからの私の使命よ!!」
アリシアは自身の使命を言った、それを聞いたメア達は頷き彼女と共にその使命を果たして行くと決めた。
「怪我の治療には後十分掛かるよ、アリシア」
「・・・十分、聖騎士団のみんながなんとか持たせてくれると良いのだけれど・・・」
「大丈夫です、団長達は強いですから!!」
「だから信じようぜ!、シア!」
信じようそう言うグレイは指輪が付いている方の拳を突き出す。それを見たアリシアは?。
「うん」
頬を赤く染めながら自分も指輪を付けた拳を前に出し。彼と結婚指輪を合わせあった。
「みんな!、ただいま!!」
「お帰り!、アリシア!!」




