九話
ナイリアーノ帝国、帝都
「なっ!?、この強力な魔力は!?」
もう少しで戦争の準備が完了する帝国の帝都の上空に強大な魔力の塊が現れた。その魔力に気付いたラフォリアとオルボルクは慌ててテラスに飛び出し空を見上げる。そこには漆黒のドレスを着た少女がおり風に茶色い髪をなびかせていた。
(・・・ここは私にとって屈辱を受けた土地)
空に浮かぶGATEは受けた屈辱は確実に晴らすそう思いながら城を見る。すると王と彼に付き添う竜騎士の姿を見付けた。
以前屈辱を受けた原因である二人を見付けたGATEは冷酷な瞳で見下ろしながら二人に近付いて行く。
「その姿・・・、DIVAと言う者にあなたが降ったと言うこの国や他の国でも流れている噂は本当なのですね」
ラフォリアはGATEの頭には角、瞳は金色、体にはドレスと言う姿を見て各国の中で流れている噂は本当だったんだなと言う。
「ええ、そうよ、私の名はGATE、私のお父様であるDIVAと共にこの世界を支配し、新たな世界を作る存在よ」
笑みを見せながらGATEは自分こそがこの世界を支配し新たな世界を作る存在だと言った。
「それを成す事は出来んな、何故ならこの世界を手に入れるのは私の帝国だからだ」
「愚かな人間如きが付け上がるなよ?、この世界を作ったのはお父様よ、ならばお父様こそこの世界を支配するに相応しい存在だわ」
GATEは冷たい表情で皇帝の言葉を否定し自分の父こそこの世界を支配する存在だと言った。
「この世界を作ったからなんだ、お前の父は今まで世界を支配しようとなどしていないではないか、ならこの世界は今は誰のものでもない、私が手に入れようとしても何も問題はない」
「フン、口の減らない奴ね、流石私に屈辱を与え、狂おしいほどに殺したい相手なだけはあるわ」
「ククッ、俺の犬になっていた事が悔しいか?、上位者様?」
オルボルクは一時は自身の犬になっていた少女を嘲った表情で挑発する。
「ええ!とんでもない屈辱よ!、人間如きの犬にこの私がなったのよ!?、この私が!、絶対に許さないわ!」
GATEはそう言うと剣を引き抜く。それを見たラフォリアは慌てて槍を構えた。
「陛下、この者をあまり刺激するべきでは・・・」
「・・・、分かっておる」
ラフォリアの言葉を聞いた皇帝は手に入れたかったのに手に入れる事が出来なかった存在を目の前にしてついつい頭に血が上ってしまった事を反省しため息を吐く。
「GATEよ、提案がある」
「何よ?」
「ここに来たと言う事はどうせ知っているのだろうが、私はこれより戦争を始める、ならば私達の決着は戦争が始まってからにしないか?、戦場でならばいつでもお前との果たし合いを受けてやると誓う」
「・・・お前如きを殺すのを私に待てと?」
「そうだ」
「ふっふふふ、あっはははは!、この力に覚醒してから私をここまでコケにした男はお前が初めてよ!、ふっふふふ、良いわ、待ってあげるお前が戦争を始めるのをね!、でも覚えておきなさい?、戦争を始めた瞬間お前の死も近付いてくるのをね!」
楽しそうに笑ったGATEは剣を鞘に戻す。それを見てラフォリアはホッと構えを解いた。
「戦争により死ぬのはお前だ、小娘が」
「その減らず口を二度と言えなくしてやるから待ってろ」
再び挑発し合った二人は暫く睨み合う。そして同時に視線を逸らすとGATEは背を向けもう一つの目的地に転移して行った。
「一先ずの危機は去ったか」
「はい、まさかここにやって来るとは思っていませんでした」
GATEと言う厄災から生き残った二人はテラスから王城に戻って行った。
王都アルトシャルセン、メアの側付きの部屋
「んん?」
何者かの気配がする、そう思ったメアは身を起こす。そして目を見開き慌ててベットから飛び降りた。彼女が驚いた理由は目の前にGATEがいたからである。
「ふふ、そんなに驚かなくて良いじゃない、私達、帝国を潰すまでは味方でしょ?、私は大切な駒をわざわざ殺したりなんてしないから安心なさい?」
「安心出来ません、今のあなたは私の敵ですから」
心の中ではGATEへの答えは決まりかけているのにその姿を見て言葉に出すと素直になれないメアはついついGATEを自分の敵だと言ってしまう。
「あはっそうよ、あなたは私の敵、よく分かってるじゃない、だからこそよ、今回の戦いで死なれちゃつまらない、必ず生き残って戦争の後も私のおもちゃでいなさい、飽きるまでたっぷりと使ってあげるから」
「いつまでもあなたのおもちゃにされるつもり、私にはないですから、すぐに追い抜いてあげますよ、セカンドマナを使えるようになってね」
「フン、レイ君に感謝する事ね、レイ君の情報のお陰であなた達はセカンドマナを手に入れられる、でもね?、あなた達がセカンドマナを手に入れたとしても、本当に私に勝てるのかしら?」
GATEはメアを不安にさせようと言葉を紡ぐ
「やってみないと分からないでしょう?」
「やってみなくても分かるわ?、だってあなた、スタイルの力を使ってない私にすら勝てないじゃない」
GATEは完全に馬鹿にした様子の表情を見せメアを煽る。
「それに魔力量が多くなったって筋肉の強靭さも体力の豊富さも私とあなたでは大きな差がある、セカンドマナを得る前に言っておいてあげる、あなたじゃ私には永遠に勝てない、ふふっ、それじゃあまたね?弱虫さん?戦場で私の邪魔をしないでね?」
最後までメアを小馬鹿にしながらGATEはドアを開けて去って行った。
「あーもう!悔しい!、絶対にアリシアより強くなってやるんですから!」
もっと自身のおもちゃで楽しめるようにと思いここに来てセカンドマナを得る為の作業を開始しようとしないメアを煽っていたGATEの思惑通り。メアは憤りGATEより強くなってやると言った。
「ふふっ、お馬鹿さん」
扉を少し開けメアが憤る様子を見ていたGATEは思惑通りに行った事にクスクスと笑うとDIVAの世界に向けて転移した。
次回作の設定作り始めてます。
主人公は銀髪で猫耳の女の子です。




