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セブンススタイル  作者: ブレイブ
第一部、四章、対デッドスカル抗争編
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二話

国道二十七号線、デッドスカルの施設


朝、森の中からアリシアが乗るギルスが現れた。


「準備は良いわよね?、ギル」


『各部オールグリーンです、オーナー』


ギルとの会話を終えたアリシアはまだこちらの存在に気付いていないらしい、デッドスカルの施設のファントムの移動ようなのだろう、大きな扉をロックオンする。


『メア、シメラ、最初の攻撃の後、敵が動き始めたら、私はファントムの相手をする!、二人はそれ以外の相手をお願いね!』


「はい!」


「りょうか〜い」


「それじゃ行くよ!」


アリシアがトリガーを引く、するとギルスが構えたビームライフルの銃口からビームが放たれ、扉を吹っ飛ばした。


数秒後、攻撃が来たのだと察したデッドスカルの施設から激しい警告音が聞こえ始めた、それを聞いたアリシアは操縦桿を前に押し込み、敵施設の中に入り込んだ。


「ファントムか!、各員!、急ぎファントムに乗り込め!」


ギルスの姿を見た敵の一人が仲間にファントムに乗り込むように促す、それを聞いたパイロット達は急ぎ機体に向かって行くが・・・?。


「全部ジームか、好きな機体だけど、動かされる前に倒させて貰うわ!」


アリシアはパイロットが乗り込む前にこの施設には十機あるジーム達をビームで次々と撃ち抜いて行く。


「チッ!、この一瞬で五機も!」


アリシアはあっという間に五機のジームを破壊した、しかしもう五機が起動し、ギルスに迫って来る。


『オーナー、五機のジームが来ます』


「分かってる、一度引いて引き付けるわよ、メアとシメラが戦いやすいようにね」


『はい』


ジームが起動したのを見たアリシアは敢えて背中を見せ逃げ出した、それを見たデッドスカルのパイロット達は逃げるなギルスを追い始める。


「新型は行ったか・・・、今のうちに立て直しを・・・」


「させませんよ!」


ジーム達を引き連れて来たから出て行ったギルスに代わり、メアとシメラが施設の中に侵入した。


「なっ!?、げ、迎撃!」


「遅い!」


ギルスの襲撃で終わりだと思っていたデッドスカルの歩兵達はメアの銃撃とシメラの魔法に蹂躙される。



所変わってジームを引き連れて逃げるアリシア、十分に施設から距離を取れたと判断した所で機体を反転させ、ビームを放つ。


「くっ!?」


五機相手だ殺さずに勝つ余裕などない、ギルスのビームは正確にコクピットを撃ち貫いた。


「やったなぁ!」


仲間が殺されたのを見た敵は怒りギルスに向けて攻撃を仕掛けて来る、ギルスに向けてマシンガンによる集中攻撃が迫る。


『オーナー、借りて来たアレを使いましょう!』


「ええ!、背部、ビームキャノン展開!」


複数対一になる事を予想していたアリシアは、エンジェルズのドックにあったビームキャノンを借りて来ていた。アリシアは背部に装着されたビームキャノンを展開させるとトリガーを引き放つ。


二門あるキャノンの砲塔からズゥンと言う音と共にビームが発射されギルスの足が後ろに滑る、発射された強力無比なビームはマシンガンの弾を蒸発させながら突き進み、一撃で二機のジームを蒸発させる。


「これで後二つ!」


今のビームの威力を見て怯えた残り二機が逃げ始めた。逃げる先は敵施設だ。折角引き付けたのに基地に戻られてメアとシメラが攻撃されれば元も子もない。アリシアはフットペタルを踏み込み機体を加速させると、逃げるジームに追い付き、ビームサーベルで斬り伏せ仕留めた。


「ふぅ・・・、勝った・・・」


『はい、敵施設に戻りましょう』


「ええ」


アリシアは施設に戻る前に燃えるジーム達を見て目を伏せ視線を逸らす、そして敵施設の方を見るとギルスを移動させた。




「お帰りなさい、アリシア、こちらは終わりましたよ」


アリシアが敵施設に戻ると、メアとシメラは既に戦いを終えており、敵施設の中に残っていた六人の歩兵を拘束し、トラックに乗せていた。


「そう、ならここを燃やして回収所に戻ろう」


「火なら任せろ〜」


基地から離れるとシメラが炎を放ち施設を燃やす、仕事を終えたアリシア達はこの場を離れ回収所に向けて歩を進め始めた。




時刻は正午過ぎ、アリシア達は回収所まで後三十分と言う所まで進んでいた、トラックを運転しているのはシメラだ。


「ギル、周囲に敵影は?」


『今の所はありません』


現在の状況ではいつ敵の襲撃があるか分からない、その為アリシアは定期的にギルに周囲に敵影がないか聞き、ギルはレーダーで確認してから敵はいないとアリシアに伝える。


「回収所まで後少しですよ?アリシア、流石にこんな場所にまで来る敵はいませんよ」


「そうだよ〜、心配性だなぁ〜」


「心配しすぎ、だと良いのだけれど・・・」


安全地帯と呼べる場所には確かに来てはいる、しかしそれで油断すると足元を掬われてしまうかもしれない、そう思うと若干楽観的な二人とは違い警戒してしまうのだ、そしてそんなアリシアの考えは遠からず当たっていた。


『オーナー!、もしやと思い、探知モードを発動させて見た所、捕虜の中から発信機の反応を捉えました!』


「なんですって!?、メア!、見つけて壊して!」


「は、はい!」


メアが荷台に向かい発信機を探そうとした時、ギルスのコクピットの中にアラートが響く。


『敵です!オーナー!、この反応は・・・、メイルス国の現在の最高性能機、MX-15アミールです!』


「アミール・・・、最高の近接戦能力を持つ機体ね」


MX-15アミール、アリシアが言った通りメイルス国の機体の中では最高の近接戦能力を持つ機体であり、細身で軽量なボディを活かし繰り出される斬撃はかなりのスピードを誇り、熟練パイロットでもあっという間に打ち負かされてしまう、そんな強力な機体が発信機の反応を辿りアリシア達の元にやって来る。


「ギル、ギルスのスペックでアミールのスピードを上回れる?」


『若干ですが劣ります・・・』


「そう・・・、でもスピードで劣るからと諦めるわけにはいかないわよね!」


『はい!、レーダーに反応、来ました!』


アリシアはモニター越しにアミールの姿を探す、すると左方向から地面を滑るかのように走るアミールの姿が見えた、細身で女性的なシルエットなその姿は黒い機体色もあり忍者のように見える、アミールはギルスの前で停止すると腰部に装着されていたダガーを抜いた。


『発信機を辿り来てみれば、まさか新型と相見えることが出来ようとは、これは楽しめそうだ』


通信が入りアミールのパイロットの声が聞こえて来た、どうやら敵のパイロットは男のようだ。


『俺の名はデッドスカル幹部の、オルジ、いざ尋常に勝負!』


アミールのパイロットオルジは笑みを浮かべると操縦桿を操作し機体をギルスに向けて飛び掛からせ斬り掛かる。


「速い!、ギル!、ビームキャノンをパージして!」


その攻撃に反応したアリシアは盾でダガーを防ぐ、そしてギルにビームキャノンをパージするように命令し、ギルは言われた通りビームキャノンを背部からパージした。


『そんな重いものを背負っていてはこのアミールには追い付かんだろうからな!、正しい判断だ!』


細身な外観からは予想出来ないパワーを誇るアミールはギルスを押し込んで行く、アリシアは押し込み切られる前に操縦桿を後ろに引き、機体を後ろにジャンプさせて距離を取ろうとするが・・・。


『遅いなぁ!』


アミールはあっさりと後ろに下がったギルスに迫り、その腹を蹴り飛ばした。


「グッ!」


蹴られた瞬間にコクピットに襲い掛かる前方からの衝撃、その次には機体が倒れた地面と背部が激しく接触した事により背後から襲い掛かる衝撃、その二つの衝撃はコクピット内部のアリシアに確実にダメージを与える。


『オーナー、大丈夫ですか?』


「このくらい問題ない、来る!」


倒れたギルスに向けてオルジは腕部のバルカンを放った、アリシアはスラスターを吹かし機体を無理矢理に立たせると盾でバルカンを防ぐ、そしてビームを放つが避けられた。


「くっ!、くっ!」


ビームを避けた後すぐにギルスに迫ったアミールはギルスの懐に潜り込む、そして下からダガーを振り上げた、アリシアはギリギリでその攻撃を避け、左手でアミールの肩を掴ませた。


「捕まえたぁ!」


いくら動きが速かったとしても、捕らえれれば倒せる、そう考えていてアリシアは勝った!、そう思いながらビームライフルを捨て右手で引き抜いたビームサーベルを振り下ろさせようとする。


『甘い!』


しかしアミールはギルスの頭部に向けて頭突きを喰らわせた、その瞬間一瞬だがギルスのカメラの映像が途切れた。


「見えなくてもぉ!」


アリシアは敵がいるはずの場所にビームサーベルを振り下ろさせる、しかし斬った感覚はない、映像が戻るとアミールはダガーでビームサーベルを受け止めていた。


(奴の右手は空いてる、対してこっちの手は両方とも・・・、やられる!)


両手が塞がっているギルスにはもう勝つ手段がない、アミールの左手で持つダガーをコクピットに向けて突き出した。


「チッ!」


その時だ、アミールに向けてビームが発射された。オルジはギルスへの攻撃を取りやめ慌てて避けた。助かった?そう思うアリシアがビームが来た方向を見ると、六機ほどのファントムが近付いて来ていた。


『この数、流石に厳しいか』


迫る敵機を見たオルジは機体を反転させ逃げて行った。


『危なかったな、たまたま近くを通りかかって良かったよ』


「ええ、助かったわ、ありがとう」


アリシアは助けてくれたパイロットにお礼を言う、そして徐々に離れて行くアミールの背中を悔しそうに見つめるのだった。

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