嘘の決別
スイールガーデン王都
「静かになった・・・?」
ギルス達と戦っていた明日奈はギルス達が消え炎の雨も消えた事を不安に思い周囲を見渡している。
「相棒!、あれを見な!」
メリアが何かを発見したようで上空に指を刺す。そこには空に上がって行くGATEとマイナスとメア達がいた。
「負けたのね、くっ!、メリア!、レベンさんとウォーリーさんを回収しこの王都から避難するわ!、・・・この王都は終わりよ」
「そんな・・・」
自分達と仲間を守る事を優先すると言う苦渋の決断をした明日奈はメリアと共に街の消火を行っているレベンとウォーリーの回収に向かい。数分で二人を無事回収し王都から脱出する。
スイールガーデン王都、上空
「うっ・・・、ここは?」
「空!?、やめなさい!アリシア!」
GATEの魔法で徐々に空に向けて上がって行っているメア達、目を覚ました愛理はGATEにやめろと言う。愛理の声を聞いたGATEは邪悪な笑みを見せただけで何も言わず更に高度を上げる。
「このくらいで良いわね」
魔法で透明な足場を二人分宙に作ったGATEは妹と共にそこに立ち。メア達は宙に磔にする。
「この私GATEが開催する最高のショーをあなた達に見せてあげる、内容は・・・圧倒的な力により一瞬にして滅びるスイールガーデン王都よ、短いけど楽しんでね?」
芝居掛かった仕草を織り交ぜながらメア達に向けて話すGATEは最後にニヤリと笑みを見せると背を向け王都に向けて杖を向ける。
「やめろ!、やめるんだ!」
オーグルがやめるように言うがGATEは反応をしない。
「ふふっ、あははははは!!」
GATEは高笑いをしながら王都に向けて全力の砲撃を放つ。圧倒的な力の直撃を浴びた王都はGATEが言った通り一瞬にして消滅し巨大なクレーターとなる。
「・・・」
一瞬にして数万の人々が死んだと言う現実を直視したメア達は何も喋れない。GATEは横目で特にメアの絶望した表情を見て満足気な表情を見せる。
「さぁ?、降ろしてあげるわね」
GATEは無言なメア達を操り共に地上に向かう。
王都跡地、巨大クレーター
GATEはメア達と共に地上に降り立った。メアは先程までは確かに存在していた王都がクレーターとなった現実を地上に降り立つ事でまざまざと見せ付けられ更に絶望する。
「メア?敢えて聞くわね?、これでもまだあなた達人類の敵である私を取り戻すとか馬鹿な事を言うのかしら?」
「私・・・、私は・・・!」
GATEの質問を聞きメアはそれでも助けると言おうとしたが言葉が出なかった。それもそのはずGATEの残虐な行いを目の前で見た事と、なんの罪もないのに一瞬にしてその命を失った人々を思えば。街と人々を破壊したGATEを救うなどとは言えなかった。
「言えないわよねぇ?、ふふっ、これであなたは私の完全な敵になってくれると嬉しいなぁ、そうなればこーんなつまらない事をしてあなたを挑発せずに済むのだから」
「つまらない・・・?、つまらないですってぇぇ!?、こんなに沢山の人が死んだのにぃぃぃ!」
メアは激しく痛む体を無理矢理に動かしGATEに掴みかかる。
「ええ、こんな事つまらない事よ」
「ッ!」
二度目の同じ言葉に怒りを見せたメアはGATEの顔を殴る。しかしGATEには効かない。
「痛くも痒くもないって敢えて言ってあげる、そんなことよりもさぁ?、あなたの答え聞かせてくれない?、あなた、私をどうするつもり?」
邪悪な笑みを浮かべるGATEは自分をメアがどうするのかを聞く。
「こんな許されない事をしたあなたは・・・、あなたは私が殺す!!、絶対にです!」
「あはっ、やっとそう言ってくれた、私も言ってあげる、散々あなたで遊んだ後で殺してあげるから楽しみにしていなさいな」
GATEはメアから離れグレイの元に行く。
「レイ君、あなたは?」
「・・・メア、俺はお前の本当の気持ちを理解しているつもりだ、だから俺はアリシアと行くよ、信じてるぜ?メア」
「勝手にして下さい」
メアはグレイの言葉を聞き勝手にしろと言う。
「歓迎するわ!レイ君!」
愛する彼が自分と一緒に来てくれると聞いたGATEは嬉しそうに彼に抱き着く。メアはその様子を冷淡な瞳で見つめる。
「さっ!、早く行きましょう?、そして結婚式を挙げましょう!」
「ああ・・・」
GATEはグレイとマイと共にDIVAの世界に帰って行った。
「メア、本当にそれで良いんだね?」
「はい、もう決めました」
「そっか・・・」
メアは言葉ではこう言っている。しかし愛理達には分かっているこれがメアの本心ではないと。何故ならメアはGATEを殺すと言った瞬間からずっと泣いているのだから。
メアの本当の気持ちは変わっていないと知っている愛理達は彼女を支えると決めた。もう一度隣に並んで楽しそうに笑う二人の少女の姿を見る為に。
DIVAの世界
「えへへ〜、レイくーん」
グレイと共にDIVAの世界に戻ったGATEは幸せそうな顔でグレイの腕に抱き着き甘えている。そこにDIVAが近付いて来た。
「少年よ、お前は我々には協力しないのだろう?」
「当たり前だ」
グレイの目的は変わらない。GATEを元の彼女に戻す事それだけだ。DIVAの世界にいたとしてもDIVAやGATEの味方をしたりはしない。
「あはは、残念ね?お父様、レイ君に振られちゃった、でも私を振ったりはしないもんねー?レイ君は」
「ああ、決まってるさ」
GATEの言葉を聞いたグレイは自分からGATEにキスをする。GATEは彼のその行動に一瞬目を見開くがすぐに嬉しそうな顔で彼のキスを受け入れた。
「ふぅ、これが誓いのキスよね?レイ君、次は指輪の交換をしましょ?、私のダーリンになって?」
「ああ、シア、俺の奥さんになってくれ」
GATEとグレイはDIVAとマイに見守られながら指輪を交換し互いの指に嵌めた。二人はこの冷たい世界で夫婦となったのだ。
「はぁー、これで私はレイ君の奥さん、嬉しいなぁ」
グレイの妻となったGATEは彼の胸に抱き着き頬を擦り付けながら甘える。グレイは自分の妻となった少女を優しく抱きしめつつ。彼女を必ず元に戻すと誓うのだった。
第四部、最終章、完
次回からは第五部一章、サードロットと帝国、の始まりです。




